表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
2章_2 コウキ始動編
73/221

71話 闇を抱えるヒカリ その1

「岩壁、破壊イイイイイイイ!」


「破壊イイイイイイイ!」


「安全確認ヨシ! 準備、ヨオオオオオオオシ!」


「射撃準備、ヨオオオオオオオシ!」


 特殊錬力隊は一斉に火器を構え、栄田が作った岩壁バリケードを破壊しようと射撃し始めた。


「中から奇襲をかけられるかもしれないいいい! 細心の注意を払えええええええい!」


「ラジャアアアアアアアアアア!」


 厚い岩壁がどんどん削られていく。まるでコンクリートをドリルで削っていくように、カフェ突入への準備が進んでいく。


「す、すごいぞおおお! どんどん岩が破壊されていく!」

「が、頑張れ錬力隊ぃぃぃ!」


 ギャラリーからは声援が飛び交う。その声は火気の勢いを後押しし、もはや爆発すら起こしてしまいそうだ。


「この錬力銃はぁぁぁぁ! 応援してくれる皆の声を音エネルギーとして利用、射撃のパワーに合わせるぅぅぅ! ラストスパート、解き放てぇぇぇ!」


「ラジャアアアアアアアアアアア!」


 ドカドカドカアアアアアアン! 岩壁が派手に破壊されると、椅子や机、インテリアが乱雑に散らかったカフェがあらわになった。中では相変わらず、ヒカリが暴れて叫んでいる。


「一斉に突撃、少女を保護せよぉぉぉぉぉ!」


「ラジャアアアアアアアアアアア!」


 隊員たちは一斉に隊列を組んでヒカリに向かっていく。ヒカリは一瞬驚くような仕草を見せたが、すぐさま彼らを腕組みをしながら睨みつける。


「私は、わたしが《《やるべき》》ことをやるだけ!」


「……ん? 今、ヒカリなんて言った?」


 ヒカリは隊員たちの目をジッと見たかと思うと異変が起きた。一番先頭に立っていた隊員の足が突然止まったのだ。そして、足元からパキパキと骨が砕けるような音が響く。


「グアアアアアアアアア! 足が! 足があああああ!」


「た、隊長ぉぉぉぉぉ! 何が起こったでありますかあああああ!」


「足があああああ! まるで石に変わって……行……く……」


「た、隊長が! 固まってしまっまたぞおおおお!」


 先陣を切っていた隊長はすっかり動かなくなってしまった。言葉も発さず、ピクリとも動かない、ただ立って同じポーズを取り続ける、それはまるで石像のようだ。


「オイ! 石になったぞ! やべぇ、やべぇ!」

「おい、逃げるぞ! うわああああ!」


 恐怖のあまり観衆が逃げ出す。が、その攻撃を一部受けてしまっていたのか、もしくはヒカリが攻撃したのか、逃げ出した観衆もどんどん石像へと変化していく。


「イヤアアアア! 何これ、固くなっていくんだけ――」

「うわあああああ! やめろ、やめろ、うわあああああ!」

「ウワアアアアアン! ママー、怖いよぉぉぉぉ――」

「カズちゃん、大丈夫だからね、カズちゃ――」


「な、何だよこれ……」


「ハハハハハハ! 所詮どれだけ武装しても……メドゥーサスカルプチャーの前には手も足も出ない!」


 ヒカリは石像となった隊長を押し倒し、何度も踏みつけて粉々に砕いてしまった。あまりに残酷な光景に、隊員たちは思わず固まってしまう。

 だが、その中に1人勇気がある者がいた。武器を掲げ、


「うわあああああああああああ!」


 と叫びながらヒカリに向かって飛び出したのだ。他の隊員も慌てて止めようとするが、既に間に合わない。ただがむしゃらに走っていくが、その隊員の行動も虚しく、気付けば足元が石のように変わっていた。

 隊長が悶絶していた様子からも、足にはかなりの激痛が走っているはずだ。だが、その隊員は粉々になった隊長の方を振り返ると、匍匐前進になりながらもヒカリに向かっていくのをやめない。


「人の命がかかっている中で……仲間をあんなにされて……力に溺れて暴走している少女を目の前にして! 逃げるなんて選択肢がありますかあああああああ!」


「……マスターが言ってた、飛んで火に入る夏の虫ってまさにこのことね」


 ヒカリは躊躇することなく、その隊員も、そしてその後ろにいる隊員達を全員、石像へと変えてしまった。

 カフェと道路には、合計10体以上の石像が転がるばかりだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