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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
2章_3 敵拠点、潜入計画編
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94話 シュウタロウ達?

「あぁ、感想と課題地獄……もうダメだ」


「なぜ、こんなに授業を溜め込んでいたんですか……」


 ユウヤは溜まっていたオンライン授業をなんとか消化できた。流石2059年、山奥でも電波が繋がりにくいなんてことは無い、という時代だ。「ギガ」はかなり消費することになってしまったが、そこは真銅が気を使って錬力術で一部カバーしてくれた。実際は説明画像が数枚だけの講義が多くて助かった部分の方が大きいのだが……


「40年くらい前、疫病の関係で行なわれたオンライン講義はチョー楽だったって、オカンが言ってたから……」


「まぁ、それ人と授業によるでしょうね……」


「あぁ、それにしても疲れた……お腹も減ったし……」


「それなら……食料庫がこの近くにありますので行きましょうか」


 真銅は早速立ち上がり、その食料庫とやらに向かう。慌ててユウヤはそれを止めようとしたが、どうやらこの領域に立ち入りでき、また特訓場を利用できた時点で保管されている食料を食べても問題ない、らしい。きっとどこかの石板にそのようなことが書いているのだろう、お腹を小刻みに鳴らしながらユウヤはその後をついていく。



 食料庫は3分ほど歩いた場所にあった。見た目はザ・巨大な倉庫といったところで、広さはおそらく学校の体育館程だ。

 さらに、中からはラーメン、ステーキ、牛丼に焼きそば……様々な香りがユウヤの鼻を刺激する。テンションが上がって突入しようとすると、いきなり真銅がそれを止めてくる。


「え、入っていいんですよね、なぜですか……もうお腹が……」


「……静かに! あれを見なさい!」


「あ、あれって……」


 真銅が指差す先にはどこかで見覚えのある2人組の男女がいた。

 身長差は30〜40cm程はある、それに片方は大人っぽく、もう片方はまだ子どもっぽい。服装は全く同じ、神話の中で神とか天使とかが着てそうな感じの白衣である。


「……ヒカリとシュウタロウだ」


 そう。その2人の正体はヒカリとシュウタロウだったのだ。なぜこんなところにいるのか検討もつかない。シュウタロウが意味深なことは話していたが……



ーーーー

『シュ、シュウタロウ……ヒカリと知り合いなのか? あとさっきヒカリが言ってた何ちゃら族――』


『……それは禁忌や。存在を知る以上のことはやめとけ』


『あ、あぁ……』

ーーーー



 2人は手に大量の木の実、そして毛皮がついたままの塊肉を手にしている。そして、その食料を何もない空間に捧げだしたのだ。


「……え!? 何してんだア――」


「……しっ! 声が大きいですよ……」


「あの2人知り合いなんです、意味深なことも言ってましたし、しかも錬力術が独特なんですよ……!」


 ユウヤの声は無意識にも震えていた。もしかすると力の及ばない領域の刺客が既に自分を囲い込んでいるのでは、と言わんばかりに。それを汲み取ったのか真銅は耳元で尋ねる。


「錬力術が独特、とは?」


「あの男の方! 物の運動エネルギーのベクトルといいますか、それを強制的に方向転換させるんです……それに女の方、人々を石像に変えてしまったりと……なんといいますか、スケールが大きいというか、次元が違うというか……」


「なるほど……あの2人はお友達ですか?」


「ま、まぁ……敵ではないですけど」


「そうですか……とにかく早く食事を済ませて、見つからないように逃げますよ」


「み、見つかる……?」


 なぜ見つかってはいけないのだろうか? 食べても問題ないと言ったのは真銅自身だ。だが、これ以上質問を続けることはユウヤにはできなかった。

 なぜなら……あの2人が、地上にいるときとは全く異なる、殺気と神秘に包まれた雰囲気でいたからだ。



 真銅とユウヤは食料庫に入る。中に保管されているのはレトルト食品や冷凍食品など現代的なものではなく、恐らく近くで採ってきたであろう木の実や干し肉のようなものばかりだ。


「この肉硬ぇし、なんかこの果物苦いし……最悪だ……」


「普段私達が食べてるのは品種改良を重ねてきたもの……野生種と味に差があるのは当然です」


「こんなことならコンビニで飯買ってくるべきだった……ってゔぇぇぇええ! 虫食いじゃねえかこれ、ペッ、ペッ!」


「こら鳥岡君、静かにし――」


「……誰ヤ、ソコニオルンハ!」


 見つかった。食料庫の外から、確実にこちらを怒鳴る声が聞こえた。





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