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三十四頁目 終局に向ける思いと想い。(余命告知)


 死が迫る。それはもっと物理的な感覚だった。少なくとも、この吸血鬼の呪いを知る日までは。


「……なんだよそれ。あと二年、って」

「そのままの意味だよ」


 ねずみの俺は既に、袋小路に居た。終わりはふたつにひとつ。追っ手である猫を噛み殺すか、相手に噛み殺されるか。


「吸血鬼の病、いや呪い。それが俺の命を、あと二年にまで縮めてるんだ」

「んなバカな。そんなことあるわけ」

「父さんが命を賭けた理由はその呪いを解くため、俺を助けるためだったんだよ」


 軋む世界。世界は甘くない。苦くて辛くて痛いものだ。わかりきっていた、はずなんだけれど。

 覚悟していた、はずなんだけれど。姫に伝えるのは、この上なく苦しかった。だからもう言葉に出すこともできなくて、俺はあの遺書を、取り出した。


「これ読めばわかるよ」

「…………、…………!」


 普段から読書家だからだろうか、あっという間に読み終えた姫は、目を白黒させながら俺を見る。隠していたことへの苛立ちと、発覚してしまった寿命の真実とに挟まれて、自分でもどう感情を現していいやら、わかっていない顔だった。


「そういう、ことなんだ」

「そんな……そんなのって、ナシ、だろっ……!」

「ホント、この世ってあってほしくない嫌なことばかりあるよ」


 殺してきた過去があるから。俺は、覚悟したはずだった。

 いつか殺されること、そして理不尽な死。それが来る日を、受け入れるべきだと。でも、出来る限り抵抗しようと。生き続けることと死を享受きょうじゅすること、その相反する二つを抱いてでもこの道を行こうと。そう、決意したはずだった。

 でも今はそれが出来ない。


「……ひととせ」

「ん」

「ひととせは、どうすんだよ……」

「――――父さんは、好きにしろって感じみたいだけど。俺は、どうしよう……もない、と思ってる。戦って生きるか、負けて死ぬか。どっちも、上手く選べないんだ。おかしいけど、なぜか殺したくない……生きたいとも、願っているってのにさ。おかしいな。両方の思いが打ち消しあって、空っぽになった気分なんだよな」


 自分の心がわからない。決意は揺らぎ、心は揺れる。

 俺の心情を読み取ったのか、姫も黙りこくる。俺たちはそうして、空を仰ぎ見ながらいつまでもベンチに腰掛けていた。




 やがて朝が近づき、集合場所にしていたのだというカフェの前まで、俺は姫と歩いてきた。まだ全然明るくなっていないし、この寒い中みんなは俺を探して奔走してくれてるのだと思うとなんだか悪い気がした。

 白藤と柊はこの早朝から開いているカフェの中に入ってホットコーヒーを飲んでおり、残りの面子は帰ってきていないらしい。


「どこをほっつき歩いておったんじゃ、主」

「……ちょっと、あいつらにさらわれてた」

「体は見たところ無事のようですが」


 こちらをじろりと見る柊はそう言って、俺の体に手を伸ばしてぺたぺたと触診する。しばらくそうしていたが、何も異常が無いことを理解すると手を引っ込めた。姫も座り込んでいたので、俺はその正面に座る。無愛想なツラをしているがやたらとファンキーな店員に、やはりホットコーヒーを頼むことにした。

 ずっと屋外にいたので、体が冷えている。心はもっと、冷え切っている。


「……ひととせ」

「なんだ」

「さっきの話って、みんなには……」

「話すよ」


 短く受け答えすると、なんだか傷ついたような顔をしてうつむく。コーヒーが運ばれてきた頃には、残りのみんなもゾロゾロと戻ってきた。どうやら、蝿縄の一匹が俺を見つけていたらしかった。


「主、ご無事で何より」


 オールバックにして広く出た額に汗を浮かべて、川澄さんは言った。葛葉とぱとりしあもかなり走り回ってくれていたようで、息が荒い。何はともあれ、ひとまず俺はみんなに頭を下げて突然いなくなったことを詫びた。


「ごめん、曲がり角のところで襲われて、そのまま相手方に連れ去られてた」

「なっ、大丈夫だったんですか?!」


 さっきの柊の行動の焼き直しのように、葛葉が俺に近づく。が、見ただけで大体異常が無いことを悟ったのか、すぐに落ち着く。ぱとりしあはなにやら本を開いてぶつぶつと文言を唱えているが、肩をすくめてこちらを向いた。


