ゼリー状瞬間……
二発目
7月14日
雨が降っていると何もヤル気にならない。田舎から出てきて数年経つが、未だに農民気分が抜けないのだろうか?
武具の手入れも終わって、本当に手持ち無沙汰になってしまった。何かする事が無いかと考えて、ふと昨日書いた玉葱型スライムじゃないベチョベチョ型のスライムの事でも書いてみよう。
玉葱型じゃないスライムと言えば、基本的にダンジョンのみで見る事の出来るスライムなのだが。いちいちベチョベチョ型と書くのもめんどくさいので粘液型と書く事にする。
まず粘液型スライムの大きな特徴なのだが、めちゃくちゃベチョベチョなんだよな……
どれくらいベチョベチョかって聞かれたら、勇者様や聖女様が広めた高級料理の天津飯ってのにかかってる餡掛けって奴くらいベチョベチョなんだよ。
一回だけ食った事があるが、卵をふんだんに使っていて餡掛けと卵とライスが絶妙で高級なのも納得の味だった。
話がそれたが粘液型スライムの見た目は、半透明の餡掛けの中に内臓が浮いてるって……
まぁ気持ち悪い見た目をしてるんだ。
とりあえず玉葱型で考えた尻について考えてみよう。
粘液型の特徴の浮いてる内臓、その端っこに腸があるんだ、そして腸は粘液の途中で止まってるんだ……
つまり粘液の腸の端っこの部分が尻になるんじゃ無いかと思っている。
んで内臓を辿ると、ちゃんと胃や食道、キモや心臓も存在してたりする。そして食道らしき物の端っこも粘液の途中で止まっているんだ。
俺がこれまで見た粘液型スライムだと、粘液が広がると1㎡くらいの大きさ。粘液の大小に関わらず内臓の部分は、成人男性の握りこぶし一個分くらいが平均って感じだな。
とても大切な事なんだが、粘液型のスライムと言えば魔石が無い。つまり粘液型スライムは、魔物じゃ無いって事だ。
でも動物って言われたら……
違うような気がするんだよなぁ……。
冒険者になるまで、スライムと言えば玉葱型だと思っていた。
ダンジョンに潜り始めるまで、雑魚の代名詞がスライムだと思っていたのだが……
粘液型スライムに限って言えばスライムは、雑魚なんかじゃない。
何故雑魚じゃないか。まず初めてダンジョンに入った奴なら必ずと言っていいほど苦戦する。
ダンジョンは、基本的に暗い。だから初心者は、カンテラや松明で灯りを取ろうとする。
しかしカンテラや松明位の灯りだと壁や天井や地面に擬態している粘液型スライムは、とても見付け辛い。
天井から頭に落ちて来たら、それこそ最悪。
視界を奪われるだけじゃ無く、呼吸すらもままならなくなってしまう。
倒す方法もコブシ一つ分程しかない内臓を潰すか切るかしないとなので、落ち着いて対処出来ない状況だと詰んでしまう。
パーティ単位で活動していれば対処も余裕だが、ソロだと本当にキツい。
因みに、この粘液と言うのが、とてもタチが悪い物なのだ。
触れたらば、何かしらの不都合が現れるんだ。
代表的な不都合と言えば、まず酸を思い浮かべるってくらいに粘液型スライム=酸って感じなんだが。
俺が初めてダンジョンに挑んだ時に使っていたのが、アイアンメイスだったんだよ。
その時は、パーティを組んでいたのだが……
最初に斥候役が粘液型スライムを発見したんだ、その頃まで斥候役は、ちゃんと斥候役だったなぁ……
ある日突然「俺は恋に生きる。」と言い出して斥候じゃ無くて、追跡者になってたなぁ……。
話が逸れたが戻そう……
その時の俺は、ダンジョンに出る魔物の情報を仕入れてからの挑戦だったから。内臓を潰すって分かっていて、粘液に気を付けながらメイスで殴って倒したんだ。
その後、メイスに付いた粘液を軽く振って落とす位で楽勝だったはずなんだ……
そのまま探索を続けていると。気が付いた時には、手遅れだったね……
メイスの粘液に触れた部分が腐ってやがった。
あの時は泣きそうだったよ、何故かって?そりゃダンジョンに挑むからって、それ迄の貯金の殆どを注ぎ込んで購入したアイアンメイスだったんだよ……
森や平原よりダンジョンは、危険だって言うからさ。
あの時は、宿に帰ってから泣いたなぁ……。
酸以外にも毒持ちだって居るんだ。
肌に触れると触れた部分から麻痺が始まるんだが、触れたばかりだと少しヒリヒリする位なんだ。
ところがだ、数時間経つと全身に回るんだよ、回って殆ど動けなくなる。
酸粘液のスライムは、洗い流せば何も問題が無く。麻痺毒粘液も解毒魔法や解毒ポーションを使えば何も問題なんて無いんだが……
俺は、二度と触りたくない粘液型スライムが居る。
それは……
触れるとやたらめったら痒くなる粘液のスライムなんだ。
どんだけ痒いかって?
山に入った事があるなら漆の木に触った事があるだろうか?もしかそれが無ければ、猫に付いてるノミに噛まれた事が無いだろうか?それの数倍痒いんだ、しかも掻けば掻くほど痒くなる!
痒み止めを塗ろうが、状態異常を回復する神聖魔法で治療してもらおうが兎に角痒いんだよ。
後にも先にも、あれ程痒い思いをしたのは、あの時だけだ。
どの粘液型スライムでも同じなんだが、粘液に小動物なんかを取り込んで、まずぐちゃぐちゃに溶かす。
それを食道だと思われる側から取り込んで胃や腸を通って肛門側だと思われる場所から粘液に戻すんだ。
つまりあれだな、粘液型スライムの粘液は、口であり、胃であり、尻であり、ウンコである。
何が言いたいかって?つまり粘液型スライムの粘液は、とても汚い。
次回、犬っぽいけど犬じゃ無いあんちくしょう!