短編25
【居酒屋2】
飲食店のお勤めは、人生初なので、右も左もわからない。逆に、何でも知っていたら可笑しいし、それは天才を凌駕しているように思える。ともかくとして、料理を作る本質が欠けていた僕は案の定、失敗する。少し慣れたから、マニュアルを見ずにやったのが自業自得。最高の料理を出すべきだ。
【誕生XDAY】
古風から、自分の生まれた日は重宝されているけれど、生きるに必死だった時代とか、祝う余裕もない時代とかが、少なからずあった訳で、そういう時代に生きた人々は、自分の誕生日なんか忘却の彼方だったかもしれない。何に心奪われていたのか、僕の知る所ではないが、悲しいことよ。
【単位陥没】
決して成績優秀ではサラサラない僕は、小学校も中学校も高校も、あまつさえ大学も、微妙の一言に尽きる。良くもなく悪くもなく、どっちつかずな成績。人に見せて、滅茶苦茶ほめられないし、人に見せて、滅茶苦茶けなされない。「ふーん」と鼻で笑われるような、結局のところ悪い成績だ。
【遠足】
僕の遠足は、一歩で終わる。逆に近足も一歩で終わる。一歩の足幅の長さの違いを、遠足と言ったり、近足と言ったりする。普段の踏み幅は、並足とでも名付けましょうか。僕はよく、遠足と近足のダブルコンビネーション技で、道を歩いています。枠に囚われない生き方を求めて。日々、変人。