「近くには居ないんだね」

「まあな。ここから北西に馬車で三時間は移動しないと」

「招かれて、何をしておられたのですか?」

「……顔合わせだよ。戦いを前にして、ってところだ」


 戦い、という言葉にみんな訝しげな表情を浮かべた。姫だけは、先に聞かせたのでそんな顔はしない。ただただ、暗い面持ちで深くうつむくだけだった。


「戦いは、避けられなくなりそうだから」

「……斎様は」

「死んでた。マリアに、殺されてたよ……」


 膝から崩れかける川澄さん。テーブルに手をついてその体を支えたが、メガネの奥でまぶたが静かに閉じられる。そして、はらはらと涙がこぼれた。テーブルに置かれた手が硬く拳となり握り締められている。次に目を開いた時には、その瞳に憎悪が宿る。


「……っあんの……女狐がァ…………!」


 噛み締めた唇がぶちりと音を立て血を流す。計り知れない怒りと悲しみと憎しみに苛まれた川澄さんは、そのまま踵を返すと店の外に出て行った。一瞬静まった店内で、音を立てたのは白藤。呆れた顔というか、なんとも生気の抜けた顔で、俺に詰め寄る。


「……本当に、本当に。あの男は、死んでおったのか」

「……ああ」

「なんと、あの、ばかめ……」


 顔半分を片手で覆い、やはり店を出て行く。

 予想の出来ていたことだった。しかし、確かめることで現実が襲い掛かると、こうまで辛いものだとは、思って居なかった。店内に残った俺を含めた五人も、同様に悲しみをたたえた表情。俺は――どんな顔をしているのだろう。

 こんな、中途半端な心地の、俺は。


「白藤ちゃんと川澄さんは。昔から居るから、その、マリアちゃんとも会ってるんだよね」

「間違いなく。そもそも、結婚するに至った理由はマリアが宿に泊まりに来たから、だったらしいしな。詳しくは、この遺書に全部書いてあったろ」

「……斎様も亡くなって。この上、ひととせさんまで戦いに向かわれるのですか?」


 どうにかして止めたいという思いを口調にあらわにしながら、葛葉は言った。

 懇願されても、もはや俺にもどうしようもないところで、すべては転がり出している。


「行かなきゃならない理由が出来てるし、ね……。でも、逃げようと思えば逃げられないわけでもない」

「なら逃げましょう」

「それが一番、なのですな」


 葛葉と柊は必死な表情で俺を戦いに向かわないようにしようとする。

 でも、逃げたところで逃げ切れるかどうか。相手はあのマリア。十六年もの間、俺を追い続けた、女狐。いや、狩人だ。もうこの異邦の地まで来てしまった時点で、相手のフィールドに深く入り込みすぎている。正直、国境を越える前にアウトだろう。傭兵部隊に吸血鬼狩り、聖堂騎士団まで来ればさすがのこの面子でも一日と保たない。

 とは言ったものの。今のこの、自分の気持ちすら不安定な俺では。立ち向かったところで難なく捻り潰される。


「逃げるわけにゃ、いかねーんだよ」


 と、姫が手を伸ばして二人の腕をつかみ、制止する。


「逃げられねーわけが、出来ちまってんだよ」

「何を言ってるんですか姫」

「……ひととせ。いいか?」


 こちらを向く姫。俺は頷いて、外にいる川澄さんと白藤のところへ歩みながら言う。


「頼む」


 姫は心得た顔で、葛葉、柊、ぱとりしあの三人に話しかける。

 俺はドアを開け外の壁に背を預けていた二人の前に歩み寄り、やはり同じように話しかけた。凍りつきそうな空気の中、二人は呆然と空を見上げている。


「川澄さん、白藤」

「……戦うのか?」


 俺が話しかけたのとほぼ同時に、川澄さんがそう尋ねてきた。目線はこちらを向いていない。白藤だけは、こちらに視線を落としてきていた。視線を外す俺。三人の間に、沈黙が落ちる。空は、端の方から青白く染まり始めていた。

 もう一度、川澄さんが問いかけてくる。


「戦うのか?」

「……わからない」

「そうか。私は、戦いたい」


 白んでいく空を見つめながら、白い息を吐いた俺。川澄さんも同じ空を眺めながら、決然とした様子で言う。


「あの女に、爪痕を残したい。私の主にして、兄弟にして、友だった男を冥府に送ったのがあの女ならば。私は、どんな手を用いてでも戦い、あの女に一矢報いたい。これが私の、単純なる復讐心だ」


 憎悪の熱がこちらにまで届きそうだった。それは、俺もほんの一日前まで抱えていた、熱。いつかの柊を彷彿とさせる、それでいて静かな蒼い焔のような。けれど今の俺は、リオたちに会ったあとの俺は、その熱を失ってしまっていた。どこで手放したのかはわからない。ただ、喪失感よりも虚無感が大きかった。


