64話 聖王国へ帰還するらしい。
最終章(ほのぼの回)
別に最初からシリアスと言うわけではないよん
よろしくー
「それでは、行って参ります」
「行ってらっしゃい、兄さん」
「行ってらっしゃいー!」
「あぁ、行ってこい」
出発の朝。そろそろ聖王国の学園に戻らねばならないと、クラムは思った。帝国の方は学園も傭兵団も送別会は済んだ。…どちらも籍は残っているが。学園の方など、俺が気まぐれでひょこっとゼミを開ける様にしてくれたまでである。そういえば学園長は代理だった様で、今では回復したクラムの母親であるアカネがその椅子に座っている。
「家族総出ですか」
「良いではないか」
「…まぁ、そうですが」
締まらないので、とっとと旅立つことにした。…と言っても、数十分で飛んで来れる距離だが。
「では」
「あぁ」
炎の翼を広げ、飛び立つ。龍の翼と言うよりは、天使、いや、神さまの翼と形容したほうがいい形状だが。
事前に母親から警告された事を、クラムは思い出していた。
あまり力を使うな、と。でも、使わなければならなくなったら使って良い、と。
どうしたものかと思っているうちに、ヴィンテック村に着いた。そこではカーロン先生、モニカ先生、そして学園長が、デカすぎる龍の始末をどうしようか思案していた。
「何かいい結論が出たか?カーロン」
「いえ。無被害で討伐したは良いものの、あと処理に困りますね…」
「お前の虚構魔法は、消火にはこれ以上ないほど便利だからな。…お、クラムではないか」
「ただいま帝国から戻ってきました。…これは、処理が大変ですね」
「あぁ。できれば資源を残したいんがな」
「武器にする程度しか、処理方法が思いつきませんね…。解体のしようがないですから」
「…あら、クラム君、いえ、皇子殿下」
「今まで通りで構わないよ。…グレイスも、祭り以来か」
「あぁ。フローラが解体したいと言うから連れて来たのだ。…学園長、宜しいでしょうか?」
「君が?できるのか?」
「恐らくは」
「…わかった、やってみると良い」
そうやってフローラは、真龍の亡骸に左手で触れる。そして、右手でナイフを取り出し…
「…ふっ」
風が吹き、龍の体が一瞬で解体された。
「おぉ、見事だな」
「液体はこぼさずに。そこの宝石は取っておいてください。肉はブロック状に並べて」
「…了解した」
フローラの風によるアシストもあり、グレイスは言われた通りに、龍の部品を並べることに成功した。
「…向こう数年は、肉に困らないな」
「食べられるかどうかは別でしょう。強い魔力が宿っていますから、下手に口にすると危険です」
頭が龍になったーとか、そんなこともあるかもしれない。…いや、ないだろうが。
「ちょっと焼いて食べてみます」
火魔法で適当に焼いた肉を、そのままがぶりと行く。フローラがいいサイズにカットしてくれていたので、一口でいけた。
「…美味いですね」
「そうか?」
「強い魔力は酒の様だと聞きましたが、これはまさにそれです」
「酒、か。魔力の弱いものでも食える様に、ある程度は処理せねばいかんな」
「ですね。その処理は後程」
「いえ、終わりましたよ。8割型魔力を抜かせていただきました」
「…仕事が早いな」
「ありがとうございます。…あなたも有難うね、グレイス」
「…⁉︎あ、あぁ」
「あらまぁ、初心なんですから」
「いきなり人格が変わったかと思ったぞ」
「からかう甲斐があると言うものですね」
「どこまで玩具にする気だ…」
どうやら、グレイスはフローラに骨抜きに、いや、骨の髄まで浸かっているらしい。それも彼が望んだことなので、クラムは頑張れとだけ思って、解体した龍の運搬を手伝うことにした。
因みにだが、龍の頭の骨だけは村のシンボルとして、安置されることになったそうな。…実は100%同じである複製品なのだが、それを知る人物は数少ないので。問題はない様だ…。
フローラさん、どんどんすごくなっていきます。
彼女はこの世界における『最初の医者』(今までの医者は全員異世界人のため)として、後世に伝えられることになったそうですが、その研究実績の殆どはグレイスを被験者とした、人体実験によるものだったそうです。…どんまい、グレイス。強く生きろよ!応援してるぜ!




