書かない私は描く
『昇華』
日々の様々な欲求を芸術として形する事で満たす。
悪く言えば単なる現実逃避だ。
私にぴったりだ。
受験の時に使わずに余った単語帳に取り止めもなく言葉を書いていく。
私は文章を書くことができないので、単語を連ねてはそれらをペラペラとめくって感傷に浸った。
まだインクが乾いていなかったようで、親指に青色が滲んだ。
私はもともと絵を描くのが趣味だった。
頭に浮かんだことを紙に写すことができる絵は私にとって「救い」となった。
今はもうずっと筆を手に取っていない。
これは、書かない私が描いていた頃の物語だ。