「だが、」


 さらに川澄さんは続ける。白藤は何も言うことはない、と表情を固めており、俺しかその言葉を聞くべき者はいなかった。


「それでも、殺せないかもしれん」


 ――その言葉は。

 俺は川澄さんを見た。こちらに視線を戻していた川澄さんは、ふう、と深く息を吐いた。


「……なんで、殺せないと思うんだ」


 問いかける。俺と同じ言葉を呟いた川澄さんに。俺より長く、父さんと生きた男に。俺の方に体ごと向いて、肩に手を置いた。瞳は澄んで、まだ憎悪は見えたが、少なくとも落ち着いていた。


「つまらんちっぽけな事柄に囚われて、己を見失うことはもう嫌なのでな。……自分を卑小にするのは、何と言うことは無い。自分自身だ。それ以外に無いのだ」

「じゃあ、じゃあどうするんだ」

「マリアに会いに行くさ。あれは、冷徹ではあったが聡い女だった。女狐と呼ぶにも相応しい女だったが、それでも斎様が惚れた女だった。……理由があろう。吸血鬼たる主を狙うしか無くなる、理由が。もちろん、その理由の正当性があろうと無かろうと許せんことだ。しかし……襲い来る化物の撃退ならともかく、生身の人間を、もう私は相手したくない。疲れたのだ、殺し合いというものに」


 そう語り終え、煙草に火を点ける。白藤も同じように、キセルをふかす。

 二人は、大人だった。もっと言えば、老成。

 復讐心を、止めている。連鎖しかねないその循環を止めるべく、諦念と達観で以って。


「……そうか」

「主。主は、どうするんじゃ。結局答えておらんぞ。ことこれだけは――曖昧なままでは、居てはならん」

「……俺は」


 白藤に答えを求められ、俺は言葉を探す。けれどそれは見つかってくれなかった。川澄さんや白藤のように、老成していない俺では。そこまでの諦念と達観を、持てない。

 二人の横に立ったまま、俺はずっと無言で居続けるしかなかった。紫煙と共に、日が昇る。二人は立ち去ってしまいそうだったので、俺は最後に、二人の背に話しかけた。


「…………なあ」


 足を止めた。

 俺は、隠していた遺書を取り出し、二人に語る。どうするか決めかねる理由を。

 そしてそれでもなお殺したくない、その心地を。


        +


『果たして、アイツは覚悟を決めてくるだろうか』


 昨晩夕食を食べた広間で、リオとマリアは向かい合って朝食を取っていた。四季折は朝早くは動くことが難しいため、食事は部屋へ運んでいっている。リオは紅茶を口に運んでから、マリアをカップ越しに見据える。マリアの金色の目が、リオに視線を返した。


『出来なければ殺すだけよ。もっとも、出来ていても殺すのだけれどね』

『恐ろしいな。しかし……同属を殺して生きる、か。こんな制約があっては、ここまで種の数が減るわけだ』

『もう既に二桁台、らしいわよ』


 そのうちの三人が、この城に居た。同属を殺して生きているのが、そのうち二人。


『あなたは……妹を、だったか』

『そういうあんたは親友を、だったかしら?』


 ああ、と頷き、自分の手を見るリオ。その手に流れる血は、かつて殺した友の血。


『全て失って命だけ。そんな状態だったオレと、四季折は出会った。なぜ惹かれあったのか、今もってよくわからないがな』

『恋なんてそんなものかもよ? それに、少なくともわたしは思うわね。きっと、命以外何も無いあんたと、命以外全てが在る四季折は、重なったのよ。お互いにそう見えたんだわ』

『かもしれないな。……何にせよ、今のオレはそんな瑣末なことは気にならない。そんなことも含めて、全て見た上で、四季折のことを好いている。そうなったんだと、オレは思う』

『やけるわね』


 笑うマリアに、真剣な顔つきでリオは向かい合う。どこか遠く見るような目で、それは四季折を見ているのか有和良を見ているのか。マリアには判断がつかなかった。と、こちらに近づきながらリオは尋ねる。やけに、小声で。


『…………だ』

『なに?』


 聞き返すと、ほんのわずか声を大きくする。


『実際のところ。四季折はあと、どれくらい保つんだ』


 マリアは何か喉に詰まったかのように、言葉を発することが出来ない。天井を見て唇を噛み、そして自分の中で何か整理をつけたのか、笑顔を取り繕ってリオと目を合わせた。しかし、そんな仮面は長くもたない。話していくにつれて、どんどんと暗い面持ちが露になってゆく。


