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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
2章_3 敵拠点、潜入計画編
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93話 鬼トレーナー・真銅

「それなら……好きなだけ学ばしてもらいますよ!」


 ユウヤが先制攻撃を仕掛けようと飛び出す。まるで風を置き去りにするようなその動きに真銅は一瞬驚いたような表情を見せたものの、すぐさま構えを取る。


 ユウヤももちろん、ただ突っ込んで行くワケではない。両手に力を集中させ、棒状に空気と風を圧縮させる。


(これはさっきイギョウサマに発動していた技、既に見切ってます!)


「先生、行きますよ……トルネードリィ・スラッガ――」


「甘いっ!」


「ぐあっ!」


 ユウヤは弾き飛ばされた。たった正拳突き1発で。真銅の手を見ると、神秘的な虹色のオーラがその拳を包んでいた。


(今の攻撃……何か、とても《《重い》》っ!)


「倒れてるヒマは無いはずですよ! さぁ、早く攻撃してきなさい!」


「それなら……もう一度!」


 ユウヤは勢いつけて真銅に攻撃を仕掛ける。真銅の目の前でパァンと猫騙しをして目をくらませた直後、右手に風の力を圧縮してそのまま一思いに殴りかかる。


「よっしゃ、もらったあああ――」


「がら空きですよ、体が!」


「えっ――」


 真銅は体をそらしつつユウヤの肩に触れる。するとユウヤは一瞬で脱力し、膝から崩れ落ちてしまった。


「うごっ、けない……! この技ってまさか!」


「チャコール・バインド。何度も見てきた技のはずですよ」


「そ、それにしても……明らかに出力が強まって……いるような……」


「だからさっき力を引き出すと言ったでしょう? これは限られた回数しかできない、かつ余り目立つところで発動してはいけない……そういうルールのもと、利用できる奥の手です」


「……へへへ、面白い」


 ユウヤは何とか立ち上がり、もう一度真銅に接近しようと歩き始めたその時だった。突如ユウヤの体は爆発した。


「ゲホッ、ゲホゲホ! まさか攻撃も兼ねている技だなんて……」


「鳥岡君、しっかりは技は見極めないと……これからもっと強い敵が現れるのかもしれないのですよ?」


「へへへ……でもオレはこれだけでやられるほど弱くはない、さぁもう一度!」


 ユウヤは再び積極的に攻撃を仕掛ける。対する真銅は攻撃を受け止め、はらい、そして受け流すを続けながら隙を伺う。

 ユウヤは攻撃をどんどん続けていく。だが、いくら19歳の体といえどスタミナは無限では無い。ダイナミックな動作を続けていれば、だんだん疲れてしまう。


「おらっ、はぁ、うらっ……ハァ、ハァ……一度休憩にしませんか……」


「ですから、甘いですよ鳥岡君!」


「がはっ!」


 真銅の強烈な横蹴りがユウヤの腹にクリティカルヒットする。ユウヤはもろにその攻撃を受け、地面に倒れてしまった。


「ハァ……ハァ……先生、そんなに元気なのは……なぜ……」


「あなたはいっせーので飛ばしすぎなんですよ……マラソンでいきなり全速力で走ったりしないでしょう?」


「確かにそうですけど……」


「改善点を挙げるとすれば2つ……もう少し相手の様子をうかがうことをクセづけるか、もしくはスタミナを底上げすることです」


「ス、スタミナ……」


 ユウヤは最近の戦い方を思い出していた。確かにアパタイザー等との戦いでは「相手との力量差をいかにしてカバーして戦うか」を考えながら作戦勝ちすることが多かったが、最近は成長してきた力でゴリ押しすることも増えていたかもしれない。真銅はかなり人を見る目がある、そうユウヤは感じた。そして、気付けば勝手に口は動いていた。


「先生……お願いします。この3日間、稽古をつけてください!」


「当然です……ただ、大学の授業もちゃんと受けてもらいますからね」


「ええっ……!? でも確か4回くらいなら休んでもセーフなはずじゃ……」


「私は『あらゆるシチュエーションに備えたトレーニング』と言ったはずですよ。忍耐力、そして当たり前のことをちゃんと執行する、それもトレーニングの一環です。ほら始めますよ、ほら急いで!」


「ひ、ひええーー!」


 その後、溜まったアーカイブ漬けになったのは言うまでもない……








 



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