66話 引き継ぎである。
アリス回。最近やってないセレシア回は次のお話で。
「じゃぁ、後はよろしくね、モノフィー新会長!」
「は、はい。お任せください!」
「クラムもフォロー、よろしくねー!」
「お任せ下さい、アリス」
卒業式が終わった。アリスやほかの最上級生は、全員この学園を去ることになった。
「いろいろなことがあったねぇ。思い出は沢山だよ」
「そうですか。アリス、あなたにとってのこの三年間はどうでしたか?」
「うーん。あのクソ親父の言いつけだったのが癪だけど、良い三年間だったよ。君にも出会えたし」
「そこは聞いておりません」
「そこが一番大事なのに」
「…」
「本当に仲がいいですね」
モノフィーが微笑む。
「でしょー?」
「…はぁ」
これだけで疲れるのだが、まぁ仕方ないだろうと、クラムは思った。
その後は適当に校内を散策するアリスに付き合わされ、ぐるぐると回る羽目になった。思えば、この学園生活は3人の中で、クラムとアリスだけのものである。村での思い出を考えると、五分五分といったところだろうか?年数ではセレシアが勝っているが。
「さて。私はこれから、この国の王様になるわけなんだけど」
「…順当に行けば、そうでしょうね」
「ちゃんと支えてね?私、一人では絶対に大失敗する自信があるから!」
「何ですか、その自信は」
「でも、君となら大丈夫そう!そういう予感もするんだよ!」
「何ですか、その予感は」
全く、このアリスという女性は、なかなかに不思議だ。…そこに惹かれたかと言われれば、クラムは否定できないのだが。
「さて、自分を出すのはこれでおしまい!十八年間楽しんだから、後は民のために頑張らなきゃ!」
「王として、ですか」
「うん、そうだね」
「…その必要は、有りませんよ」
「…え?」
滅私奉公宣言をしたアリスを、クラムが制止する。
「王は夢を、大望を持ってこその王です。あなたはその希望で、民を照らさなければならない。…逆ですよ、アリス。あなたは誰よりも怒り、誰よりも哀しみ、誰よりも喜び、そして誰よりも笑わなければならない」
「人として、ね」
「聖王はそれでは、民に活気がなくなりますよ。もっと元気に行きましょう」
「うん、そうかもしれないね」
考え直してくれた様だ。…尤も、俺の考えが唯一の正しい物かと言われると、そうではないと思う。
体裁を繕っていったが、要するに俺は、国のためにすり減っていくアリスが見たくなかっただけなのである。自分勝手とはこのことだろうが、それも間違いではないだろうと、勝手に納得した。
「さて!じゃぁ帰ったら、いまこの国に何が必要か、一緒に考えようじゃないか!」
「…今必要なのは対策ですね。危機から国民を守る手段です」
「むむっ、そうか。…私レベルじゃ戦えないかな?」
「例の剣を使えば、聖王国領内でならば戦えるのでは?土地の利と言うものです」
「やっぱ相手も強いんだねー。それにしては王国の一体以外は瞬殺されちゃったみたいだけど」
「彼らは怪物ですから。比較しては行けませんよ。多分俺達では一生勝てない人達です」
「…本当にそうなの?」
「恐らくは。力では押し切れるかもしれませんが、技量では完全に敵いませんから」
「そうかー。じゃぁお願いだよ、クラム!」
何ですか、とクラムが聞き返すのにアリスは、
「誰よりも強くなってね!そうしたら、私は怖くなくて済むから!」
と、力強く答えた。
「はぁ。…善処します」
この笑顔の前には、クラムも承諾するしかなかった様だ。
こういった言葉達が、あの様な結末を引き起こしたというのなら、おそらくそれは間違いでは無いだろうーー。
次はセレシア回。思えば全然登場していないね彼女。次回もよろしくー