『――そんなもの、考える必要ないわよ。春夏秋冬を殺せば済む話なんだから。第一、この決闘は一か零か。負ければ全てを、つまりあの子を失うことになるんだから』

『そんなに……短いのか』


 言葉を濁したマリアの様子から感じ取るものがあったリオは、マリアを責めるような口調になりながら確認を取る。怯む彼女は、苦々しげな表情で脱力しながら、頭痛でもあるかのように額を手で押さえた。そして、小さく頷く。

 呪いへの耐性には個人差がある。成人前で大抵が死するとはいえ、例外的に三十まで生きる者も居たし、逆に十を数える前に死ぬ者も居た。その耐性の問題でいえば、有和良は平均的。調査した永夜の症状などから、十八くらいまでは生きられるだろう、と目安が立った。しかし、四季折は。彼女は、元来、体が弱い。


『……長く見積もっても、あと九ヶ月、ね』

『…………仕方がないなこればかりは。天寿という奴か』

『だからこそ、勝たなくちゃいけないのよ』


 二人は、頭からその数字を振り払う。どうせ勝てばいい、勝てばそれで済むのだから、と現状を再認識することで。

 それはある意味、甘えでもあったが。そこを支えにしなければ決壊してしまう。二人の精神も、すでに随分と追い込まれたところにあったのだ。


『しかし、春夏秋冬が逃げる可能性も無いではないが』


 リオは話題を変えて、今までの会話を忘れようとした。マリアもそれにのり、そうね、と考え込んだフリをする。もちろん、この九ヶ月という数字は四季折には知らされていない。芝居を重ねて、今の彼らの心境は成り立っていた。そこまで、しなくてはならなかった。


『逃亡した時、ね。安心なさい』


 少し震える手で注いだ紅茶を一息に飲み終えたマリアは、カップをソーサーに置いて立ち上がる。近くにあった窓から草原を眺めつつ、無理やり微笑んだ口許を指先でなぞった。


『その時のために手は打ってあるわよ』


 微笑に悪意が見え隠れした。


        +


 再び宿屋として展開した白藤。それぞれ、部屋に戻っていつもと同じような時間を過ごしているはず。

 俺は、タンスの奥にしまっていたそれを取り出していた。何重にも黒い布を巻かれたそれ。長い間、持ち運びに不便な上取り上げられても困るので、しまいこんだままにしていたそれ。するすると布を解く。その〝剣〟自体が外に出たがっているかのように、布は素早く滑り落ちた。

 現れたのは、西洋剣。黒い鞘に納められた、片刃のサクス。すらり、と抜くと、刃こぼれも錆びも無く最後に手入れした時のままになっている。ところどころ金の薄い板でコーティングされた、黒い柄を握り締める。片手用だ。

 剣の名は、〝血肉啜る牙痕(ダインスレイヴ)〟。吸血鬼のためだけに吸血鬼が打ったのだという魔剣。日本に渡ってからは一度も使うことが無かったが、その昔、まだまだ弱かった俺はこの武器に頼らないと生き残ることが出来なかった。まあ今も、そんなに強いわけではないが。


「しかし……封印したつもりだったんだけど、な」


 溜め息で曇る刀身。ある程度体格もしっかりしてきて、人狼の暗示を使いこなせるようになった頃から。俺は、その身体能力とこの剣を組み合わせた場合、本当に本当に簡単に、人を殺せてしまうことを悟った。だから、封印することにした。本当に必要になる時まで。

 でも、これを使うべきなのか否かすら、今はわからない。シルフなどという、あまりにも強大過ぎる敵を前にして、思わず古くからの愛刀であるこいつを持ちだしてしまったが……白銀の刀身は変わらず、血を誘っていた。

 つ、と刃を指でなぞろうとしたところで、ふすまを叩く軽い音がした。俺は剣を鞘に納めてどうぞと声をかける。


「ひととせさん」

「ん」


 後ろ手にふすまを閉め、葛葉は俺の正面に座る。俺は剣を脇に置いて、そちらに向き直った。


「それ、刀ですか」

「西洋のだけどな。ちょっと……必要になるかもしれないから」


 葛葉は複雑そうな表情でしばらくこれを見ていたが、やがて視線を逸らす。俺の目を見据えた。


「わたしも、ついて行ってはいけませんか?」

「ダメだ」

「……斬って捨てるの早いですね」

「こればかりは。第一、決闘なんだよ」

「相手から一方的に決められたに近いじゃないですか」

「でも俺はその条件で呑んだんだ」


 強く言い返すと、葛葉は溜め息をつく。そして、少し正座を崩した。


「一人で向かうのは、条件を呑んだからだけではないでしょう」

「それ以外になんだと思うんだ」

「わたしたちを、巻き込まないためでしょう?」


 俺は口ごもった。たしかに、それは。巻き込むわけには、いかないと思っていたが。でもそれ以上に――決心がついていないのが、原因とも言える。殺せない気持ち。何がきっかけになったのか芽生えたそれが、俺を止める。先に進むなと警鐘を鳴らす。

