短編2
【れもん探検隊】
れもん隊長率いる、れもん隊は堂々と喫茶店を独占していた。「れーくんさん、何をご注文するんですか」部下のいさむしが尋ねる。「喫茶店なのだから、ティーに決まってるさ。よいよい、そこの店員さん。この店にあるティー(お茶)をすべて用意してくれ」「か、かしこまりー」待つこと数分。
紅茶からお茶まで、机全面がティーカップで埋め尽くされた。「圧巻ですね、れーくんさん。これほどの種類があるとは思っても見なかったですよ。隊長は詳しいんですか」れもんは腰に手を当てて、適当か知ってか、一つのティーを飲み干した。「ここにあるティーは全て、チャラティーと呼ぶ。味も種類も気にはしないのさ」
「ほう、ぽっくり納得。れーくんさんの尋常にないオシャレのこだわりを見れば、腑に落ちますね。では、僕もお一つチャラティーをいただきます」液体を飲む時は、必ず腰に手を当てるんだと注意されてから、一気に飲み干した。「どうだ、アクセサリーに力が漲ってきただろう」「全身黄色いタイツを履いてみてはどうですか」
ストレッチマンならぬチャラッティーマンで、次世代教育番組の王道だ。チャラッティービームで悪霊退散も夢ではない。「タイツか、ふむ、流行の先取りもたまには悪くない。しかし、私一人が着るのは心もとないから、隊員全員で揃えようじゃないか。ゆくゆくは探検仕様を特注しよう」想像すると、中々カオスである。
【猛暑時々ワンクール】
地球温暖化や異常気象や何だで、気温上昇が進む。上向きなのはポジティブイメージではあるものの、気温に限っては気分上々!と元気よくはなれない。猛暑に耐えかねて、涼しさを求める僕らである。海や水気のあるところ行くのはよいことであるが、クーラーの部屋で一日中だらけてはならぬ。
【折りたたみ式人間】
体操選手もろもろ、柔軟な身体を目指す彼らのゴールとは、たぶん折りたたみである。グニャグニャ曲がる身体をコンパクトにして、他人に持ち運びしてもらおうと策略しているのだ。怪我を防ぐやら、美形になるやらは実は二の次で、スーツケースに潜りこんでタダ旅行をしたいだけである。
『旅をするなら、できるだけ無料で』という格言があるほどだ。柔軟体操の真の狙いは、旅行をノーマネーで楽しむためである。上辺では健康のよいポジティブ系を津々浦々と伝えているけれど、裏を返せば意地汚い節約精神がボロを出すのである。今なら仕事したほうが早くない、と思うのも無理はない。




