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幼馴染は聖女らしい。  作者: PARO
第1部 幼馴染は聖女らしい。
30/77

29話 物騒な雰囲気だ。

「やぁ、クラム君、それにセレシア君。…そちらの仮面を被った少女は?」

「あぁ、彼女はーー」

「アリシアと申します。初めましてでしょうか、カーロン様」

「…アリシア?」

「はい。ご主人様からそう名付けられました。前の名前は『セレシア』でしたが」

「…そうか。君が、か」


そう言ってカーロンは、アリシアに刃を向けた。


「撥ね飛ばしても構いませんよ」

「…いや。復讐はやめたんだ。もう刃を振るう理由はない」

「そうですか。では、贖罪になどとてもなりませんがーー」


どうやらアリシアとカーロンは知り合いだったらしい。さてはこいつ、年齢詐称しやがったか。


「この数百年間。あなたへの償いだけが、私の生きる意味でした」

「そんなことをしても意味はないと言うのに。…セレシアはもう、帰ってこない」


カーロンが刃を収め、何とも言えない表情をする。ウロボロスの言っていたことは本当らしい。


「…セレシア?」

「先生の亡くなられた奥さんの名前だ」


セレシアの問いに、クラムが答える。


「…⁉︎クラム君、どこでそれを」

「この右手をご覧ください」


そうやってクラムは、手袋で隠す様になった右手の甲をカーロンに見せる。


「アストレアに、…ウロボロス⁉︎クラム君、君は一体」

「ウロボロスから話は聞きました。それと、指輪がとても役に立ちました。本当にありがとうございました」


頭を下げる。これこそが、師への救いとなる様に。


「…そうか。君たちは、生きて結ばれるわけなんだね」

「まだ決まったわけではありませんが。なんとかそこまで持って行きたいなとは思っています」

「まぁ!それにしては、プロポーズの一つもくださっていただいていないのは何故でしょうか?」

「あ、そういえば奥様。ご主人様が奥様へ『愛している』と」

「ーーっ」


アリシアがセレシアに、絶妙なタイミングで俺の『伝言』を伝えた。…やりやがったな、あいつ。


「おい、何故今言うんだ。俺が死んだらと言っただろう」

「死んだら、とは言われておりません。『伝えておいてくれ』と言われたまま有耶無耶になっておりましたので、この度その命を果たそうかと」

「いや、しかしだな」

「まぁ、本当に想っていて下さったとは。心ではわかっていても、実際に耳にすると幸福感が違いますね…」


その言葉を噛みしめる様に、セレシアが呟く。…それほど喜んでくれるのならまぁ、何だろうか。


「…そうか。幸せになってくれるのなら、言った甲斐があったというものだ」

「…ですが、あと一息。欲張りだとは思いますが、クラム様の口から直接お聞きできれば、私は本当に、天にも昇る心地になれそうなのですが」

「そうですよご主人様。奥様に愛を囁くのは、殿方の役目です」

「うるさいぞアリシア。…ああくそ、どうにも言いづらい」

「…場所を変えたらどうだい?僕やアリシアちゃんがいるところでは、伝えたい思いも伝えられないだろう」

「…そうだな。セレシア」

「えぇ。では、参りましょうか」


そうやって彼らは、二人きりで向かう。

かつて想いを誓い合った、あの花畑へーー

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