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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
5章 神域編
215/221

210話 割って入る者、その名は

「……情けない。情けないよクソ親父……慢心してるのはそっちだろうがよぉぉッ!」


「グッ……グアアアアアアアアアア! この力、間違いなく『強い』ッ……!? まさか、まさかこんなことが……!?」


「その通りダ……オマエ、潰ス。絶対、ブッ潰シてやらああああああああああああッ!」


 突然、ユウヤは覚醒した。父であり実力者であるオーディンも驚かずにはいられないほどの「何か」を覚醒させたのだ。

 静かに草木を揺らす優しいそよ風は突如、蒼穹を駆け巡る荒々しい乱気流へと姿を変えたのだ。


「オレを捨てておいて、都合が良くなっタラご機嫌になりやがル。はっきり言っテ、ゴミカス野郎、大馬鹿野郎ダ……!

 オレが……オレガ……オマエナンカニ、のこのことついて行くトデモ思っタノかああああああああ! 消し飛べェェェェッ!」


「チッ……バリアッ!」


(1秒、0.1秒……いや、それ以下でもいい! とにかくほんの少しでも時間を稼ぐのだ、さすれば何か策が浮かぶはず……!

 なんせ、我々ホリズンイリス一族の平均知能は人間を遥か凌駕する! 聞いたことがあるぞ、人間はときに「IQ」という数値で知能を表すと! 彼らの平均が100ならば、我らは200以上である、考えろ、考えるのだ……!)


 オーディンは脳みそをフル回転させ、息子に対する打開策を探る。「IQ200以上」でも理解不能な息子の急激な覚醒に対抗できる秘策を考える。


 だが、今のユウヤにとってその0.1秒はあまりにも長過ぎる時間であった。そして、オーディンにとっては足りるはずのない時間であった。

 バリアを即席で貼ろうとも、ユウヤにとってそれを打ち砕くことなどコピー用紙を手で引きちぎるよりも簡単なことであった。腕や足などを使わずとも、もはや咆哮、いや叫び声だけでその脆い壁を打ち砕く。


「グオオ……グアアアアアアアアアアアアアッ!」


 バリィン……! 聞いたことのあるような無いような、そんな音がエネルギーの破片と共に散乱する。そして何をする間も与えず、ユウヤは間髪を入れずその巨木のように発達した腕を振るう。


「クタバレ……このくそ野郎ガぁぁぁぁぁ……!」


「ぐぬっ……! ありえぬ、ありえぬ……劣った息子に敗れるなど……! グアアアアアアアア――」


「……停止ッ!」


「グヌッ!?」

「……そ、その声は!」


 突然、2人の間に何者かが割って入る。そのオーラにオーディンはおののき、ユウヤは驚いて動きを止める。


「情けないぞ。この聖域で同族同士が争うなど……ましてや親子同士だなんて……」


「……ヒィッ! 申し訳ございませんでした、私としたことが大変失礼なことを……!」


「……オーディン。腐っても貴殿は我らの四天王の一角を担う存在。本来あってはならないことだ、本来なら即・処刑に値することだぞ?」


「ここここここ、心得ております! しかしこの息子、ボレアスが突然攻撃をしてきまして……!」


「ふむ……貴殿の息子が」


「……グルルルルル?」


 謎の存在はユウヤをじーっと眺める。頭から足の先まで、そして尻尾や発達した筋肉を觀察する。そして数秒間、何かを考えるような素振りを見せると、突然ユウヤの首に手刀を振り落とした。


「……グギャッ!」


 ユウヤは気絶し、聖霊の力は解除される。そして力の抜けたユウヤをサイコキネシスで浮かび上がらせると、ひょいっと簡単にオーディンにその身体を投げつけた。


「……ア、アルケー様!?」


「連れて行くぞ。あの場所にな」


「あの場所……? まさか!」


「あぁ。早くくるのだぞ」


 ユウヤを抱えながらオーディンは、「アルケー」という存在の後ろについて行った……。

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