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魔法が日常となった世界で、今日も地球は廻る。  作者: おみたらし
3章 現代事変編〜壱〜
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134話 フォーチュン その2

「メイさん……お返しに来ました、この帽子と、タロットカード……」


 ユウヤは男から奪い返した帽子とタロットカード、そして一輪の白菊をメイの横にそっと置く。そして目を瞑り、20秒ほど黙祷する。

 この犠牲は無駄にしてはならない。そう感じたとき、どこからかユウヤの名を呼ばれた気がした。


「……誰、今誰がオレの名前を――」


わたくしですわ。ほら、空の上を見てゲホッ! ご覧なさい」


「……っ!」


 他の皆から見れば、何の変哲もない曇り空。だが、いつの間にか雨があがっており、雲の隙間から太陽の光がこちらに向かって伸びてきていたのだ。


 漏れた陽光は外から優しくメイを優しく包み込み、よりいっそう菊の美しさもを引き立てる。そしてなにより、空の上から、きっと間違いなくメイがユウヤに語りかけてくれているように感じられたのだ。


「今、雲の上からタロットで占いましたの。鳥岡ユウヤさん、あなたに提示するのは世界。世界の正位置ですわ」


「世界……」


 ユウヤは思い出した。男からの最後のあがき、世界と書かれたタロットカードを発動されたことを。そのタロットは未だユウヤに襲いかかることなく、むしろユウヤに吸収され、未だ変化は起こっていない。

 一体何が起ころうとしているのか。その警告かと思いきや、意外にも前向きなメッセージをメイは送ってくれた。


「世界が指し示すのは到達……パーフェクトへの、ゴールへの。今は強敵と戦うばかりの毎日だけど……その行いは間違っていない。私の想い、それは前に進んでほしい、ただこれだけですわ」


「メイ……でもオレは巻き込んじまったんだ、地獄へ足を引っ張ってしまったんだ!」


「そんなことないですわ……気が付けば変な奴らに世界を統治されているよりも……ちょっとだけでも抗えたこと、逆に嬉しいですわよ」


「……」


「だから……そのタロットカード、託しますわ。扱いは難しい。だけど……きっと今の貴方たちには使えますわ。錬力術の達人の私からすれば、立派に成長しましたもの」


「そうか……ありがとう」


 ユウヤの表示が柔らかくなると、メイを包んでいた陽光も再び雲の中に潜っていった。今日はもう帰ろう……そう思った瞬間、外から嫌な声が聞こえてきた。





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