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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
1章-4 決戦・ヒビキ編
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40話 情報共有は念入りに

「なぁ、それ何時頃だ!? 何時何分何秒、地球が何回転したと――」


「うるせぇな、ガキみてぇな質問すんな! ……まぁ、だいたい14時くらい、らしいわ」


「ごめんなさい……あと、その部下ってどんなヤツ?」


「……コードネーム、ヴィアンド。はっきり言って、アタイよりも、アンタよりもずっと強い。アタイの口から言えるのはそれだけ」


「そっか……教えてくれてありがとな、カナ」


 ユウヤはカナにグータッチを求めた。嬉しかったのだ、敵対関係にありながらその情報をくれたこと、そしてユウヤに心を少し開いてくれたこと。

 もし救えるならば救いたい。かつてのカナが捨て駒としてチーム・ウェザーに勧誘されたのであれば、今度は自分達が“仲間”として“救い直そう”と。だが……


「か、勘違いしないでっ!」

「ぐぁっ!?」


 カナはいきなり手のひらに水を張ってパチーンと平手打ちをしてきた。水を含ませたタオルで殴られたかのように、頬の表面が痛い。


「痛てて……なぜ殴るんだ……」


「友達になりたいワケじゃないの! 情報提供はタダのお返し! ったく……絶対彼女いないでしょアンタ」


「ぐ、ぐはぁああああああああ!」


 あまりのショックは雷でも喰らったかのようだ。思わず絶句したユウヤは、帰っていくカナの背中を見守ることしかできなかった。


「ハハハ、そのうち作ってやるから首洗って待ってろ」


 そう呟いたユウヤは部屋に戻ると、再びパソコンの前に座りオンライン授業を受ける。幸い、しばらくの間離席していたことはバレてなさそうだ。


「そして、地の錬力術はこの広大な地球の大地と自らのエネルギーを共鳴させ――」


「あぁ、しばらく抜けてたせいで話が全く意味不明だ……」


 ユウヤはハハハと情けなく笑いながらも真剣に画面に向かう。他の参加者の画面を見てみると、もう先程のような怪しい人物はいない。ただ気になるのが、ほとんどの人が明らかにスマホを触りながらくつろいでいるという点だ。


(こいつら講義中にスマホ触ってんのかよ……)


 普段の自分を棚に上げてユウヤは呆れた。が、その瞬間ユウヤのスマホにも1件の通知が入る。勇者御一行とかいう会話グループ、対チーム・ウェザーのためにユウヤが立ち上げたものだ。


“すまん、ユウヤ!

どうやら捕まってしまったようだ……


明日、リサトミ大学にヒビキは来る!

時間は13時半、くれぐれも気をつけろよ!”


「タケトシ! 無事だったのか!」


 ユウヤは嬉々として返信する。


“無事だったなら良かった!

13時半だな、任セロリ!”


 ふぅ、よかった。どうやら命までは取られていないようだ。さて、あれからたくさん鍛錬は積んだのだ、明日ヒビキにギャフンと言わせてやろう! 張り切った瞬間だった。なんと、イチカとシュウタロウ、メイも会話に参加してきたのだ。


“よかったな、ユウヤ!

明日はウチも行くぜ!”


“少しお待ちを!

拘束されているはずなのに連絡手段を奪われていない、何か良くないモノが見えますわ”


“ん? いやいや、13時半でいいやろ。

本人がそう言うてるんやから”


“その文字を入力しているのがヒビキだとすれば! のこのこと定刻に現れたところを奇襲されることも考えられますわ”


“いや、それこそ早めに行って逆に攻撃すれば良くあらへんか?”


 どうやら時間について揉めているようだ。確かに、メイの言う通りこの文章をタケトシではない他人が入力していたとすれば、この通りに動くのは危ないかもしれない。それに、カナが言っていたのは14時のはずだ。ダメだ、考えれば考えるほど疑心暗鬼になってしまう……


“でもオレ、実はさっき敵に襲われたんだけどタレコミしてくれたぞ。14時に来いって”


“うーん、どうなんだ!? でもウチは13時半でいいと思うぞ、だって本人のアカウントなんだからな!”


“スマホ奪えば簡単に本人になりすませますわ……とにかく、13時半を妄信してはいけませんの”


“やかましいやかましい、ワシはこの時間に行くしか考えられへんけどな。それに敵のタレコミとか信用に値せん”


「うーん、どうなんだこれ……」


 ユウヤが混乱していると、個人メッセージがメイから届いた。


「ん、何だこれ?」


わたくしが占ってどちらの時間に行くべきか占いますわ。だから明日、近くのカフェかどこかで待機しておいてほしいですの”


 なるほど、どうやらメイが占いを使ってくれるらしい。きっと監視カメラのように大学内の様子を見て、それにより今すぐ行くべきかまだ待機すべきかの指示を与えてくれるのだろう。ユウヤはこれをかなりのナイスアイデアだと感じ、


“オーケー。それで頼むわ”


 と返信した。

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