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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
1章-3修行編
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26話 組手大会決行!

 ユウヤが山で修行、また老夫婦の霊と対峙した翌日。ユウヤはその日だけでは気がすまず、今度は栄田マスターのところへ行こうとしていた。武道室で組手をしようと考えていた。


 ユウヤは早速グループに突発的ではあるが“武道カフェ”の場所と集合時間を記したメッセージを送った。


「いきなり当日に募集して……来てくれる人いるのかなぁ」


 ユウヤはあまり期待はしていなかったが、早速4人のメンバーが返信してくれた。奇跡的にも皆用事が入っていなかった、いやチーム・ウェザーとの戦いのためにあまり入れていなかったのか、皆が組手に来てくれることになった。


「来てくれるのはタケトシにカエデ、イチカにシュウタロウか。いきなり募集したから仕方ないけど、相変わらずアイツは来ないんだなぁ」


 ユウヤはジャージに着替えて軽く朝食をとろうとしていると、一通の着信が入った。誰だろうと思って名前を見てみると、そこには岩田タケトシという名前が書かれていた。


「もしもしー? オレだオレ。ユウヤ、気合入ってるみたいだな」


「あぁ。昨日力に自身がつくような、ちょっといい出来事があってな、早速それを試したいんだ」


「どうしたんだ? いい師匠にでも出会ったか?」


「まぁ後でわかるさ。でももしかしたら、もうコンプレックス克服したかもしれん」


「おぉ、それは期待できるじゃん。じゃあ、今日の組手楽しみにしてるわ、んじゃ」


 タケトシは電話を切った。昨日ユウヤは老婆に力を引き出してもらい、その後の山での修行でかなり自信がついていた。

 なぜならば……老婆は「動物霊の持つ力を引き出した」という話をしていた。また、以前メイは「悪霊がものすごい力と同時にデバフを与えている」という話をしていた。これらを組み合わせると、「ユウヤに取り憑いている悪霊、恐らくあのモヤが持つものすごい力を引き出してくれた」ということになるだろう。だとすれば、緊急時以外に錬力術があまり使えないというデバフを相対的に打ち消し、錬力術を普段から皆がするように使えるようになってきているのだろうし、またそれをユウヤ自身も何となく実感していたのだ。


「フヒヒヒヒヒ、絶対アイツら驚くわぁ、いや楽しみすぎる、フヒヒヒヒ」


 ユウヤはタケトシ達が成長ぶりにびっくりするところを想像してニヤリと笑った。たった数日でこれほどまでに成長するなんて普通はありえないだろうから……その笑い顔はもはや不審者のようだった。ユウヤは感情が高まり、1人壁に向かってポーズを取った。


「ほら、ヒビキの野郎! 成長したオレに恐れおののくか? そりゃそうだよな、フハハハハハ!」


「アンタ何一人でワケ分かんないこと喋ってるの! それより来週からの授業の予習はしてるの!?」


「えっ! 見てたの!?」


 一人でかっこつけるユウヤをいきなり叱りつけた、いや問いただしたのはユウヤの母だ。まさか見られているとは……ユウヤは恥ずかしさのあまり赤面し、また呂律も回らない。


「べ、べ、別に何でもないし! それに教科書とか無いヤツだから予習とかしようがないのよ、あとさっきのは学園祭でやる演劇の――」


「学園祭は去年秋にあったでしょ! 普通年に1回じゃないのそういうのって!」


「もー、分かった、分かったから! こっちの話だから何でもない! それじゃちょっとでかけてきまーす!」


「ちょ、ちょっと待ちなさい! こらー!」


 ユウヤは母から逃げるように家から出て、全速力で駅まで駆け抜けていった。元々足が速く、また親から恥ずかしいところを見られるというある意味“緊急時“ということもあり、ものすごい速さで走ることができた。


「ハァ、ハァ……組手の前に体力使い果たしちゃうわ、これじゃ」


 ユウヤは酷使した肺を庇うように手を当てながらベンチに腰掛け、電車を待ち始めた。それから5分ほど経っただろうか、いつも通り定刻に電車が来た。いつもは3分ですらうざったく感じる電車の待ち時間も、今日だけは逆にかなり早く感じるのであった。

 ユウヤはすぐさま席を確保し、ようやく息が上がってきたところでスマホを開いた。するとカエデからメッセージが来ており、その内容は「組手はトーナメント? それとも、総当たり?」という質問であった。


(そういや決めてなかったな……まぁトーナメントでいいか、その方がより全力で挑み合えるだろうし)


 ユウヤはすぐさま「トーナメントだよ」と返信し、スマホを閉じて仮眠を取り始めた。


「むにゃむにゃ……楽しみだな、シュウタロウってヤツの戦い方」

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