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3・子どもを通してのお付き合いが増える


子どもが外出したがるようになり、それから三津屋さんとはよく会うようになった。

家の前で、近所のスーパーで、散歩先で。

あちこちでよくすれ違うようになった。


季節はだんだんと寒くなって。

服が1枚2枚と増えて、わが子はモコモコ着ぶくれしていた。


お隣の桃亜ちゃんもだんだんと着ぶくれしてゆき、最後には頭にクマ耳帽子が乗った。

それがとっても可愛くて、似合っていた。




★親子が集う噂の場所


あんまり寒いので、お散歩もしにくくなったなと思っていた矢先、三津屋さんから声をかけられた。


「峰岸さん、今度一緒に子育て支援センターに行かない?」


(子育て支援センターとな?!聞いたことあるぞ・・・。

それって確か、同じ年頃の子どもたちが集まる感じのアレかな?)


寒くなって外にいるのも厳しいから、支援センターで遊ばせてみなませんか、との事だった。


「それは楽しそうですね!」


「おもちゃもたくさんあるし、ひらりちゃんきっと喜ぶと思うよ。」


まだ支援センターには行ったことがないから、ちょっと緊張するけど・・・。

確かに、ひらりが喜びそうだから行ってみようかな。


三津屋さんと支援センターに行く予定をたて、じゃあまたねとお別れした。


(支援センターか・・・楽しみだなぁ。)


あれ、これってなんちゃらデビューとかだったりして?!




支援センターデビュー当日。

三津屋さんと家から一緒に向かっても良かったんだけど、子連れだと時間が読めない時もあるし、お互い待たせたりしてご迷惑をお掛けするかも、となったので現地集合になった。


寒くても天気は悪くなかったので、ひらりには温かい服を着せて毛布をかぶせて、ベビーカーで出発!

荷物が多くてもベビーカーがあればまだ楽だよね。

道順も覚えたし、家からセンターまでベビーカーで行けるか下調べもしたから大丈夫。


意気込んでいたけど。

思ったよりも近かった。

徒歩10分くらい?


いつもは公園の方へ曲がるので気が付かなかった。

これって支援センターだったのね!


入り口から入って、受付表に記入したらセンターのなかへ。

ちょっとドキドキ。


私が到着すると、すでに三津屋さんは桃亜ちゃんを遊ばせていた。


「三津屋さん、今日はありがとうございます。誘ってもらって良かったです!」


「おはよう~!ここならあったかいし安心して遊ばせられるよね。」


目の前には色とりどりのたくさんのおもちゃ。

フロアへおろすと、ひらりは目を輝かせておもちゃへ突進していった。


お互いに子どもから目が離せないものの、保育士さんもいてくれるのでちょっと安心して過ごせる。


ひらりは私の所へ戻ってきたり、おもちゃを運んできたり、近くを散策していた。

このくらいの子どもたちは、誰かと遊ぶというより自分の好きなことをしている感じ。


すると、三津屋さんの所へはじめてみるママさんがやってきた。

同じ町内だからと、私に紹介してくれた。


「増山さん」とおっしゃるそうで、女の子のママさん。


「はじめまして、峰岸です。宜しくお願いします。」

(ドキドキ、緊張しちゃう~)


同じ年に産まれたので、学年も一緒との事だった。

娘さんは「ふうか(風華)ちゃん」というそうだ。


桃亜ちゃんよりも、風華ちゃんの方がひらりと月齢が近かった。

うちの子よりもしっかり髪の毛が生えていて、髪を結っているっ!


増山家は4人家族で、風華ちゃんにはお兄さんがいるそう。

扱いが雑だけど、風華ちゃんの事を可愛がってくれると、増山さんは言っていた。

(優しそうなママさんで、ホッとした・・・!)


他にもたまに支援センター来るママさんで、同じ町内同じ学年の男の子もいるそうだ。

ひらりが遊んでいる傍らで、近くにいた数人のママさん方にもご挨拶をした。




ひらりが飽きてきたので、この日は1時間くらいで帰ることにした。

三津屋さんはもう少しいて、近くで買い物をしてから帰るそうだ。


「また遊びましょうね!」


「はい、楽しみにしてます!」


なるほど、こうやってママ友の輪が広がるのね。

ふむふむ・・・!と思う支援センターデビューの日だった。




★外にでる時間帯が変わったら


それからしばらく。

まだ肌寒いものの、柔らかい日差しが春の訪れを感じさせるようになった頃。



なんと!

