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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
3章 現代事変編〜弐〜
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147話 雷撃

「植物のバケモンさんよぉ、オレの攻撃をカット打ちするなんていい度胸してんじゃねえか……今度は170キロ代の剛速球、ぶち込んでやるよ」


「ほう……ならば大きく振りかぶった瞬間にこの世から消し去ってやろう。オレがタイムオーバーで消滅する前にな」


「あぁ……やってみろよ、やれるならなあっ!」


 ヒビキは地面を蹴って全速力でバケモノに駆けてゆく。対するバケモノも攻撃に備えるが、ヒビキはその股下を通り過ぎ、バケモノの視界から消え去る。


(身長は3メートル弱ってところか……ぐるぐる周りを回って翻弄すれば、時間を稼ぐのは簡単、だがさらに上乗せで体力を奪ってやらァ!)


「輝脚……今や大キライになったアイツの技を使うなんて嫌だが、ワガママなんて言ってられねぇ、焼き焦がす!」


 ヒビキはバケモノの死角から得意の肉弾戦を仕掛けようといきなり必殺技を放つ。だが相手は流石ブレンドで生み出された異形の戦士、たやすくその攻撃に適応してくる。


「無駄だぜヒビキ! 天狗の能力により、風の動きを読むのは吐息で蝋燭の火を消すぐらい簡単にできるんだぁ! そしてサイクロプスの剛力で叩き潰す、潰れ飛びやがれえええ!」


「うるせぇ……植物らしく雷の前に儚く枯れ果てろぉぉ!」


 鞭のような腕と雷を纏った脚がぶつかり合い、激しく火花を散らす。ヒビキは何とかバケモノにダメージを通そうと力を絞り出すが、相手はまるで鋼鉄のように頑丈、小さなかすり傷1つすら付けられそうにない。


「ぐっ……! ならば追加だぜ、雷雲地獄ゥゥ……!」


「ほう……雷雲でオレを包んだところで何ができるんだ? 静電気程度のビリビリ感は感じるが……まさかそれがお前の実力だと言うのか?」


「た、戯けぇ……こうなったならばもう仕方ねぇ。輝脚のラッシュ攻撃だぜ、スゥーッ……」


 ヒビキは深呼吸し、精神を統一する。その身を粉にする、いや消し炭なってもいい。そう覚悟した瞬間、両足で目にも止まらぬ速さでバケモノを連続で蹴り始めたのだ。


「オッラアアアアアアアアアアアアアアア! 散れ、消えろ、燃えやがれ! ガアアアアアアアアアアッ……!」


「チッ……ちょこまかと鬱陶しい野郎だ、一思いに消してやる!」


 対するバケモノもただ攻撃を受けるだけで終わらせなかった。ヒビキの攻撃に耐えつつも、頭上に小さな竜巻を作り上げ、周囲の置物やゴミ箱など、ありとあらゆる物を持ち上げる。


 ヒビキはそれにすぐに気付いた。この威力はユウヤの必殺技であるタイフーン・ストレートを遥かに凌駕するものだと。両隣のビルもガタガタと音を立て、遠く離れた箇所に植えられている街路樹も大きく揺れる。


「どうしたヒビキ? 怯えているのか、情ねぇなぁ……」


「……」


 バケモノが指摘したとおり、ヒビキの目はもはや明後日の方向を向いていた。チーム・ウェザーに忠誠を誓っていた頃、ユウヤの大学を襲撃したことがある。その時初めて喰らった攻撃がユウヤのタイフーン・ストレートであったが、まだまだ未熟なユウヤのあの攻撃でさえ、威力はとんでもないものだとヒビキは感じていた。

 それを遥かに超える威力の技を簡単に繰り出せる相手と対峙してしまったとなれば、死を連想するのも無理はないかもしれない。


 だが、ヒビキはそんなにヘタレな男ではなかった。ヒビキが見ていたのは三途の川でも何でもなく、目覚めてゆっくりと立ち上がるカナの姿だった。ヒビキはバケモノに勘付かれないように、口をパクパクさせながらカナになんとかメッセージを送る。


(頼む……こいつをちょこっと濡らしてくれるだけでいい! さすればこいつに強烈な電流を流し込める……水はちょっと他の不純物を混ぜるだけで、一気に電気を通すようになるからな。何ならすぐそこの水道水でいい、頼む!)


「おーっと、どうしたんだヒビキィ? 遺言なら聞いてやるぜ、ほらよ」


「……だ、……からな……」


「おーっと聞こえねぇなぁ。特別にお仲間に伝えてやるからよ、もう一回言いな?」


 バケモノはその耳をヒビキに近づける。その瞬間、ヒビキはカナに具体的な支持を出してみせた。


「……死ぬのはお前だ、チャンスの神様が()()()に微笑んでくれたんだからな!」


「オ、オレ達ィ……まさか!」


 バケモノが振り返った時にはもう遅かった。カナはすぐ傍にあった蛇口を思いっきりひねり、その水をすべてバケモノにぶっかけた。すぐにバケモノの全身はびしょ濡れ、それをきっかけにヒビキの攻撃が牙を剥いて襲いかかる。


「終わりだぜ、タイムオーバーと共になあああああああああ!」


「ぐ、ぐわああああああああああああ!」


 何と形容すればいいのか分からない、そんなバケモノは霧のように消滅していき、そこには倒れた元部下が倒れるばかりだ。ヒビキは3人のところへ近寄ると、装着された洗脳装置アクセサリーを破壊してその場を立ち去った。


「……大丈夫か、カナ?」


「べ、別に……ありがと」


「そっか……それじゃ、次のところへ行くぞ」


「あぁ。まだまだこのパニックは終わらないからな」

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