 これは予感でしかないが、俺はあいつらを殺したら、後悔するだけじゃ済まないような気がしていた。それ以上に、何か。とうに失くしているはずだが、実はいまだ持っていた何かを、今度こそ手放してしまう気がしていた。

 身内殺し、だからだろうか。血のつながりを断ち切る行いへの、父さんを殺した相手と同じ場所へ落ちることへの、恐怖なのだろうか。


「俺が生き残るための戦いなんだ。それにみんなを巻き込むのは、筋違いってもんだろ」

「筋違いじゃありませんよ。ひととせさんは、わたしたちにとって大事な人なんですから。こんな言い方は厚かましいと、特に、斎様が亡くなった今だからそう思われるかもしれませんが……」

「?」


 言葉の端を濁らせながら、葛葉はぼそぼそと言う。やがて、少し緊張した面持ちを上げて、俺に言った。


「家族、みたいなものじゃないですか」

「…………、」

「少なくともわたしは、そう思ってます。だから……生き死にまで含んだ大きなことを、自分だけの問題とは、言わないでください。わたしにとって、ひととせさんは、その……大事な、人ですから」


 はにかんだ笑みを浮かべながら、葛葉はそう言ってくれた。

 こちらがあちらを心配する。あちらもこちらを心配する。そんな、家族のような関係。これについて語ることは、血のつながった家族のいない葛葉にとって、どれほど大きなことだろう。思いいたると、申し訳ないような、ありがたいような、暖かな気持ちになった。


「……わかったよ。戦いに出るときはちゃんと話すから。だからそんな、泣きそうな顔しないでくれよ」

「な、泣きそうですか?」


 そんな関係、ずっと無かった。ずっと、父さんと二人だった。でも宿屋に来て俺はその関係を感じていた。思いあえる、そんな関係。辻堂や要や、友達としての関係とはまた違った、近しい関係性。

 ――嬉しかった。


「ありがとう」


 言いながら立ち上がる。葛葉は顔を背けた。


「い、いえ……」

「俺も、大事だよ」


 葛葉を部屋に残して俺は廊下に出て、ふすまを閉めた。片手には剣を持って。


「……やれやれ、余計に難しくなったな」




 色々と考えて自嘲気味に笑いつつ、俺は窓から出て屋根に手をかけ、瓦の上まで軽く跳躍。月が上る夜空のほかには何も見えない、見渡す限りの景色。急勾配な屋根をすたすたと歩き、一番上まで上ってきてから剣を抜く。月光に曇りなき刀身が映えた。

 抜いた瞬間、体に広がる力。それは『知識』。


「まったく、因果な剣だな」


 右手で片手正眼に剣を構えた俺は、袈裟がけに振り下ろす。手首を返し、切り上げ、その動作の途中でまたも手首を返し、踏み込みながら突き。俺は剣を習ったことなど無い。しかし、今だけは全ての動作を『体が知っている』。


「さて……でも、本当にこれを使うことになるのかな」


 ひゅん、と風切る刃。だがどれだけ上手く振るえても、その剣に心が無い。本気を、込めることが出来ない。横薙ぎに振るう。想定する敵の影。それに、かすりもしない。拳一つ分、あるいは間合い一歩分。

 届かないように、無意識で加減してしまっているのを意識する。


「意識して直らない無意識ってどうだよ」


 切り上げ、手首を返し、同方向からの切り下げ。仮想の敵。当たらない。これじゃあ、何も持たない方が遥かにマシか。敵を殺しかねない刃は、今の俺では使えないのか。

 否。だが俺は識っている。使わなくてはならないことを。相手は、四大精霊の一柱シルフ。この世を形作る四大元素、その一つを使役するでも操るでもなく、丸ごと手中に収めている相手。

 所詮人間の変換機コンバーターであるマリアを介しているためその力はいくらか弱まる(そもそも、精霊と人間では扱える魔力のキャパシティに差がありすぎる)だろうが、それでも普通に相対すれば勝てない相手であることは変わらない。だからこそ、この剣を持ち出してはみたが。

 腕が震えてやがる。


「……ケンカに勝とうとしたガキが刃物を持ち出して、その威力を考えたら結局振るえない、ってか」


 殺せない。

 なぜか殺せない。

 どうしても殺せない……。

 殺すのは簡単だ。でも、それには必要性が要る。手段が要る。機会が要る。度胸が要る。たくさん、要るものがある。そしてそのどれも、俺は満たすはず。最後の「度胸」だけは、今の状態をかんがみると首を傾げざるを得ないが。昔の俺は、どれも満たした。満たせることに、自分を嫌悪した。

