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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
2章_3 敵拠点、潜入計画編
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96話 残り、4分44秒

「……鳥岡君、お仲間の敵対、苦しいですか?」


「……もちろんです」


「そうですか……我慢ですよ、ひとまずっ!」


 真銅が先陣を切る。4分44秒というタイムリミットを聞いたからか、先程組手をした時とは戦闘スタイルが真逆になっている。


「覚悟なさい、人を殺める代償を!」


「キャハハハハハ! 今の見えなかったんですか? 私は神話級の力を持つというのに、そんな突進なんてっ!」


「ぐっ……!」


 真銅は踵落としを繰り出そうとしたが、ヒカリは片手で真銅を掴み、そのまま180°弧を描くように回転させ、地面に叩きつけてしまった。

 

 初めて会った時、強盗に怯えていた少女と同一人物だとは思えない。錬力術を抜きにしてもその身のこなし、きっとプロボクサーですら片手だけでノックアウトさせてしまいそうな程だ。


「……やはりただ者ではありませんね――」


「アポロン・ランチャアアアアアアアアアア!」


「しまっ――」


 その刹那。真銅は爆音、爆炎に包まれた。中から悲鳴が聞こえてくることはない。


「せ、先生……!」


「おーっと、よそ見しててええんかぁ!?」


「ぐあっ!」


 ユウヤはシュウタロウに突き飛ばされ、硬い壁に叩きつけられる。痛がる隙すら与えず、シュウタロウはユウヤの目の前に《《移動してくる》》。


「この前言ったよな、禁忌やって。一族に関わることはなぁ!」


 ユウヤは腹を蹴り上げられる。


「鳥岡ユウヤ……悪いがオレは、勇者御一行とやらの味方にはならない。ざまぁみやがれ、やなぁ!」


 ユウヤは体をつまみ上げられ、今度は3回、膝を腹に入れられる。


「ここを利用できてる、ちゅうことはとある条件を満たしている。やけどな……それは生まれつきのもの、悪行を働いた時点で、それ以降は罠として作用するんやぁ!」


「条件だと……?」


 ユウヤの脳裏に不穏な予想が浮かび上がる。でもまさか、そんなはずはない。ユウヤはシュウタロウの言葉に惑わされないように、言い聞かせるように、続けてシュウタロウに言う。


「……裏切り者」


「……あ?」


「思い返せば、タケトシからのメッセージがどうこう、って時も違和感があったんだよ……まるでヴィアンドが強い時間に戦闘に行かせようとさせてたみたいにな!」


「ヴィアンドォ? ああ、あのゴリラか」


「なぜその名前を知ってんだ……確信犯、スパイ、どうやら目の前に! 新たな敵が生まれたみたいだな、裏切り者という敵がなああああああああ!」


 ユウヤの体が()()()を放つ。だが、その上からそれを抑えるように白い繭が現れ、ユウヤと光をまるごと包みこんだ。神々しい姿のユウヤが降り立った。


「……やる気になったみたいやな」


「……当然だろ? ここで死んだら、チーム・ウェザーが世界を支配しかねない」


「へぇ……反逆者になるだけやのに……」


 ユウヤとシュウタロウは同じタイミングで猛烈なパンチを繰り出す。実力は同等、拳と拳がぶつかり合い……互いに見合って再び嵐の如く連続で攻撃を浴びせ合う。


「あの組手の時から少しは成長したみたいやのぉ! 少なくともワシに飛び技を使ってこない、そこは認めたろうやないかぁ!」


「成長……? 当たり前だ、ここで死ぬのはありえないからなぁ!」


「でもな、ヒカリのこと、忘れてへんかぁ!?」


「ヒカリ? まさか!」


 振り返ると、膝をついて消耗している真銅の目の前で不敵にヒカリが笑っていた。


「第一波、メドゥーサスカルプチャーッ!」


 ヒカリの目が怪しく光った。まずい、これは間違いなくあの技だ!


「まずい、外れろっ!」


 ユウヤは慌てて足元に落ちていたゴミをヒカリの顔面向かって勢いよく投げる。


「キャハハハハ、発射ぁぁぁぁぁっ!」


(頼む、間に合え!)


 一瞬、部屋の中にしーんとした時間が流れる……が、誰も石像に変化しない。そして、ポトン……と何かが落ちる音が響いた。そちらを見てみると、石化したのはユウヤが食べ残した果物だった。攻撃に失敗したヒカリはとても悔しそうだ。


「……チッ! 運良く、助かりましたね……!

ですが次は残り2分、つまり今から1分後に放ちますからね……!」





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