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鈍色の空  作者: ryotan
2/2

2話

==========

   一時間後

==========


途中数体のHscmを撃破し揚陸艦に乗り込んだ。

味方の空爆が始まった。

今まで見ていた景色が崩れていく。

揚陸艦が離岸した。

上甲板から友軍の有人型Hscmが30mmチェインガンを撃ちまくっているのを尻目にダネル NTW-20/14.5の修理を工兵に依頼し、PTRD1941を担いで下甲板へと急ぐ。

甲板に出てPTRDを構えた瞬間だった。

チカッとオレンジ色の光が瞬いたと思った瞬間すぐそばでズガァン!という音とともに大量の火花が発生した。

スコープ倍率を20倍に設定し、再度覗く。

「PTRS1941・・・」

PTRS1941は手動装填自動排莢のPTRDと違い、自動装填自動排莢のセミオート型だ。

命中精度はPTRDに及ばないが、連射できるというメリットがある。

またもチカッとオレンジのマズルファイアが瞬いたが、遥か上へと弾が飛んでいく。

どこ狙ってんだよ、と心の中で呟いた瞬間上甲板から大量の赤黒い液体が降ってくる。

Hscmがやられたようだ。

そう思いながらも風と湿度を計算し、照準の修正を行う。

修正完了。

ッドンッ!という轟音とともにすさまじいマズルファイアが迸り、照準の先の敵の上半身と下半身を分断した。

後ろから声をかけられる。先ほどの工兵のようだ。ダネル NTW-20/14.5は機関部が破損しているため、ダネル NTW-20を用意したらしい。

ダネル NTW-20は、弾速は遅いが威力の高い20×82mmの弾を使用する。

刹那の逡巡。

結局ダネル NTW-20を受け取り、PTRDを預かってもらうことにした。

礼を言い、立ち去ろうとすると、工兵が何かを差し出してきた。

詫びの品だそうだ。

早速開けてみると、銀の仕上げが美しい、一丁の奇怪なハンドガンが入っていた。

サンダー50BMGという銃だ。

バレットM82や、ウルティマラティオ・へカートⅡ、バレットXM500などの対物ライフルと同じ、12.7×99mmの弾丸を使用する単発銃だ。

市販はされておらず、試作型だけだったはずだが・・・

再度礼をいい、一丁の銃が入っているロッカーのカギを渡す。

中に入っている銃はレミントンM700。

狩猟用から軍用まで、幅広く使われているとても評価の高い狙撃銃だ。

入手しやすい7.62mm弾を使用するため、威力は控えめだが、ボルトアクション方式の高い作動性と軽い反動が相まって凄まじい命中精度を実現している。

あの工兵が気に入ってくれるだろうか。と考えた瞬間、戦闘配置の無線が入った。

慌てて格納庫の中のHscmに乗り込む。自分専用の機体として購入したもので、モニターを引き受けたために破格の値段で売ってもらえたものだ。

また、このHscmは第三世代であり、現行の第二世代から機関の出力と関節部の駆動方式を改良し基本性能を底上げしたモデルだ。

惜しくもOSは変わっていないが、第二世代となら二対一でも負けはしない。

左手にはM2ブローニングを改造して作ったサブマシンガン、右手には大ぶりのナイフ、肩にはハイドラ70ロケットの対戦車モデルが載っている。また、胸部に増加装甲が追加されており、機動力は落ちるが防御力に優れている。

ハッチが開く。

戦闘開始だ。

敵は中国の部隊のようだ。

敵のHscmを見つけた瞬間M2のトリガーを引く。

しかし懸念していた通り12.7mm弾では装甲を貫けないようだ。

歯噛みしながらサブマシンガンを発射する。

残弾がみるみる内に減っていくが、装甲を貫徹出来ていない。

残った道は・・・

接近戦。

背中に取り付けられたブースターを限界まで噴かす。

タングステンのブレードが高速で振動しはじめ、厚い装甲にするりと刺さった。

高周波ブレードだ。

刃を超高速で微細に振動させることで、個体を液化させることができる。

敵兵から放たれた対物ライフル弾に偶然ナイフの刃が触れ、液化した鉛と真鍮がはじけ飛ぶ。

明らかに狼狽している敵に向かってM2を発砲。隠れていたコンテナごと吹き飛ばした。

とそこで新たなHscmを発見した。

明らかに他とは違う異質な雰囲気を発する機体だ。

装備は日本刀のような曲刀一振りのみ。

最低限の装甲は赤く塗られ、余裕が感じられる。

一気に距離を詰める。

しゃらん。という美しい音とキャキャキャキャキャキャ!という甲高い音が響く。

前者は敵が日本刀を振った音。後者は高周波ブレード同士が触れ合うときに起きる干渉の音。

ということはつまり・・・

「あの日本刀も高周波ブレードってわけか・・・」

ナイフを左手に持ち替え、M2を捨てる。

次の瞬間敵が日本刀を最短距離で突き出してくる。

とっさにブースターを最大出力で噴かせるが、ギリギリのところで右手首が両断される。

重心が前に寄った状態からの切り払いでさらに右肘が両断された。

さらにナイフを柄からぶった切られ、やむなく緊急脱出。

ハッチを開けた瞬間、ダネル NTW-20をぶっ放す。

夢中で転がり落ちたあと上を見ると、互いに致命傷を負い、動かなくなった2機のHscmが寄り添うように停止していた。

ここからは徒歩での戦闘だ。

気合を入れ、新たな敵を見つけに走る。


========

10時間後 

========

撤退命令が出た。基地は壊滅。

揚陸艦はありったけの物資を積み込んで離岸した。

今夜は洋上で停泊するらしい。

艦内食堂で工兵と会った。

M700も気に入ってもらえたようだ。

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