 剣を鞘に納める。『知識』が体から離れた。剣と共にそれは鞘に納められる。俺は息を吐いて、座り込んだ。

 葛葉は俺に家族だと言ってくれた。みんなも、きっと同じように言ってくれる。俺もそう言いたい。しかし……人殺しが家族、とは。とっくに人間性を捨てた俺が。そんなことを言うとは、おこがましい。けれど今、迷う。殺し続けたはずの俺が、今までとなんら変わり無い『命』を奪い取り繋ぎとめる行動に、迷いが生じる。

 それは、家族としてあいつらと過ごしてきて、血から離れた場所に居たからか。自ら手を汚すことが無い日々を過ごしたからか。だとしたら――俺は最低だ。

 大事だと言ってくれたみんなに罪を押し付けて、俺は大事なみんなから逃げていることになる。


「くそ……くそっ」


 手が震える。それは寒さからじゃなく、喜びにでもなく、ならそれは――


「一体、なんだって言うんだ!」


 瓦屋根を叩く。八つ当たりの代償に、血が出る。痛い。


「……なにやってんだ、ひととせ」


 視界の端にひょこっと小さな手が見えた。それは瓦屋根の端をつかんで、ぐいっと体を大きく持ち上げる。真っ赤な髪、緋色の着物。金色の瞳が、俺を見ていた。と、体がずり落ちる。


「おい!」

「うわっと、はは、ごめん」


 だっと走って手を伸ばし、空に投げ出された小さな手をつかむ。さすがに片手で人間一人、いくら小柄な姫でも持ち上げられるわけもない。俺はもう片方の、血が流れている手も使って一気に姫を引き上げる。ぜえはあと肩で息する俺の横で、姫はあっけらかんとした表情だった。


「あぶ、ない、な」

「あはは、ごめんごめん。でもそんな驚くことねぇんだけど。ほら」


 乗り出して屋根の端をおく見てみる。長いはしごが中庭から一直線にかけられていた。


「……ああそう」

「わりーね」


 そう言って姫は、さっきまで俺が座っていた位置まですたすたと上っていく。俺も後を追い、並んで座ることにした。姫はちらりと視界の隅に剣を捉えたようだったが、特に話題に上らせる気はないらしい。うー、と伸びをして体を逸らし、澄んだ空気の上に広がる夜空を眺めている。


「ひととせ」


 呼びかけられる。膝を抱えて座りこんでいる姫は、大きな瞳でこちらを見据えていた。


「今、楽しいか?」

「……はあ?」

「宿屋で暮らしてきた毎日、楽しいか、って訊いてんだよ」

「そりゃ、楽しかったよ」

「そっか。そんじゃあこれからも楽しいといいな」


 なんだそれは、と拍子抜けして、俺は体勢を崩す。てっきり、葛葉と同じような話題を挙げると思っていたのでこれは肩透かしを食らった。姫は笑顔で、とまではいかない明るい表情で、続ける。


「辻堂さんと時計さんって、そういやどこで知り合ったんだ?」

「唐突な話題だな……まあアレだよ、要とは学校が同じで、辻堂とは将棋部の試合で会って。で、二人とは別々に関係があったけどそのうち一緒に過ごすようになって、要の髪の色がああなった一件について知ってからは、さらによくつるむようになった。……それも原因で、この前の共感魔術師との戦いに要が関わることになったんだけどさ」

「別に恨んじゃいねーだろ、二人とも」

「だろうけどね」


 辻堂に至ってはこっちの世界に興味を抱いてる節がよく見受けられるし。順応力が高すぎるのも考え物だ、と思った。


「結局のとこ、辻堂さんとひととせは悪友って感じだぞ」

「言うなよ気にしてるんだから……俺だってあんな変な奴とつるむことになるとは思ってなかったんだ」

「変、か。悪い人じゃねーとあたしは思うけど」

「いい奴かもしれないけどタチは悪い」

「時計さんは?」

「あれは本当にいい奴だよ。辻堂みたいなのと上手くやれてる辺りも、その他生活面も。見てくれ良し能力良しで欠点の方が見つからない。せいぜい、ちょっとおどおどしてるから社交性が無い、ってくらいか」

「ベタぼめだな……」

「いや、本当にそうなんだって」


 身内びいきで人間に対する評価を変えるような人柄をしているつもりはない。辻堂は、ある種の例外。

 楽しそうに笑う姫は、そのあとも色々ととりとめのない話をせがんだ。辻堂に要のことや学校のこと、昔どんなところを旅したのかなども訊いてきたので、俺も旅先であった笑い話を適当に話した。命を賭けた決戦が近づいているとは思えないような時間で、それは穏やかな過ごし易さを持っていたが。どこか、足りなかった。それは、話の距離感、だと思う。

