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鉄腕海賊団

     2

 -小惑星帯ヴェスタ-

 「お頭!反応出やした!!」

 探査要員のカロスが濁声を上げた。

 直後昼寝にいそしむクルーが頭を上げる。

 「でかしたカロス!」

 連邦軍払い下げの巡洋艦ガーヘルト。海賊ロバート・クック率いる鉄腕海賊団である。

 艦長にして頭目の、通称鉄腕クックは、コンソールに投げ出していた足を振り降ろし、マントを払って颯爽と立ち上がる。

 「場所は!?」

 「第三惑星の北半球っす!」

 「動力炉の反応は!?」

 「ネガティブ!動力源、推進機関共にファイルなし!!」

 クックは曖昧な返答に苛立ち、左腕の精巧な義手で金属的な音を立てた。

 「結論は!?」

 「全長推定52m。奴ですぜ!」

 ブリッジ総勢6名の当直クルーが一斉にクックを振り向いた。

 「やっぱりあそこに居やがったか……。ジョーカーのエステールをつけて正解だったな。ウォードン!」

 「へい!」

 航宙士が振り向いた。

 「距離!」

 「19,21天文単位(AU)っす!」

 「跳べるか!?」

 「こいつじゃ無理っす。質量がありすぎて惑星と干渉しちまいます。最大戦速でも3日っすね」

 クックが舌を打つ。

 「土着民の幼稚な衛星潰して衛星軌道離れたのが痛ぇな。ゲン!」

 「へい!」

 操舵手だ。

 「てめぇ、今日はメシ抜き」

 「あ、お頭そりゃひでぇっすよ!」

 「やかましい!てめぇが当てなきゃ動かずに済んだんだろぉが!」

 「悪いの俺だけかよ……」

 「お頭……」

 砲撃管制のガリーが割り入った。

 「様子見やすか?」

 「アホぉ!んなことやってっと、オリオン腕中の同業者が集まっちまう。それに、当然ジョーカーも気付いているだろうぜ……」

 するとその時、ブリッジのハッチがスライドした。

 「クック、何やってんだい!」

 「ルー!」

 ブロンドのストレートロング。切れ長な目元涼やかな女性が入室した。

 ガーヘルトのNo.2、鷹の(ホークアイ)ルーテシアだ。

 「おい、ここは女の来る場所じゃねぇぜ」

 しかしルーテシアはクック尻をつねり上げた。

 「いでででっ!何しやがる!!」

 「グズ!ウォードン、シャトルならどうなの!?」

 あ……とばかりに計測。

 「シャトルならワンジャンプ、行けまっせ!」

 クックとルーテシアが視線を交わした。

 「ルー、頼めるか?」

 ルーテシアはクックに艶やかな笑みを送る。

 「野暮なこと訊かないでよ」

 「おっしゃ、プック、クレシダ、テスデモーナを預けた。軌道は無視しろ。うまく直で大気圏に放り込め。しくじって素粒子分解されんなよ。クレシダの野郎共は降下、デスデモーナとプックは上空より地上制圧。……かかれ!!」

 クルーの返事と共に、40000トン級巡洋艦ガーヘルトのブリッジは騒然た沸き立ち始めた。

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