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幼馴染は聖女らしい。  作者: PARO
2章(後編) どうやら俺も俗物らしい。
56/77

第55話 続けていいらしい。

ほそぼそとながら更新。


「これはこれは。聖王国の『魔女』様がわざわざ、何故ここに」

「言わずとも分かるだろう『死神』。其処の皇子の件だ」


兄貴分から呼び出しを喰らったら、なんと学園長兼隊長のエルフレアが来ていた。


「久しぶりだなクラム。どうやら随分と偉くなったようじゃないか」

「いえ、全然ですよ。まだ公表もされてませんし、されたとしても威張る気はないので」

「まぁお前ならそういうだろうな…。おい死神、こいつには今何をやらせてる?」

「敵の排除という大義名分の元、無辜の民を虐殺するお仕事だ。特務部隊にはもってこいだろう」

「成る程、道理でコイツが珍しく疲れているわけだ。口数も減ってきた頃じゃないか?」

「あぁ。ただまぁ、無抵抗の人間を100人殺しても尚目が死んでないあたり、素質はあると思うが」

「…素質ですか。『十のために一を殺す』という考え方を実践できてしまう自分が少し嫌になりましたね」

「そんな物だ。私みたいに『一のために十を殺す』なんてことにならなかった以上マシな方だろう」

「…バランスがおかしいですね」

「目の前の人人か、未だ見ぬ十人かだ。私は目の前を助た方がいいと思ってな…。名も知らぬ10人が死のうが関係ないということだよ。気に入った部下を助けるために生存率が高いところに送り込んだせいで、全体に甚大な損害が出てなんて話は良くあった」

「微妙な所ですね」

「それが嫌なら、11人助けられるだけの力をつけろ。誰かに選択を迫られるような『弱み』を無くせ。…俺たちは少なくとも、そうしている」

「…11人を、助ける」

「そうだ。俺にも妻子がいるが、そいつらを人質に取られても、俺は決して臆さない。敵が何人いようが、全て殺して回るだけだからな」

「私も同じだな。選択せよなんて調子に乗ってるやつらは時間を止めた後に灰にするだけだ」

「…それは、滅茶苦茶ですね」


呆れた。飛んだ暴論である。要するに『都合が悪くなったら力でねじ伏せる』という事だ。それでは村の悪ガキと一緒ではないか。

「当たり前だ。理不尽に屈したく無ければ、同じ理不尽で対抗するしか無い。俺たちにはそれが出来る。…クラム、お前もだ」

「…俺も?」

「あぁ。護るべきものが遠くにいるなら、空間転移でもして飛んで行けばいい。敵が沢山いるなら、一瞬で蹴散らせばいい。敵がどんなに巧妙な罠を仕掛けていようが、作動させなければどうという事はない。『相手に何もさせない』と言うのが全てにおいての必勝法だ。…だからもっと強くなれ。世界の全勢力を敵に回しても、一人だけで永遠に無双していられるほどに」

「其処までは無理なのでは?」

「いや、無理じゃないさ。君はそもそも不老不死。私のまがい物のような時間停止によるそれとは訳が違う。それに加えて、絶大な力を二つも持ち合わせている。君がもしそれらの力を使いこなすことができれば、達魔女3人でも、抑えきれない可能性があるな」

「それでやっとボスとも互角…いや、其処まで行けばボスをも凌ぐ実力だ。ボスは神殺しでは無いからな」

「ボス…?あぁ、帝国の『無法者』か。奴はどうした?」

「任務だ。いい加減少しは部下に任せてもいいものを」

「兵士だからな、デスクワークは似合わないのだろうさ。…あぁクラム、忘れていた。一つ伝えるべき用件があったのだ」

「用件?」

「そうだ、簡単な事だが」


「世界最強になれ」とクラムに無理難題を押し付けた後、そうしてエルフレアは、とんでもないことを言い出した。


「お前の想い人の『聖女』と学校の先輩である『王女』のアリス、そのどちらとも結婚しないか?私たちとしてはそれが一番、丸く収まる方法なのだが」


クラムの脳裏に、よく似た二人の少女の顔が浮かんだーー。

『世界最強』だから出来る事。敵がいないから出来る事。

御都合主義の無双物語が、幕を開けてーー欲しくない。そんなのは大嫌いだ。


そんなことにはならないはずなので。いや確かに、主人公強くしなきゃやってけないんだけど。なんかこう、全部思い通りに行ったらつまんないよね?うん。


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