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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
2章_3 敵拠点、潜入計画編
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95話 一族の使命

「こ、これマズい……ですよね……!?」


「……はい、普通なら」


「そ、それなら逃げないと……裏口とか無いのかな……」


 焦ってユウヤは逃げ出そうとするが、真銅はそれを逆に止めてくる。


「でも、彼らはおそらく……ここに足を踏み入れられている時点で、きっと許してくれます」


「ゆ、許してくれる?」


「はい……少なくとも、我々のことを確認した瞬――」


「侵入者ハ消滅ヤ! サァ、黙ッテコッチ来ルンヤ!」

「今ナラ、楽ニ永眠サセテアゲマス!」


 ドアは荒々しく開けられた。そして、そこに立っていたのはシュウタロウとヒカリ本人であった。ユウヤも別に仲間やヒカリと戦いたいワケではない、まずは敵意がないということを手を挙げて示す。


「……戦うつもりはないぞ、シュウタロ――」


「……イヤ、悪イケド。オ前ヲ排除スル義務ガアルンヤ」

「ソウ……デスヨ……」


「よ、様子がおかしい! 喋り方もロボットみたいだし!」


 何を喋っているんだ、この2人は。排除する義務があるだと? ユウヤは真銅に聞く。俺達はここへ足を踏み入れるのを許される()()ではないのかと。だが、真銅の顔はいつの間にかかなり青ざめていた。


「……おかしい、こんなはずでは」


「えっ、先生?」


「……まさか、もしかしたら私達はハメられている!」


「えっ!? どゆこと!?」


 思わずタメ口が出てしまう。だが真銅は本当に焦っているようで、それを怒ったりはしない。逆に言えば、それほど今が緊急事態であることを示している。


「……普通にしゃべってあげた方がええか、鳥岡ユウヤ……?」


「あ、あぁ……」


 シュウタロウはニタリと笑う。


「鳥岡ユウヤ、そして真銅カミコ……なぜお前は使命に則って生きない? ホリズンイリス族の使命、それは現代文明の破壊と自然との調和のはずやろ……?」


「だ、だから何だよそれ! 知らねえ、そのホリなんちゃらってやつ!」


「……とぼけるなら嫌でも見せつけてやるわ。一族から授かりし力を、な」

「……頭、下げるなら……今のうち、ですよ……」


 シュウタロウとヒカリは今にもユウヤと真銅に襲い掛かろうとしている。もし「一族」から洗脳を受けていたりするのだとしても、どうやらひとまず戦う必要がありそうだ。


「そっちがその気なら……望まぬ戦いだけどな」

「鳥岡君……ここでは倒すことではなく、時間を稼ぐこと。それを第一に考えてください」


「え、どういうことですか?」


「大丈夫、考えがあります……5分間、時間を稼いでもらえれば」


「……分かりました。でもオレからも1つ……あの女の子の方、気を付けてください。油断すれば2人とも石像化、即・バッドエンドもあり得ます」


「大丈夫です、だからこそ私が相手をするつもりです……ダメージを一切与えずに」


 今回の戦いは簡単にはいかなさそうだ。相手が強敵だろうが絶対にやられるワケにはいかないし、かといってゴリ押しすればいいワケではない。

 とにかく5分間「耐える」こと、さすれば真銅の策がハマるのだろう。


「さっきから何ブツブツしゃべってんねん? 戦場で私語は命取りなんやぞ?」

「そうですよ……見ていたはずでしょう、瞬く間に『人が石像に置き換わる』場面を、ほらこんな感じに!」


 ヒカリは食料庫の天井から吊るされている照明を石に変えてしまった。照明は現代で言うLEDや白熱灯に近い見た目をしている球状のものだが、近くに電源のようなものも無いだけに、どのように動作しているのかは分からない。ただ理解できるのはその灯りが消え、そして照明を吊るしている器具からピキ、ピキキ……と今にも砕けそうな音が聞こえてくるということだ。


「5分以内に、と言っていましたよね……? それは悠長ですよ、なぜなら4分44秒以内に! あの球は貴方達のところへ落下し、貴方達を石に変えてしまうんですから、アーッハッハッハッハ!」


「……どういうことだ!」


「あの球の中には、錬力術由来の光エネルギーが無限に詰め込まれていた……だが、それを今好きなものを石化するためのエネルギーに変えてしまったってことや、ただの応用や応用」


 シュウタロウとヒカリの目は獣のようだ。やはり、ユウヤ達を始末しにかかっている。 

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