短編62
【晩婚バリエーション】
まざまざ、さまざま。十人十色、いろいろ拍手、たくさん虫、おおよそセブン。何が言いたいのかって。つまり、こういうことだ。物事には多面性がある。しかし、多面性を知りすぎてもロクなことはない。とはいえ、一長一短といえば、それまでである。いや、その考えこそ多様化したせいだ。
【ハブる駅】
幾つもの、幾重にも隣り合った駅ではあるけれど、一駅と一駅の間には距離がある。極端に短いこともあれば、長いこともある。駅のことは、その駅に降りてみないと、うんともすんとも解らない。刻一刻と世界が変わるように、駅もまた変わり化ける。とわの栄光はいつのまにか荒んでいる。
【がうちの噂】
がうち~いも、がうち~いも、がうち~「ガウチッ!!」「ぷぎゃー、出た本物のがうちだー!!」ここは大都市郊外のセントラルガウチパークである。謎の生物がうちの銅像がいくつも並んでおり、かえって不気味である。噂によれば、がうちは芋が好きなようで「がうち~いも」と叫んでいるとあらわれるという。
【窓ぎわ係長】
年を取り、皺を重ね、辿り着く。夢と希望、そして幸せに満ち溢れるかは、定かでない。窓に差し込む日差しは、相変わらず眩しい。人が生まれる、その前、もっともっと昔から働き続けているのに、大したものだ。「それに比べて」彼の悪い所は、人とあるいわ他と比較してしまう点だ。




