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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
2章-1 アズハ班進撃編
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60話 逆流 

「へぇ、反逆者。あのお方がこの光景を見たら、アンタは一瞬で細胞すら残らずジ・エンドなのよ?」


「だから一瞬で片付けるつもりよ。跡形残さずね」


「……カラゲ! オムビ! さっさとやっちゃいなさい!」


「おう! やってやんよ!」

「承知でござる」


 カラゲとオムビは同時に動き出し、カナを挟み撃ちにする。カナは冷静に両者の動きを観察するが、オムビは早速仕掛けてきた。


「必殺・発熱火遁!」


 カナの顔面の前に炎が生まれる。カナも腕に水を纏わせ、勢いよく腕を振るい炎を消化するが、足音に気付いてふと背後を振り向くとカラゲが目の前まで迫ってきていた。


「い、いつの間にっ!」


「よそ見してちゃダメだぜぇ、アチアチ・メラメラ・フルパワーアッパー!」


「……甘ぇんだよ、シェル・シール!」


「甘いのはそっちだろが、喰らえええ!」


 巨大な貝殻が現れ、カナを守る。それを気にせずカラゲが貝殻に火を纏ったアッパーを繰り出すと、殻を突き破ってしまった。


「ハハハハハ! もろい盾だことぉ! そのままお前の顔面掴んでやらぁ!」


「……ひっつけ、貝殻」


「な、何だとぉっ!?」


 カラゲが有頂天になったのもつかの間、突き破ったはずの貝殻がカラゲの腕に密着し始めたのだ。まるでそのまま噛み切らんほどの締め付け具合にカラゲも段々焦りを見せ始める。


「くそっ! 取れねぇこの貝殻!」


「それがシェル・シール。シールのように張り付き、猛獣のように相手を噛みちぎる」


「シールドじゃなくシール……そういうことかっ……」


「さぁ貝殻よ! そのまま本能のまま食いちぎってやりなさい!」


「……させないでござる! 火遁落とし!」


「きゃあっ!」


 オムビの背後からの踵落としに倒れるカナ。だが、カナはそれも計算のうちだったのだ。


「……なーんてね。残念ねぇオムスビちゃん。わざわざ近寄ってきてくれて嬉しいわ」


「……むむっ?」


「必殺! ホエール・スワールプールゥゥ!」


 カナはその場で高速回転を始めた。すると、その周りに大きな渦潮が生まれる、ザアアアアアアと大きな音を立てながら、やがてオムビを巻き込む。


「しゅ、手裏剣の如く回って……動けないでござる!」


「キャハハハ! さらにこの技はこれからよ!」


 カナが大きく腕を上げて振り下ろすと、クジラのような大きな影が浮かび、大量の水と共にオムビを叩きつけた。


「ぐわあああああああ!」


「所詮その程度、弱いんだ、よっ!」


「ぐふ!」


 カナはハイヒールでオムビを踏みつける。起き上がろうとするところを執拗に、5回、6回と踏みつけてオムビをノックアウトさせた。


「さぁかかってきな、カラゲ!」


「……言われなくてもなぁ!」


 カラゲは雄叫びを上げながらカナに向かって駆ける。特に策も考えずに、ただ力任せに全速力で向かってくる。

 そんなカラゲをカナは憐れむような目で蹴り上げ、高圧洗浄機のような鋭く猛烈な水で迎え撃って吹っ飛ばし、ぶち当たったガラスのテーブルを粉々に砕いてしまった。


「……この程度、やれやれね」


 カナはカラゲ、オムビに装着された指輪と鉢金をそれぞれ外し、ハイヒールで粉々にぶっ壊した。


「はぁ。バフかけられてこの程度?」


 カナは呆れた。それを見てアズハは怒鳴る。

 

「……アンタねぇ! そんなことして、あのお方が黙ってるかと思う? そのうち処刑されるだろうねぇ!」


「あら? その“あのお方”って誰かしら? 残念なことに最近物覚えが悪くてね」


「うるさいうるさいうるさい! スズメバチに喧嘩売るような服装しやがって! 帰ってきたらアンタもユウヤ達と同じお墓に入れてあげるんだから」


 黒ニットに黒フレアパンツ。確かにカナはスズメバチに襲われそうな服装をしている。一瞬図星をつかれたような気になったが、負けじとカナもアズハを煽り返す。


「はいはーい。歳上には口の聞き方を気をつけましょうね、《永遠の16歳》ちゃん」


「……あああああああああ! 後で覚えとけよこのババア! まずは刈り取る、アイツらの命をね!」


 アズハはテレポート装置を天井へと掲げ、そのままユウヤのところへと向かっていった。


「……アンタとアタイ、年齢変わんねぇだろ。この《《姫》》野郎」


 カナも叫び声を上げながら扉を思いっきり蹴り飛ばして変形させ、そのままカツンカツンと足音を立てながらアズハの部屋を出ていった。

 

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