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第19章:弱点発覚

阪神大会一回戦。

宝梅中学サッカー部は、ついに“トータルフットボール”を

本格的に導入した。


だが――しっちゃんはピッチには立っていなかった。


理由は簡単。

キャプテンのメンバー選定のお眼鏡にかかっていなかった。


でも、誰よりも戦術を理解しているのはしっちゃんだった。


だから彼は、タッチラインの外から声を張り上げた。

「ライン上げろ!」「サイドチェンジ早く!」


監督もキャプテンも、しっちゃんの声を無視できなかった。

宝梅は序盤から相手を圧倒した。


ポジションチェンジ、連動したプレス。中盤のスイッチ

サイドの入れ替わり相手は完全に翻弄され、


宝梅は 3-1 の快勝。


観客席からも驚きの声が上がる。

「宝梅、こんなに動けたっけ?」


しかし――

しっちゃんだけは、勝利の中に“影”を見ていた。

(……走りすぎだ。 これ、二回戦もつのか?)


二回戦

相手は走力のあるチームだった。

前半は一点リードで折り返す。


だが後半――

「足が……動かん……」「プレスが遅れてる!」


しっちゃんは外から叫ぶ。

「無理するな! 一回落ち着け!」

だが声は届かない。


宝梅は同点に追いつかれ、最後は PK戦で辛勝。


勝ったのに、選手たちはその場に倒れ込んだ。


試合後の反省ミーティングでキャプテンが言った。

「……この戦術、まだ俺たちには早い。 体力がもたない。

 元のやり方に戻した方がいい」


部員たちもざわつく。

「確かに……」「今日なんてギリギリだったし」


しかし――


シュートが立ち上がった。

「戻すって……未だ2試合しただけじゃないか」


キャプテンが言い返す。

「勝つためだ! 理想だけじゃ試合は勝てない!」


部室の空気が張りつめた。


しっちゃんは黙っていた。外から見ていたからこそ、

誰よりも“問題の本質”が分かっていた。


(……走り続けるだけじゃ勝てない。 でも、戻るのも違う)


結論は出ないまま、

ミーティングは終わった。


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