 どれほど話し続けたのか。相当長い時間を、無駄話に費やした俺たちは。随分冷え込んできたこともあって、互いの間にある距離が無かった。背中合わせに、温度を感じあうだけ。表情すら見えない。


「……もう、さすがにこっちもネタ切れだよ」

「どんだけ話してたんだろな、あたしたち」

「話してた、っていうか、俺が一方的にしゃべってるだけだったような」

「少しはあたしも話してたぞ? まだ、言ってないことも、多いけどよ」


 体を縮こまらせたのが背中越しに伝わってきた。何を話してないのだろう、と気になったりしたが、それより何より、ずっと触れなかった、この話題の根幹について、俺は尋ねた。


「……どうして、こんなこと話してくれなんて言ったんだ?」


 少しは間が空くだろうな、と俺は思ったが、意外にも姫は「うん?」と肩をすくめたような声を出して、すぐに理由を言った。語る、というほどでもない、それは簡潔な言葉だった。


「あたし、ひととせのことなーんにも知らないからさ」

「それだけ、か?」

「それだけ。ひととせだって、あたしのことそんなに知らねーだろ? 知って、知られておきたかったんだ。最後かもしれないから」


 うなずかざるを得なかった。でも、知ってることだって無いわけじゃない。それくらい、この宿屋で過ごした時間は、密度があった。それに、最後かもしれない、というところにも、頷かざるを得なかった。


「なあ」

「ん?」

「逃げちゃおうぜ」


 明日出かけよう、くらいの軽い感じで姫は言う。背中越しに聞こえた言葉は、それはそれでも魅力的だった、かもしれない。

 けれど無理だった。可能性を天秤にかければ、俺は自然と高い方の選択を選ぶ。


「……無理だよ。マリアは相当に権力も持ってる。それを全部行使すれば、ことこの周辺では俺たちはとてもじゃないけど逃げられない。日本ならまだ、ランダムな転移と国内に居る魔術師の毛色の違いとかで、そこまで追われたりしないけど。ここまで、父さんの死を呼び水にされて来てしまった時点で、俺たちは逃げられない」

「そーじゃなくてさ。もっと、理想論で。『もし逃げることが出来たら』だ」


 逃げることが、出来たら――か。

 でもその場合俺は。


「出来たらしたい、ところだけど。その場合、俺は死ぬな、二年後に」

「だよな。けど、それでも逃げれるなら逃げたい、ってひととせは思ってんじゃねーか?」


 驚いた俺は振り返ろうとしたが、姫が動くたび首筋に髪の毛が触れてこそばゆい。そのポニーテールが邪魔になって、横顔さえ見ることは出来なかった。顔色はうかがえず、心音にも変化は無い。姫は、まったく動じた様子も臆した様子もなく、そう言っていた。


「……なんでそう思うんだよ」

「だってさ」


 とん、と頭が背中に当たった。


「怖いんだろ、人を殺すのが」


 ――言葉が、何かを突いた。俺の中の何かを。

 怖い、なんて。恐かったのは、いつも自分の命が無くなることで。その小心故に、俺は何度もこの手を血に染めたはずで。


「ホントは、いっつも怖くて仕方なかったんだろ? でも、仕方ないからやってただけだろ?」

「俺、は」

「でも今は、選べる。んにゃ、選んでも簡単じゃねーけど……それでも、選べちまう。逃げるか戦うか。突然に始まって殺さなきゃ生きられない戦場じゃないから、選べちまう。それに――ひととせは、知り合いは殺せねーもん。知ったかぶりな上に嫌な言い方だけどさ、戦場で人を殺せちまうのって、相手のこと何も知らないからじゃないか?」


 無知ゆえの、殺人。

 たしかに俺は彼らについてなにも知らない。


「べつに、弁解のために言えってんじゃねーよ」

「じゃあ、なんだよ」

「知ってるからこそ殺したい、ってのもあんだろうけど、こりゃ明確な殺意だし。ひととせのとはあんま関係ねーよな。それに、斎が死んだことで……ひととせは、本当に死が悲しいことを知っちまってる。だろ」


 知らないこと。

 それは、相手が死んだ時に哀しむ人がどれだけ居るか、殺すことがどれほどの重みか、知らないことは全てを知らないままで居させてくれる。生き延びるため殺す時に、思考なんてそうそうしない。気づけば血に濡れて、あとからあとから長い時間苦悩し思考する。無知なことが守り。考え出したら、きりがないから。


「殺人に必要なのは必要性。手段。機会。度胸。一人でやる時は、大体こんなもんだろ。あとは暗示とか命令とか……血族(、、)の強制とか。でも、手に入れなきゃなんねーものとは反対に、捨てるものもあるだろ」

