約束1
次の日
コンコンッ
ドアを叩く音だ
隆は少女が来たと思いドアを開けると
少女がドアの前に立っていたが
少女の顔には青いアザが出来ていた
それに悲しそうな、辛そうな顔をしていた
隆は少女に何かあったと思いながらも何も言わず部屋に入れた
少女は何も言わずに部屋に入ってきて
いつもの場所に座りテレビの電源を付け、
いつもの時代劇を観ていた
少女な辛そうだった
隆は無言でお茶を淹れてテーブルの上に置く
しばらくして時代劇が終わり少女はテレビの電源を切った
隆は少女の顔のアザが気になり尋ねた
「そのアザ…どうしたの?」
少女はしばらくしてから
「おとうさんに、たたかれた…」
とだけ言った
隆はそれを聞いて
昨日の夜の怒鳴り声の事を思い出した
「お父さんに叩かれたって昨日だけ?」
少女は首を横に振り
「いつもたたかれる」
少女は昨日起きた事を語った
父親がソファーに座りながら缶ビールを飲んでいた
テーブルの上には何本も空き缶が転がっていた
「おい!酒は!?」
「あなた飲みすぎよ」
だいぶ酔ってる様子の父親
「俺は毎日仕事仕事で疲れて帰ってきてるんだぞ!お前らにメシを食わしてるのは俺だ!
文句言われる筋合いはない!!」
「仕事仕事って日雇いの仕事でほとんどパチンコじゃない!もうお金だって無いのよ」
「金が無いのはお前のやりくりが下手だからだろ!」
父親はそう怒鳴りつけた
「私だってパートの仕事に行ってるのよ!?」
父親は母親のカバンから財布を出し お金を抜き取った
「それだけはやめて!」
「うるさいっ!!」
バシッ!!
父親の腕を掴んで止める母親だったが
父親は手を振りほどいて母親の顔に強くビンタし、お金を抜き取った
その様子をずっと見ていた少女
「何見てんだ!」
父親の事を見ていた少女は顔にビンタされ
布団の上へ倒れ込んだ
「なんの役にも立たないクソガキが!
お前なんか生まれてくるんじゃなかった」
そう言い放ち父親は部屋を出て行った
母親は少女が殴られても
気にもせずめそめそ泣くだけだった
父親が2人に対して日頃からDVしていたらしく
母親は泣くだけで自分が殴られていても助けてくれないらしい
少女から話を聞いた俺は
その話に唖然としていた
昼間から行為をするぐらいだから
てっきり仲のいい家族だと思っていたからだ
しかし
隆にはどうすればいいのかがわからない
少女は話を終えると少し顔色が良くなり
隆の書いた絵を見だした
「おにいちゃん 絵 じょうずだね」
「ありがとう でも 誰もお兄ちゃんの絵を認めて買ってくれないんだ」
「じゃあ わたしがかってあげるね」
と言いポケットから1円玉や5円玉・10円といった小銭をたくさん出してきた
少女のその言葉が心から嬉しかった
子供とはいえ 学生の頃 以来 誰も認めてくれなかった
自分の絵を上手だと言ってくれた事が
隆は何か思いつき筆と紙を取った
「ねぇ そういえば お名前聞いてなかったね
お名前はなんですか?」
「なまえ?かほ!」
「かほちゃんかいい名前だね!
そうだ!かほちゃんの為にお兄ちゃんが絵を描いてプレゼントしてあげるよ」
「ほんとう?やくそくだよ?」
隆はかほに絵を描いてプレゼントしてあげることにした
虐待を知っても助けてあげる勇気がない
自分が出来る唯一のことだからだ
隆はかほが帰った後にかほの絵を描いた
時計の針が何時になっても
集中して絵を描いた
久々だ
こんなに真剣に絵を描いたのは




