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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
5章 神域編
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212話 恐怖のアルケー

「きは……く……ッ!?」


 その言葉を耳にしたとき、既にユウヤの意識は朦朧としていた。ただでさえ幻想的な景色がさらにぼやけて薄れていく。ユウヤにとっては、ただ「しばしの間眠るがいい」と言われただけである。身体に触れられたりするなど、何かしらの干渉を受けた感覚など無かった。正確には聴覚を除いた「四感」に対してだが。


(い、意識が……消えて……いく……)


 それに耐えようとする気も、何が起こったのか考える気力は全く湧かない。ユウヤはワケも分からず気絶させられたのだ。アルケーという、間違いなく神に近い存在に。



「コココココココ、コケエエエエエエッ!」

「ココココ、コギャアアアアア!」


「やかましいな、相変わらず。聖霊の中でも知性はワーストクラス……もはや害獣だ」


「ア、アルケー様! やる気なのですか、まさかあれを……!」


 オーディンはアルケーが何を始めるのかと焦って問いかける。だが、アルケーは呆れ顔でオーディンに悪態をついてきた。


「あのな、オーディンよ……いくら∣奴ら《コカトリス》が鳥頭だとしても、何も無いのにここまで騒ぐとこなどあり得ぬことなのだ。知っているだろう、ここに住んでいるのだから……」


「それは確かにそうですが……ですが、その……まさかアレを追い払ったとしても、その『何か』を回避できるワケでは……」


「心得ている。ただやかましいからだ。やかましいから、罰を与える……そうやってそこの息子を躾けていたじゃないか、オーディンも」


 アルケーは右手の人差し指をコカトリスの大群に向ける。そして何かを発射することもなく、ただため息を吐いた。するとその瞬間、上空にて激しく雷光が舞い踊り始めた。


「ッ!? ア、アルケー様!?」


「我に歯向かう、それは論外……だが、少しでも不快感を与えやがる者もそれは罪人同然! ならば行く先は決まっている!」


「ヒ、ヒィ……! 申し訳ございませぬ、私としたことが……!」


 オーディンは膝から崩れ落ち、頭を地面に擦り付けながら謝罪する。だがその腕と胴はブルブルと小刻みに震え、指先はカリカリと地面を堀り進め、脚はバタバタと勝手に動き、逆に土下座のフォームとは言い難い形状となっていた。そんな情けないオーディンの周囲に、ユウヤと同じように突然気絶したコカトリスがバタバタと落ちてくる。


「ア、アアア……アアアアアアア……」


「それでも四天王か、オーディンよ……まぁ良い。そこの息子には聞きたいことがいくつかある。連れて行くぞ、ほら早く立てオーディン」


「はい……行きましょう、ああぁぁぁ……」


「……おい、何を泣いている? 仕事だ、これは命令だ、ほら……」


「ああああ、ああああああああ……」


 アルケーから何と言われようとオーディンは、しばらくの間そこから動くことができなかった。

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