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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
2章_2 コウキ始動編
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79話 敵倉庫侵入作戦

「でも、どうやるんですか? 洗脳装置アクセサリーは既に完売でした、日本全国に行き渡るであろう()()をすべて回収するなんて非現実的ですよ」


「その通りです。だから、根本部分から崩す必要があります」


「ね、根元……ですか……」


「そのためには……協力してもらいますよ、アサシンさん」


 真銅はヒトシにプレッシャーを与える。流石にヒトシもこれ以上反抗する勇気や気力は残ってないようで、小さくコクリと頷いた。


 真銅は作戦の説明を始めた。まず、ヒトシが指輪を購入した際に送られてきたメール、及び指輪そのもの等の情報を組み合わせ、チー厶・ウェザーの活動拠点を特定する。そしてバレないようにその中へと潜入し、これから発送されるであろうアクセサリーをまとめて破壊する……というものだ。


「手荒ではありますが……仕方ありません」


「なるほど……でも侵入なんてそう簡単にいくものですかね? 第一オレ、この状態ですが……」


「そうです。ですからこれを」


 真銅が手渡してきたのは大量の迷彩服、スーツ、全身タイツ、そしてチーム・ウェザーがどうのこうのとプリントされたリストバンドなどだ。サイズは既にユウヤにもピッタリ合うように調整されている。


「拠点が山にあるなら迷彩服を。街中ならスーツを。そしてダクトからの侵入後はこの全身タイツで物陰に紛れます。最後にピンチになればこのリストバンドを見せつける……これでいきま――」


「いや待ってくれ! ムリがあるだろ、しかもオレは怪我人グギャアアアア!」


 ユウヤは思わず真銅にツッコむ。いきなりそんなスパイみたいなことできないぞとユウヤは別の方法を希望するが、真銅は淡々と説明を続ける。どうやらもう言うことを聞くしかなさそうだ。


「……以上が大まかな作戦です。予定としては2日以内に場所を特定、3日であらゆるシチュエーションに備えたトレーニング、その翌日に移動、そして残りの日数で一気に畳み掛けます」


「そうですか……それで、何人で行くのですか? 少ないと敵に囲まれた時に危険、多すぎると逆に目立ちます。それにオレは怪我してます」


「そうですね……鳥岡君と私、あと人は欲しいところです。あとは現地周りの写真を地図アプリで見てから決めましょう」


「分かりました。怪我してますけど」


 早速真銅はヒトシのリュックを拾い上げると、すぐに中身を物色し始めた。中からは飲みかけのペットボトル、いつのものか分からないクシャクシャになったレジュメ、バイトのシフト表のメモ、そして指輪に付けられていたであろうタグが出てきた。


「お、おい! 勝手に中身見んじゃねぇ!」


「静かに!」


「あ、はい……」


 ヒトシを黙らせた真銅はそのタグ、そしてヒトシがつけていた指輪を丁寧に透明な袋に入れたかと思うと、次は突然ユウヤの体に手を当てて不思議なパワーを送り込んできた。


「こ、これは……?」


「治療技です……即効性はありませんが、2日もあれば動くには問題ないくらいには回復しているでしょう」


「なら初めからその技かけ――」


「何か言いました?」


「い、いいえ! ありがとうございます……」


 あやうく口を滑らせそうになったユウヤは、病室を後にする真銅の背中をただ見つめることしかできなかった。

 5,6日後にはチーム・ウェザーの一拠点に乗り込むことになるだろう。疼く傷を優しく抑えながら、ユウヤは少しでも体力を回復するために再び眠りについた。



「もしもし、真銅です」


「おお、ワシじゃ。待っておったぞい……もちろん、例の件についてじゃな?」


「ええ、例の件で……指輪とそれについてたタグ、これでよろしいですか?」


「それなら十分じゃ……それでは、すぐに車で運んできてくれるかの」


「分かりました。すぐに向かいま――」


「それと……見つかるでないぞ、この件は」


「はい、それでは失礼します……」


 病室を出て、駐車場で真銅は何者かと電話をしていた。病院の影に隠れて、他人に悟られないように小声で。そうして通話を終えた真銅は周りに敵がいないことを確認しながら車に乗り込み、目的地へと向かって行った。



 一方その頃、栄田が倒れたカフェに接近する者がいた。石像が散乱した現場に1人、再び足を運ぼうとする者が。


「さて……そろそろおらんくなったやろ、あいつら。これで本題に入れるっちゅーワケやな」

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