物書きさんに50のお題:1
1、プロローグ
青い空。この夏休みの間に転校してきた少女にとって、今日は初の登校日だった。
だというのに――
「あわわわ!!!」
昨夜は新しい学園に対する思いに胸を踊らせて、全然寝付くことが出来なかった。そのせいで今日は思いっきり寝坊してしまう。学校までの時間は歩いておおよそ20分。そして今は登校時間の15分前である。
「走ればきっと、まだまだ間に合っちゃいます……よね?」
寝ぐせも直さすセーラーに袖を通すと、テーブルに置かれたビニールから食パンを1枚取り出して、学園に向かって走りだした。
澄んだ空気が大気を満たし、雲ひとつ無い朝だった。そして近所の家には、新学期早々遅刻した者がもう一人。慌てた様子で制服を着ると、カバンを持って家を飛び出していく。
二人が衝撃的な出会いをするのは、少女がこれから何回目の角を曲がったときだろうか。
そして二人に絡まり合う物語のすべてが、そこから始まる――。