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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
4章 現代事変〜伍〜
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191話 疾風迅雷 その1

「お前らの実力は大体理解した。特に東雲ヒビキ……やはりお前は洗脳無しじゃ大したモンじゃねえな! だが、それならそれでいい……」


「そ、それはどういうことだ、ゴラァ!」


「言っただろう? 既に現代事変は開幕しているのだよ! まるでゾンビのように……そこら中我らを崇め称える奴らで溢れかえる! 文明の最期を見届けるがいい、フハハハハハハハハハハ!」


 ロドリゲスが言うとおり、日本中はメチャクチャになっていた。「神の名乗る一族」を崇める人間、そして現れる「神」本人。たったこの数分の間で、多くの仲間の命が奪われた。それを知った瞬間、ユウヤ達はどんな反応を取るのだろうか?


 天国で待つ彼らに早く会いに行くことなど、絶対に望んじゃいない。ユウヤ達も、栄田達もそれは同じである。ならば、どうやって目の前の強敵を倒せばいいのだろうか……?


 どれだけありったけの力をぶつけ続けても、ロドリゲスはびくともしていない。何十分、何時間、下手すりゃ何年間攻撃を続けたとしても……だが、ここでやらねばどこでやる? ユウヤ、カエデ、ヒビキ。3人の思いは同じだった。


「……お前ら。分かってんだろうな!? もう一発、いくぞッ!」


「当たり前だろ……忘れるワケがねぇ」


「何発でもやってやる……そうしないと、無念を晴らすことなんてできない!」


「ハァ……。ならば好きなだけ攻撃するがいいさ。無駄だといつしか思い知るだろうけどなぁ」


「今のうちにイキれるだけイキっていやがれ……! これがフルパワーの億雷……鉄砲ォォォォォッ!」


「タイフーン・ストレート……千本ノックでお見舞いだああああああ!」


「ス、スナバコノキッ! さ、3連発ッ!」


「フンッ……受けてやろうぞ、望むだけなぁッ!」


 ヒビキ、ユウヤ、カエデ。3人はさらに力を振り絞り、猛攻をロドリゲスに仕掛ける。大きな煙がモクモクと立ち込める中、それでも「やったか!?」などと言える余裕は全く無い。ロドリゲスは間違いなく、一汗かいた後にシャワーを浴びるかのように、むしろ気持ちよさげに攻撃を受けているに違いない。


「くそ……こうなったら"今度こそ"やるしかないかもしれない……!」


「こ、今度こそ……?」


 突然、ヒビキがユウヤの方をチラ見しながら意味深なことを呟く。今度こそ、一体何をだ? ユウヤはその意味を汲み取ることができていない。


「一体何をするつもりなんだよ、すまんが全く思いつかねぇ……」


「馬鹿野郎ッ! この前、残党とコウキ達との戦いのときにやろうとしていたことだ! あのオバハンがタイミング悪く獄霊石に尾前の聖霊を一時的に封印してたから、叶わぬ計画に終わったがな……」


――――――

『くそっ……こうなったら禁じ手、『ブレンド』を使うしかない……おいユウヤ、ペガサスの力を開放しながらオレに手をかざせ!』


『ブ、ブレンド……? 何だそれ!?』


『知らねぇのか……聖霊を宿す者が、同じ目的のためにその力を同時に解放することで一時的に生み出せる、めちゃくちゃ強い存在のことだ! 言わば……聖霊と聖霊の合体、さらに人間化だ!』

――――――


「お、思い出した! アレのことか……」


「それに賭けるしかねぇ! だが当然、それを使ってる間オレ達は聖霊の力を使えねえし、生まれてくるヤツのコントロールに全集中する必要がある……早速やるぞ、準備はいいか?」


「おう! やるぞ、ブレンドってやつを!」


 ユウヤはペガサスの力を開放しつつ、ヒビキの右手に左手をかざす。ロドリゲスは「何をするつもりだ」と近寄ろうとしてくる。カエデはありったけの力を振り絞り、せめてもの抵抗を試みる。


「ヒイラギ、妨害バージョンッ! 今、その身体は全身罠だらけ! 少しでも動けば……痛い目に合うからね!」


(お願い……1秒でも時間を多く稼ぐ、そうすればきっと……!)


「フン……ナメてんじゃねぇぞ! こんな子ども騙しなど焼き切れば結構! 輝脚ッ!」


「そ、そんな……焼却されちゃうなんて! でも、ここで止まってなんかられない……ホウセンカアアアッ!」


「チッ、鬱陶しい野郎だ! ならばお前から焼き焦がしてやろうかァッ!」


「く、くるならやりなさいよッ……!」


「いいんだな、女ァ! ならばお望み通りあの世へ送ってやる、輝脚……くたばれ――」


「「その必要はないぜッ!」」


「……あ?」


 ロドリゲスが思わず攻撃を中断する。彼が見る先には、とてつもないオーラを放つ謎の存在が立っていたのだった。






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