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幼馴染は聖女らしい。  作者: PARO
2章(後編) どうやら俺も俗物らしい。
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59話 聖王国へ戻ることになった。

「では、達者でな」

「はい、ありがとうございました」


留学の途中ではあるが、一時的にクラムは聖王国へ呼び戻されることになった。要件は分かっているので、あまり帰りたくない。


だが、そうもいっていられない。数時間で聖王国の王城に到着したクラムは、案の定待ち構えていた少女達に出会った。


「弟君!お久しぶり!元気にしてた?」

「あぁ、なんとか無事だよ、セレシア」

「クラム様、本当にお怪我はありませんか?」

「おかげさまで。主神アストレア様のお力は伊達では無かったようです、会長」

「…」

「…」

「…生憎と、学園長先生から前情報があったのでね。その手には引っかかりませんよ?」


案の定入れ替わっていた二人。本当に仲がいいようだ。


「あら、もうバレちゃったわ、セレシア」

「どうしようかしらね、姉さん」


ほら見ろ、油断も好きもあったものではない、とクラムは苦心する。それはさておき、


「…」

「…」

「…」


3人とも、要件を切り出せずにいた。しかしそこは年長者。自分がリードしなければと勇気を振り絞ったアリスは、


「ねぇ弟君!貴方学園祭で私とのデートを中断したでしょ?いつかアレの代わりにもう一回付き合ってくれるって言ったよね?」

「確かに、それはそうですね」

「と、言うわけで。疲れているとは思うけど、今からレッツゴーだよ!」


腕を引っ張られる。今日はどうやらちょうどお祭りらしい。セレシアの衣装でそれをやられると大変困るので、ぜひ着替えて欲しいところだ。


「着替えて下さい服を。その格好じゃ目立ちます」

「それもそうかな…。でも、似合ってない?」

「確かに、似合ってはいますね」

「ふふっ、ありがとー!」


随分と陽気だ。こちらとしても、これでは離れろと強く言えない。それを狙ってだろうが、今日のアリスは若干陽気が空回りしているようだ。


「…会長、普段どおりで大丈夫ですよ。いきなり振り落としたりはしませんから」

「…本当に?」

「『セレシアの姉上』にそんな事をしたら、彼女に嫌われてしまいます」

「…っ。まぁ、今はそれでいいかな」


残酷ではあるが、アリスはクラムの中ではただ『利用価値がある』と言うだけだった(と彼自身は思っていた)。それでもアリスは諦めないようで、


「服を変えるから待ってて!15分くらい!」

「余分な化粧は不要ですよ」

「そんなことしなくても大丈夫だもん!」


メイクいらずの美人とは素晴らしいもので、スッピンの状態がが下手なメイクを施した後よりも良い状態だったりするものである。そのまま彼が待たされること、実に15分。



「時間ちょっきりでしょ?」

「そうですね。…こちらも準備ができました」


可能な限りの魅了・催淫・誘導対策を施し、万全の状態でアリスを迎えたクラム。対しアリスは勝負服などではなく、ごく普通の、と言えば語弊があるが、奇をてらっていない服装で現れた。もちろん化粧など目立たない程度だ。


「と、言うわけで行こうか!」

「セレシアはどうするのですか?」

「許可は貰ったからねー。妹はこれから仕事だって」

「…そのまま変わって欲しかったですね」

「むー。少しは私を見てくれてもいいじゃない!」

「セレシアとはろくにこんな事をしてないんですよ。優先順位の問題です」

「約束を守る方が先でしょー!」

「…あまり言っていると、この足で帝国に帰りますよ、姉上」

「むむー。分かったよ…」


… 若干先行きが不安だが、ここにアリス=ノベル=アストレアの、乙女としての一世一代の勝負が今、幕を開けた。


次回、アリス回。

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