エルセレシアの備忘録① カーロンの決闘
実はヒロインの本名はエルセレシアと言います(裏設定)それについての話はここからのサイドストーリーに出てくるので、お楽しみにー。
「…そう言えば、神龍たちとはどんな戦いをしたんだ?セレシア」
「クラムは異界に飛んでいたから、わからなかったわね。いいわ、教えてあげる!」
とある世界、とある時間軸での夫婦の会話である。
「そういえば、今年のキャラはそれか」
「女優を目指すのもやぶさかではないと思って!」
「先生の世界に毒されすぎだろう…」
クラムの記憶には、誰がどこで戦ったか程度の知識しかない。しかしセレシアは、あの事件のことを詳細に記憶している様だ。
「カーロン先生は、他の件で動けなかったみたいなの。どうやら龍たちの混乱に乗じて、戦いを求める異世界人がやって来たみたいで」
「…戦っていたと」
「そうよ。珍しくそこそこ本気を出したそうね、痕跡が凄まじいものになっていたし、モニカ先生もクタクタになっていたわ」
「…なるほど。では、まずはそこから教えてもらおうかな?」
「わかったわ。それは、こんな感じだったのよーー」
「お、何やら各地でドンパチやってるみたいだな!俺も参加しようかなー」
たった今この世界に降り立った、一人の人間。ヴィンテック村の付近に転移して来た彼は、道なりに村を目指す事にした。…強者の匂いを感じたからだ。
「おーい、そこの兄さん!俺と戦ってくれねぇかー?」
「…うん、私かい?」
「そうそう!なんか強そうだからな、兄さん!」
「はぁ。今は一大事なんだけど、君みたいな存在は、放っておくと何をするかわからないんだよねぇ。…わかった、相手をしよう」
いつもの裏山に移動する。
「モニカちゃん。いつもより強目で」
「…は、はい!」
結界が貼られ、外界と裏山が隔離される。
「アンタの武器はどうする?」
「私かい?基本的に武器は装備しないんだが…じゃぁ、鎌で」
そういってカーロンが、半透明の鎌を手に持った。
「鎌ねぇ。基本的に食らうと即死なんだよなぁ。…じゃぁ、こっちは弓だ」
そういって戦士は、弓矢を手に持った。
「じゃぁ、始めよっか?名前も知らないがな」
「名乗る必要はなさそうだね。…では」
十字に刻まれる斬撃。カーロンの先制攻撃だ。
それを戦士は斜めに飛んで回避し、返しの一矢を放つ。
それをカーロンは、いとも簡単に手で掴んだ。
「俺の矢を掴むとはな」
「君みたいな猛者の矢は基本的に防げないし躱せないからね。掴まないとやられてしまうよ」
「へぇ、わかってるじゃねぇか。…なら、これはどうだ…⁉︎」
戦士が矢の束を放つ。それは拡散し、カーロンを千の矢が襲った。
「『死神の幻鎌』」
それに対して、カーロンは鎌を一閃しただけ。それだけで全てが切り飛ばされた。
「数多ければいいと言うものではないよ」
「全く、長モノの早技はどうしようもねぇんだよな…じゃぁ次だ。ーー堕ちろ!」
カーロンの頭上に、矢が降って来た。…否。そこに常人がいれば、矢はカーロンから離れて行く様に見えただろう。その一矢が光速を超えた証拠である。
「結界の種類を変えさせておいて、正解だったね」
「ちっ。ツバメガエシはお手の物ってか」
「燕返しを知っているのかい?」
その矢を斬り払い、同時に真正面から飛んで来た矢も防いだカーロン。
「あぁ。その使い手と戦ったことがあってな…厳密にはツバメガエシじゃないそうなんだが、そういった同時攻撃の総称だよ、俺の中のな」
「随分と戦い慣れている様だね」
「まぁな。一億戦はしたかな」
「飽きないのかい?それは」
最近人生に飽きて来たカーロンが、その戦士に問う。
「全然?むしろ毎回楽しいぜ、みんな違う戦い方をしてるからな!」
「常勝無敗だったりするかい?」
「負けの方が多いかな。引き分けも多い。勝つことなんて稀だよ稀」
「そうかい。では、私も遠慮なく勝たせてもらうよ」
「あぁ、やれるものならやってみやが、れ…?」
「そろそろ時間だ。…これで詰みだけど」
鎌の真の力を解放。全く抵抗のできない、つまり動くことのできない戦士の首に鎌が掛けられ、皮に触れる直前で止まった。
ヘイロウの魔法は、カーロンの血を受け継いだものである。尤も、原点であるこちらの方がはるかに強力なのだが。
「しゃぁねーなぁ。また負けたか。…邪魔したな、兄さん!」
「あぁ、次は頑張ってくれ」
「当たり前だ!負け越しはしねぇ主義だからな」
「うん、いい心意気だ」
そういって、嵐の様に戦士が去って行く。
「…名前、聞いておいた方がよかったかな?」
カーロンはその後、その様に思ったらしい。彼はその後、世界に拡散しようとしていた深淵を、モニカとともに押し留めていた。お陰で大穴周辺にしか闇は発生していなかったのだが、その活躍はあまり、知る者がいないだろう…。
さて、次は描写を完全カットした、龍と人間の戦いです。こう言う感じならば違和感なく放り込めると思いまして(迷案)
本編は終わりましたが、まだまだこの物語の更新は終わらないので、是非ご覧ください(いきなりブックマーク増えてやらなきゃと思ったなんて言えない)




