56話 何を言ってるんだ。
なんとか更新。読んでーー!
「…何故、そのような事に?」
「うーんとな。帝国側から提示された条件を巡って、王国内の権力者の中で話し合いがあったんだ。当然私も参加した。そこで色々と問題になってな…。どうやらお前と聖女は切っても切れない『契約』で結ばれてるそうじゃ無いか。それに、大聖堂側も君の『血』が欲しいと言ってきた。しかし、主神アストレアの『選定者』だ。王家も喉から手が出るほどに欲しい。…両者は一触即発の雰囲気となったが、そこに名案を投じた奴がいた」
「学園長先生ですね、わかります」
「そういうことだ。『だったら二人とも嫁に行かせればいい』とな。最初は反対の声も上がったが、これ以上の策がないと言う事で、これに決定したそうだ」
全く、本人たちの意思も考えて欲しいものだ。と、クラムは苦心した。
「女性陣は納得したのですか?厳密に法が制定されているわけでも、教義で禁止されている訳でもありませんが、重婚は基本的にタブーな筈」
「重婚を聖王国全体に普及させようとする一派があってな。最近その勢力が増大してきたのだ。曰く、『コソコソ女を囲っていないで、堂々と手を出そうじゃないか』だそうだ」
「完全なエロオヤジじゃないですか」
「いや?先導しているのは美男子ばかりだ。楽園思考が強いのだろうな」
「はぁ…。それで、彼女たちは納得したのですか?」
「あぁ、2人共な。二つ返事だったよ。『他は認めないが、姉妹だったら話は別』らしい」
「…セレシアがそんな事を」
これには驚いた。尤も最初にセレシアが反発するものだとばかり考えていたが。
「姉妹仲は素晴らしく良いようだ。…あぁ、この間は魔法で記憶を共有して、姿形を調整して入れ替わりなんてこともしていたな。私以外は全員、聖王すら気づいていなかったが」
「…会長と話しているつもりでも、実はセレシアと話していたと言うことですか。恐ろしい」
「ハハッ、それはそうだろうな。それで、回答は?」
そして、答えを言う時間になった。クラムは少し息を整えーー
「はい、そうですね…。王女殿下の方はなしで」
きっぱりと、事態をややこしくする宣言をした。
「やはりそう来たか。…そうだな、これは『命令』だ、と言ったら?」
「拒否します」
「拒めば聖女との結婚もなしだと言ったら?」
「それも拒否します」
「国家への反逆罪で逮捕する、と言ったら?」
「罪状の在処を否定します」
ここで、エルフレアの雰囲気が変わった。
「そうか…では、君の上司として、聖王の命に背く痴れ者を処断する、と言ったら?」
瞬間、エルフレアから膨大なオーラが噴出する。それは物理的な衝撃波を生み、辺りを強く振動させた。
「貴方を倒して、聖王を倒す。そしてセレシアを帝国に持ち帰りましょうか。…戦争がしたいのならばどうぞ。貴方が俺に言ったように、全て俺一人で返り討ちにして差し上げましょう」
「ほう、よく言った、若造」
負けじとクラムが、神気を解放。二つのオーラの境界は球体から平面に変わり、今ここに戦いの火蓋がーー!!
「おい、やるなら他所でやれ。ここの設備を壊すな」
ーー 切られると思った束の間、必殺の魔法銃を双方に向け二人の動きを封じたヘイロウが、『仕切り直せ』と制止した。
次回、バトる回。
主人公の頑固さ、ここに極まれり。
親父とは違うと言っているクラム君ですが、『誰に何を言われようが、ここぞと言う時には自分の意思を曲げない』と言う父親の性格をきっちりと受け継いでいるようです。
さぁ次回、どっちが勝つのかな?…わかってるとか言わないで!まだ書いてないんだからわかるわけないじゃない!




