第1話:高校生になりました
2025年 4月8日 季節:春
影鷹「今日から……高校生、か……」
正直言って、実感は湧かない。
まぁ、通う学校は変わらないしな……
俺の通う学校、Monster討伐戦闘要員育成学校である、聖光学園は小等部から高等部まであり、設備は万全でほとんどの学生が寮生活を送っている。
俺もその内の一人だ。
影鷹「さて、行くか……母さん、行ってきます。」
写真に写っている母さんにそう言ってから俺は寮を出た。
この学園はかなり広く、寮から学園まで15分程度はかかる。
その為、寮から自転車の貸出をしていたりするのだが、俺は乗らない。
乗っても、余計にしんどい思いをするからである……
まず、俺は中等部の女子寮へ向かい妹を起こしにいかなければならない。
そのために実際学園に着くまで掛かる時間は約1時間だ。
朝は6時に起きて7時に登校する。これが俺の毎日、はっきり言って地獄だ。
まぁ、弱音を吐いてもいられないのでさっさと妹を起こす。
女子寮までは5分で着くのだが……
影鷹「…………」
ほんと、いつ見ても目眩がする……
寮なのに、寮のくせになんで25階もあるんだ……
おまけに女子寮だけで15棟あり、部屋の総数は10000以上だ。異常だ。
1階だけで30部屋はあるのだろうか……数える気にもならない……
そして、妹は2323号室なのだが……
影鷹「はぁ~……」
深くため息をついた。
呼び出しの端末を押したのだが……出ない……!
試しにもう一度……ピンポーンッと鳴らしてはみるものの……やはり出ない……!
まぁ、毎度のごとくでないのだが……
なので合鍵を使用するのだが……なんか、気が引けるんだよな。
まぁ、そんなことも言ってられないので開ける。
影鷹「風雫、入るぞ (ガチャッ」
反応はない、まぁ寝てるんだろうがな……
起こす前に、朝食を作ってやるか……作ってる間にでも起きるだろう……
メニューはいつも通り、トーストを焼いて目玉焼きとハムを塩コショウで焼き、レタスを盛り付けそこに焼いた目玉焼きとハムをのせ、トーストにはジャムを塗り完成だ。
と、せっせと作っていると……
風雫「んんッ……いい匂い……」
影鷹「起きたか?」
風雫「おぉ?お兄しゃんだぁ~……」
風雫が起きた。さて、本当の地獄がここから始まる
現在時刻は7時20分、残り30分で支度しないと進級式に間に合わないだろう。
影鷹「起きたなら顔洗って支度しろよ」
風雫「ん~……あと5分……」
影鷹「はぁ~……」
本日二度目の深い溜息である。
影鷹「こりゃ父さんと母さんに報告しないとな……」
風雫「ファアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
影鷹「掛かったな」
風雫「あっ……」
影鷹「早く支度しろ」
風雫「ふぁい……」
なぜ毎度のことなのに引っ掛かるのだろうか……
まぁ、最初は父さんに寮生活はダメだと反対されていたから、当たり前と言えば当たり前か……
最終的には風雫が駄々を捏ねまくって俺が説得したんだったっけ……あれは大変だったな……
とか考え事してると、顔を洗った風雫が戻ってきた。
現在7時30分
風雫「おにいちゃんおはよー♪」
影鷹「やっと起きたか……」
風雫「おおっ!?今日も美味しそうな朝ごはん♪」
影鷹「いつもと同じだろ……とりあえず早く食って着替えて支度してくれ、間に合わない」
風雫「うそっ!?もうそんな時間!?」
影鷹「俺は外で待ってるからな」
風雫「待ってよおにいちゃーん!!」
急いで食べる風雫を後に俺は風雫の部屋を出た
少しは俺の身にもなって欲しいもんだ……
まぁ、これも父さんとの約束だしな……仕方ない
約束……というのは俺が中学2年生の夏休みのときだった
夏休み中、寮にいても仕方がないので家で夏休みを過ごしている時に起こった。
晩飯を食っていると突然。。。
風雫「……中等部にあがったら寮暮らしする……」
佐神(父)「ん、風雫、何か言ったか?」
風雫「風雫中等部にあがったら寮暮らしする!!!!!!」
あの時は、俺もいきなりでびっくりした。
なんでいきなりそんなこと言いだしたのかはわからないが……父さんが本気で怒ったの見たの、あれ以来だな
父さんも最初は風雫の声の大きさに圧迫されて驚いていたが……だんだんとその顔が険しくなっていったのを今でも覚えてる。
とにかく、凄かったな……あの時俺があんなことを言わなければ……こんなことには……
と、そんなこんなと考えていると時刻は50分を過ぎていた。
影鷹「あいつ……!!」
なかなか寮から出てこない風雫を呼びに再び2323号室まで行き、部屋を開けた。
すると……
影鷹「なッ……!?」
風雫「ふぇ!?」
マズった……いつものことだと知りながら……マズってしまった……
着替え途中の風雫を前に……分かっていながら、だが急いでいた影鷹の頭の中にそんなことを考えてる余裕はなく、そのまま扉を開けてしまった……
少し、沈黙が入りやがて現状を理解した風雫が
風雫「あ、あの……お、おにいちゃん…….扉……閉めて、くく、くれないかな……//////」
影鷹「わ、悪い!!!!!!」
慌てて扉を閉める。
最悪だ……俺……
そしてしばらくして風雫が部屋から出てくる。
風雫「…………」
影鷹「…………」
き、気まずいっ!
本当にマズった……最悪だ、最悪だ、最悪だああああああああああ!!!!!
などと心の中で勝手に喚きちらしていると
風雫「……お兄ちゃん」
影鷹「ななな、何だっ!?」
一瞬構えたが
風雫「……時…よ..」
影鷹「ん?なんだって?」
風雫「もう、8時だよ…」
影鷹「……は?」
一瞬思考が停止した、そして再び活動を始める。
腕時計を見てみた。
針は午前8時を指していた。
そのうち、登場人物をまとめたものを投稿したりする予定です。