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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
2章_2 コウキ始動編
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87話 洗脳装置、流通計画

「さてさて……いきなりこんだけ売れたらありがたい、あの計画もスムーズに進むぜ」


 不沈陽しずまずコウキは倉庫に大量に準備されたアクセサリー、いや洗脳装置の山を見てニヤリと笑っていた。


 振り返りになるが、彼の表の顔は人気インフルエンサーだ。今回のようにグッズを販売することもよくあるし、様々なものをオススメする投稿をすることで中〜大学生から特に人気がある。


 しかし、裏の顔はチーム・ウェザーで暗躍するメンバー、それも幹部クラスだ。ファンから善意で仕入れた情報やプレゼントは、全て自分達の計画のために利用する。


 ネットの片隅には、「チーム・ウェザーに対するインタビュー映像に出ていた幹部A」と喋り方や声、体型などが似ていると噂する者もいるが、ただのこじつけや嫉妬だとの声の方が大きい。だが、不思議なことにそのような核心突いた投稿をした者が数日以内に行方不明になることはまだ世間にはバレていないのだ……


「それでは、3,2,1……はいどうもこんにちは! えー今回はですね、この前告知しました各種グッズの――」


 不沈陽しずまずは今日も陽気に動画を撮影する。そんな時、倉庫に1組の男女が入ってきた。


「あっ、もしかして撮影中? 邪魔してゴメンよ不沈陽しずまず〜!」

「……邪魔して、悪いな」


「……おー! ヒビキとポワソじゃん……あっ、カナって呼んだほうがよかったっけ?」


「……アタイはそっちの方がいい」


 倉庫を訪れたのはヒビキとカナ。彼らにも近々、全国的にこの洗脳装置が流通するという情報が届いていた。カナはそうでもないがヒビキは洗脳が強すぎたことによる反動からだろうか、このチームに加入してからの記憶をほとんど忘れてしまったようだが……


「それにしてもさぁ……これ本当に全国に送る気? かなり大変そうだけど……」


「そうなんだよー! もっとアシスタント雇うべきだったわぁ……良かったら手伝ってくれね?」


「ア、アタイはちょっと他の仕事で忙しくて……ほら今からもユウヤについてちょっと、ね! だからまた行く、ゴメンなー! ほら行くよ」

「え? あ、あぁ……」


「うぃーっす、お互い頑張ろな〜……最近どうしたんだろな、ヒビキのやつ」


 不沈陽しずまずは最近ダウナー気味のヒビキに違和感を抱きつつも、カナとヒビキを見送り、再び笑顔で動画撮影を再開した。一方2人は、小声で周りにバレないようにある作戦について話し合う。



「……なぁ、ヒビキ」


「どうした……?」


「この計画、アタイ達で止められないかな……いや、止めなければならない」


「止める……それにしてもどうやる?」


 ヒビキはまだ寝起きのように頭が回っていない。カナは若干その状態に苛立ちながらも説明する。


「簡単なことよ、カンタンなこと。あの指輪とかを破壊するだけ。それにヒビキ、アンタ電気と雷の術が得意でしょ? 中の洗脳システムをぶっ壊すのには持ってこいってワケ」


「破壊、か……だがバレないためにはどうする? この拠点は部外者の侵入、または内部者の謀反に反応して排除するシステムがある……と部下らしい研究者から聞いたぞ、さっき」


「それなんだよなぁ……これは仮定の話だしそもそもパワープレイかもしれないけど、ユウヤ達が近日中にここに乗り込んでくるなら、それにタイミング合わせる……ってのはどう?」


「ユウ、ヤ……ッ!? はっきりと覚えてはないが、どうにも耳にさわるんだ……その名の響きがな!」


 繰り返しになるが、ヒビキは自らの悪行をほとんど覚えていない。これまでは洗脳装置からの指示で動き、”あのお方“を信じていたが、ユウヤ達との戦いを通じてそれは破壊され、つまり洗脳前のヒビキに戻ったのだ。


「そう! だけど、この指輪とかの出荷前に来ないならばアタイ達だけでやるしかない。具体的には……5,6日後くらい!」


「そうだな、どうせ散るならせめて大きな傷跡を付けてやる……そして生き残ったなら! そのユウヤとかいうのをブチのめしてやらああああ!」


 ユウヤ達の知らぬところで、2人が自分たちの計画を壊すためについに動き始めた。ユウヤとヒビキの共闘の可能性が出てきたが、ユウヤがそれを受け入れるかどうかは、また後の話だ。




 

 






 





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