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第10話「魔法、バレそうでバレない!?」

大山はその後、会社内で「救世主」として急速に評価が高まった。

社長の腰痛を完治させたことから、社内での評判は急上昇し、他の社員からも少し特別扱いされることが増えた。


だが、魔法の使用に関しては依然として秘密にしておかなければならない。

それに、辞書を使う度に思うのは、「うっかりバレないか」という不安だった。


ある日の午後、大山は営業チームから急に頼まれた書類を届けに行くことになった。

その帰り道、偶然、結衣と顔を合わせた。


「大山さん、こんにちは!」


結衣は手を振りながら歩いてきた。


「こんにちは、結衣さん」


「すごいですね、最近。社長の腰痛が治ったって話、社内で広まってますよ!」


結衣の顔はいつもより明るく、少し興奮気味だ。


「いや、そんな……ただ、偶然ですから」


大山は思わず否定するが、結衣はにっこりと微笑んだ。


「でも、本当にすごいことです! 何か特別な方法があるんでしょう?」


結衣はじっと大山を見つめていた。その眼差しには少しの疑念が含まれているように感じる。


(やばい、魔法がバレそうだ……)


大山は心の中で焦りながらも、冷静に答える。


「いや、あれは本当にただの偶然……」


その瞬間、大山の耳元で突然、スマホが鳴った。

それは社長からのメッセージだった。


『急に会議を開くから、今すぐ来てほしい』


大山はそれを見て、ホッと一息ついた。


「すみません、ちょっと急な用事ができました。また今度、話しましょう」


「そうなんですか。じゃあ、また今度」


結衣は少し残念そうに見送った。


「それじゃ、また」


大山は急いで社長の部屋へと向かう。

しかし、その途中、社内で何人かの社員とすれ違い、軽く会釈するたびに感じる「視線」が気になった。


(うーん、何か落ち着かないな)


大山は社長室に到着すると、社長がすでに待っていた。


「おお、大山君! ようやく来たか!」


社長は満面の笑みを浮かべながら言った。


「今、何かあった?」


「実は、少し頼みがあってな」


社長が少し真剣な顔をして言う。


「今度、新規のプロジェクトで一緒に作業することになったんだ。君も参加してくれ」


「それは……僕がですか?」


「もちろんだ! 君がいれば、絶対に上手くいく!」


社長は力強く言い切った。

大山はその自信満々な言葉に少し驚きつつも、これも一つのチャンスだと感じる。


「分かりました。頑張ります!」


そして、その会話が終わった後、大山は社長室を出ると、また少し不安に駆られる。


(やっぱり、魔法のことがバレないか心配だな……)


その時、大山のスマホにまたメッセージが届いた。


『結衣:大山さん、もしかして何か秘密があるんですか?』


大山は一瞬驚いたが、すぐに返信を打つ。


『いや、特に何も。仕事で忙しくて』


その後、すぐに結衣から返信が来た。


『そうなんですね! でも、なんだか最近、大山さんの周りがちょっと変わった気がしますよ』


大山はそのメッセージを見て、一瞬、冷や汗が出たが、すぐに冷静を取り戻して返信する。


『あー、何も変わったことはないですよ、ただ……忙しくて疲れてるだけかも』


『そうですか? 無理しないでくださいね! それじゃ、また今度お話しましょうね』


結衣の返信は心配そうな一言で締めくくられていたが、大山はホッと一息ついた。


(ふぅ、危なかった……結衣にはバレていないはずだ)


大山はその後、社長から頼まれた仕事に集中し、なんとかその日の業務をこなすことができた。


そして、翌日――

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