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幼馴染は聖女らしい。  作者: PARO
第2部(前編)どうやら俺は王子らしい。
33/77

32話 手合わせしてみる。

「じゃぁ、始めようか?」

「あぁ、頼む」


酒の席(片方は飲んでいない)が発端で始まったこの戦い。…と言っても口論の末の喧嘩ではなく、クラムがバールの魔法銃を見てみたいと言った結果である。


「んじゃ、たっぷり味わってくれ」


魔法銃の掃射が始まる。それを炎の防壁で防いだクラムは、


「確かに、威力は高いな」


お馴染みの炸裂型トラップを起爆させた。


「無駄だ!『ブロック』、『パージ』!」


どうやらバールには通じないらしく、魔力防壁を炸裂させ、全方位からの攻撃を防御した。


視界が悪くなる。その中を突っ切ってくる弾丸。


「そちらも無駄なんだが」

「それはどうかな?」


煙の中からバールが飛び出してくる。…銃の掃射はまだ続いているのに、だ。


「おらぁっ!」


彼のナイフが伸びる。…魔力で刀身を形成したのだろうか。


「くっ…」


炎の剣で受け止める。クラムの悪い癖で、防戦一方である。


「やるな…」

「まぁな!学園でのんびりしてたやつとは鍛え方が」

「だが、それはどうかな」


神炎の波動でバールが吹き飛ばされる。


「慢心したなバール。…終わりだ」


太陽が灼熱する。それに対しバールは、高速機動により高価範囲内から回避する。


「あっぶねぇ…なんて威力だよ、それ」

「あまり使いたくはないがな…俺の力ではないから」


何処ぞの龍から力をもらったせいで、魔法の威力と安定性が完全におかしくなっているクラム。


「さて、どうにも締まらん。今度こそ終わりにしようか?」


膨大な数の炎槍が現出する。対しバールは絶望するでもなく、


「へっ、『手数』でコイツに勝てるやつはいねぇなぁ!」


銃を構えて不敵な笑みを浮かべる。どうやら彼は、戦場でだいぶ勇ましくなったらしい。


魔法銃に初めて、魔法陣が浮かぶ。否、視認できるほどの長い時間、魔法の起動が行われる。


「コード『フェンリル』!喰らい尽くせ!」


およそ1000を優に超える炎槍に対し、バールは引き金を一回。それだけで、槍が全て撃ち落とされた。


「…随分やるじゃないか。こちらも出し惜しみはしてられないということか」

「どちらも修行期間一年にしては強くなりすぎだが、まぁそういうこったな!」


クラムが作り出した炎の剣から、黄金の神炎が噴出する。


「さて、これで終いだろうか。」

「神の、力か…⁉︎」


今度こそバールは驚愕した様だ。


「らしい。死にはしないから安心してくれ」

「全く信用できねぇな、それ」


バールも銃を構えた。ーーと思いきや、


「コード『フェンリル』、トランスフォーム」


何と、バールの手にした銃が変形し、大剣となった。


「…面白い」

「ロマンの塊だろ?まぁ、それだけではないんだが」

「受け止める気か。じゃぁ、やって見せろ」


神炎の裁きが下る。対しバールは、


「リアクター、オーバーリミット。コード『フェンリル』、『ラグナロクバースト』‼︎」


手にした大剣から膨大なエネルギーを放出し、その神を撃ち落とさんとする。


威力は明らかに、クラムの方が大きい。ーーしかしそのパワーバランスは、数秒で覆った。


「神の力ってのは好都合だ。喰らえ、フェンリル!」


在ろう事か、神炎のエネルギーがバールの大剣側に吸収されていく。次第に出力がクラムのそれよりも上回ったバールの『フェンリル』は、その名の如く神に襲いかかり、その牙を立てたーー!


「ぐあ、っ」

「まぁ、死にはしねぇから安心しろ。こっちの銃にも安全装置は付いてるからな」


傷はすぐに治る。しかしそれでも、膨大な衝撃にはクラムでも耐えきれず、クラム対バールの戦いは、初めてクラムの黒星で終わった。




「ーー普通に負けたな」

「『慣れ』だな。まだコイツと出会って浅い方だが、お前、その力を滅多につかわねぇだろ」

「…人から貰った力だ。試す気になれん」

「そうか。…それじゃぁ、セレシアは守れないぜ」


先頭が終わり。珍しくクラムは、バールに諭されていた。


「戦場ではいつも命懸けだ。貰い物だなんだと、気にしてる場合じゃねぇ。ここは平和だからそこまで気にする必要はねぇかもしれんがな、いざという時にその力を使いこなせなければ、お前はきっと後悔するぞ?」

「ーーっ」

「少しの間だが、本物の戦場を見てきた俺がいうんだ、間違いない。お前のその『拘り』は、きっといつか、お前の足を引っ張る。そんなもん捨てちまえ。持っている力は全て、完璧にマスターしておくんだ」

「ーーいや、お前に諭されるとはな」


クラムの心が変わった様だ。自分でも少し、『馬鹿らしい』と思ったのだろうか。



「ーーもう少し慣らしておきたい。付き合ってもらえないだろうか」

「あざ、いいぜ。お前の力が尽きない限り、こっちの力も尽きないみたいだしな」


持つべきものは友人也。

その後も彼らは腕を競い合い、休日いっぱいを使いきり各々の居場所へ帰ったという。

こっからどうするか決まってないので、次回は少し更新が遅くなります。ご了承をー

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