ひらりが歩くようになった!


目が離せないのは今まで通りだけど、体力が付いてきたのか夕方にお昼寝をしなくなった。

退屈させないように&夜よく寝てくれるようにと、午後の外出も増えた。

それはお隣の三津屋さんも同じだったようで、午後に顔をあわせることも多くなった。


そんな矢先。

家の前で子ども達を遊ばせていると、三津屋さんの斜め向かいの家から女性がでてきた。


(・・・ええと、ご近所の「堀内さん」だったかな?)


三津屋さんとは以前から知り合いだったらしく、仲が良さそうだった。


「どうもはじめまして・・・じゃなくて二度めましてかなっ、堀内です。」


挨拶の様子からして、堀内さんはお茶目で気さくな方のようだ。

家を建てる時にご挨拶に行ってるので、確かにはじめましてじゃなかった!


堀内さんは、家の窓から私たちを見かけて、子ども達にとお菓子を持ってきてくれていた。

白くてふわふわの赤ちゃん用おせんべい。


もしかして同じ年頃のお子さんがいらっしゃるのかも?と思い聞いてみると、そうではなかった。


このお菓子は、親戚の子に渡そうと大量に買ってしまったもので、私たちにも分けてくれたのだそうだ。




★ママ友新メンバー?!


堀内さんはパートに行っているので、昼間はあまり家にいらっしゃらないのだそう。

息子さんが保育園に行っていると教えてくれた。


なるほど。

それで今までお会いする機会がなかったのか。

午前中に外にいることの方が多かったからね。


3組とも時間帯がちょうど良かったのかもしれない。


堀内さんが保育園にお迎えに行くまでの間。

具体的にはおやつの後から夕飯準備の前まで。

三津屋さん、堀内さん、私、子ども2人が自然と集まるようになっていった。


年齢はほとんど変わらないものの、ママとして先輩なので、子育てでわからないことは堀内さんが色々と相談にのってくれた。


離乳食にも詳しかったし、子どもがかかりやすい病気なんかも教えてもらった。

情報って大事だな~!




ただ時折、話題が脱線して、旦那さんやお姑さん、職場の変わった人の話になったりする。


例えば・・・。


旦那さんにメモを渡して買い物を頼んだけど、なかなか帰ってこない。

料理の途中だったから急いで買ってきて欲しかったんだけど、1時間は余裕で帰ってこない。

頼んだ物は5品くらいで少ないはずだし、近くのスーパーに行ったはず。

やっと帰ってきたので理由を聞いたら、メモをなくしてしまい探し回っていたんだそう。


「・・・・家に電話すればいいんじゃん!!」


話を聞いていたママ達はつっこむ!

おいおい~とか、なにそれ~とか言いながら笑い転げる。




他にも。


片付けの苦手なパパさんが部屋を散らかしたままにするので、子どもの教育上良くないからと、片付けをお願いした。

なかなかやってくれなくて困っていたら、飼ってる犬がパパさんの大事にしていた本におしっこをかけた。

パパさんは早く片付ければよかったと泣いた。


「わんちゃんグッジョブ!!」


そんなコメントが飛び交って、また笑う。




それから・・・。


お姑さんが持ってきてくれた子どものお古。

中身をみてびっくり。

バックプリントのTシャツで背中に「駄」の一文字。


「目が点だった・・・」


センスが分からなすぎて大爆笑。

はじめはこんなふうに、ちょっと面白い話っていう雰囲気で話をしていた。




でも話してるうちに、ゆっくりと様子が変わっていく。


世話が焼ける旦那で大変とか。

頼りなくてつらいとか。

お姑さんが子育てに口を挟んできて困るとか。

職場に仕事しない人がいるとか。


言葉は濁しているけど、みんな色々抱えてるのが透けてみえた。

もちろん私にも抱えているものがあった。


そんな頃だったか。

お隣の三津屋さんが第2子を妊娠したと言ったのは。



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