第21章:世代交代
3回戦。相手は阪神会出場の常連校。
前半は通常先述で守り、最小限の攻撃にとどめた。
後半、キャプテンが合図した。
「トータルフットボールの始動」
一気にラインが押し上がり、宝梅は攻撃的な布陣へ。
シュートが前線で起点を作る
中盤が連動し始める相手は明らかに疲れている
しかし――
キャプテンのオフサイドトラップからの攻撃への転換が、
上げるのが早すぎて裏を取られる。
遅すぎて攻撃の波が途切れる
それでも、シュートの個人技と粘りでなんとか2−1で勝ち上がった。
なんとか県大会へ駒を進めることができた。
試合後、キャプテンはベンチで膝に手をついた。
「……俺の判断が悪い。 このままじゃ県大会は無理だ」
副キャプテンに言った。
「松岡をスタメンにいれやつにコントロールをまかそう。どう思う?」
「……顧問に相談に行きましょう」
キャプテンと副キャプテンは顧問室へ向かった。
「先生。 松岡をスタメンに入れてください」
顧問は驚いた顔をした。
「松岡? 技術はまだ粗いぞ」
キャプテンは首を振った。
「技術じゃありません。 “戦術のコントロールが必要なんです。
松岡が適任です」
顧問は短く尋ねた。
「それはチームの総意か?」
キャプテンは静かに答えた。
「はい。声に出ていませんが皆そう思っています」
顧問は頷いた。
「よし。県大会前の練習試合で試す」
しっちゃんが練習試合でスタメンに名を連ねた瞬間、
チームの空気が変わった。
試合開始。
相手のパスコースを読む。守備ラインを一歩押し上げる
シュートの動き出しに合わせて絶妙なパス
切り替えの合図が完璧
宝梅は2−0で快勝した。
試合後、キャプテンは顧問に申し入れた。
「先生。 県大会からは、2年生中心で行きたいです」
顧問は驚いた。
「お前たち3年は、普通なら市内大会で引退だぞ。
ここまで勝ち上がったのに、いいのか?」
キャプテンは笑った。
「来年を見据えたいんです。
宝梅を“本気で強くする”なら、今から世代交代です」
副キャプテンも頷いた。
「佐伯か松岡をキャプテン、副キャプテンに任命してください」
顧問はしばらく黙り、やがて言った。
「……わかった」
翌日のチームミーティングで体制の変更を発表した。
キャプテン:佐伯、副キャプテン:松岡と
宝梅中サッカー部は“新しい時代”へ踏み出した。




