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幼馴染は聖女らしい。  作者: PARO
第1部 幼馴染は聖女らしい。
23/77

22話 まだ、早い。

「おめでとうございます。さすがはクラム様ですね」

「…あぁ、ありがとう。それにしてもだいぶ強制されたな、お前」


時系列は遡り、親善大会直後。クラムとセレシアの会話である。


「えぇ。昔の口調に戻そうにも、なぜか出来なくてですね」

「いや、今のお前には、そっちの方が似合ってるよ」

「ふふっ、そうですか。ありがとうございます」


動じない、動じない…と念じていたクラムだが、


「あらあら。もう2回目ですのに、まだ慣れないのですか?」

「…お前、分かってやってるだろ」


確信した。こいつ、笑顔に『魅了』の魔法をかけてやがる。


クラムは忌々しげにセレシアの顔を見るが、


「まぁまぁ。それにしても、王女様だけではなく王子様まで倒してしまわれるとは、私もなんだか誇らしいです」

「…っ、そうか。そう言ってもらえると、頑張った甲斐がある」

「えぇ、本当に誇らしいです。まるで自分のことの様に」


突然の、聖女からの抱擁。

そんな事やっていいのかと思いつつ、疲れた体が完全に癒される感じがした。恐らくだが、『ハイヒール』でのかけてくれたのだろう。


「…む?これは、王女様の匂いでしょうか」

「鼻が良いな、お前。言っておくが『何もなかった』ぞ」

「えぇ、信じておりますよ。最も、指輪がある限りそんなことにはならないと思いますが」

「まぁな、そんな意思もないし、そんな事実もない。恥ずかしくて言いづらいが、他の女性に興味などないよ」

「まぁ、遠回しな言い方ですこと。殿方ならもっとこう、直接的に愛を語って見てはどうですか?」


村でクラムが振った理由も、その本心も全て見抜いているからこその、セレシアの言葉。


「まだ、早いかな。君の隣に立てるほど、俺には足場が整っていない」

「むぅ。そんなこと如何にでもなりますのに。…でも、分かりました。きっといつか、貴方の口から聞かせて下さいよ」

「あぁ、いつか、な」

「…待つとは言いましたが、あまり後回しにしないで下さいね」

「…考えておく」


クラムの遠回しな『返事』に、セレシアは頬を膨らませながらも、幾分か満足した様だ。


願わくば、この選択を後悔することがないよう。クラムは心の奥底で、そう願った。


『現し身よ。如何やら彼は随分と、臆病なようですね』

「まぁまぁ、そう言わないで下さい。ああいう人だからこそ、離れていても想い続けられるのですから」

『あなたに危機が迫っています。もしかしたら、「言葉」は聞けなくなるかもしれませんよ』


彼女に宿りし神からの『警告』。それを、

「いえ。そのようなことはございません。私に危機が訪れたならば、たとえ時空を超えてでも、彼は助けにきてくれますから」

『指輪の力ですか。あの男、自らの後悔を弟子に押し付けるとは』

「私たちはそれで助かっているのですから、文句はありませんよ」


セレシアが力強く突っぱねる。神は彼女と、その伴侶の未来を憂い、


『世界よ、二人に祝福をーー』


彼女らの幸福な未来を、願った。


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