「……人間性」

「ん。こっからは甘い甘い理想論、あたしの勝手な言い分だけどな……生き延びるため、襲われたから仕方なく、の殺人には、まだ人間性を捨てることはねー、とあたしは思うんだ。でも、今回殺そうとした場合は…………完全な、人間性の、排除」


 だから怖いんだろ、と付け足す。

 剣を構える。震える腕。これも、その恐怖からくるものか。


「……はは」


 そしてその言い分を信じてしまうとしたら。俺は、とっくの昔に失ったと思っていたものを、まだ手放していなかったことになる。この、俺の中に。まだあったのか。そんなものが。そうだとしたらそれはひどく滑稽で、不愉快な話だ。けれど……信じてもいいのなら。それは、俺にとって一つの救い、だった。


「……なんか、語ってみちまったわけだけどさ。ひととせ、考え、まとまったか」


 ならば。殺すのも嫌で、死ぬのも嫌な、どっちつかずの理想論者の俺は。

 どう、すべきか。

 答えは出ている。一見矛盾しているようにさえ思える答えだから、俺は見えないフリをしてしまったのかもしれない。

 でもいまは、まっすぐ見据えられる。姫の、おかげで。


「ははは、はあ……じゃあそうだな……理想論をかたるのは、やめにしよう」


 殺すか生きるか。決めよう。これだけは、こればかりは、熟考して両者を生かす手を考えるわけにはいかない。完璧なハッピーエンドなんて、今までも存在しなかった。この世のどこかにあるかもしれなくても、それは俺には縁遠い。今まで選択をしなかった俺には、縁遠い。

 殺すのは怖い。俺はあいつらを知ってしまったから。あいつらの関係を踏みにじり、叩き壊すことが出来ない。悲しすぎるから。その悲しみを知ったから。けれども死にたくない。俺は――きっと。


「姫には、助けられてばかりだな」

「あたしだって助けてもらってんだ。お互い様ってこった」

「さっき、葛葉に言われた言葉の流用なんだけど。俺……姫やみんなのこと、家族だと思ってる」

「……うん」


 だから、思う。俺は死にたくない。みんなと生きてきた日々が大切で、楽しくて、これからも続けて生きたいから。

 俺を支えてくれた、後ろに居る大事な奴と。一緒に生きたいから。

 殺したくない。でも、生きたい。

 ――生きたい。

 それは今まで抱いたことの無い気持ちかも、しれない。これまで生きてきて、この『生きたい』を理由に人を殺したこともあったような気がするけれど。それはきっと、『死にたくない』でしか、なかったんだと今は思う。ネガティヴから生まれた死にたくない、と、ポジティヴから生まれた生きたい。いつからか、俺の心のどこかにポジティヴな、前向きな、生きようという気持ちがあった。

 いつからか、なぜか。


「俺、決めたよ」

「うん」

「俺は俺の命を――諦める」


 背中でびくりと姫が震えるのがわかった。


「姫は、この選択をどう思う?」

「どうって……あたしが、口出しすることじゃねーだろ」

「姫の意見で、いいんだ。言ってほしい」


 ――昔の俺には、失いたくないものが無かった。というより、父さん以外の世界を敵と見ていた節もある。この理不尽な暴力が全てを統べ、支配する世界で、信頼できたのは父さんしかいなかった。裏切り。騙し。嘘吐き。ホラ吹き。詐欺。誰も彼も、俺は信頼出来なかった。失いたくないどころか、全て滅べ、とさえ思っていた。

 そして唯一信頼する父さんは間違まごうことなき最強で、失いたくない、などと心配する必要性がなかった。

 でもそれがいつの間にか。大切で、失いたくないものはたくさん出来ていた。

 それらと離れるのが嫌で、それが戦う理由になっていたような気がする。

 生きたいと思う、理由になっていた気がする。

 だから、その『大切な』『失いたくない者』に、言ってほしかった。


「あたしは……ひととせに、死んでほしくない。生きて、ほしい」

 

 その言葉を聞いて、俺は自然と口の端が笑みを形作るのを感じた。


「それが、俺の答えだ」


 失いたくない、だから先に奪う、なんてことも出来ない。なら――それが答えだ。俺たちの、答えだ。


「俺は俺の命を諦める。でも、殺されない。リオもマリアも四季折も、殺さない。俺は――あと二年の命で、いい。それを精一杯生きることにする。四季折にそれを強いるのは罪悪感があるけど……長さが全てじゃ、ないと思う」


 立ち上がる。片手に剣を携えて。もう、震えは無い。迷いは振り切った。

 殺さないし死なない。納得出来ないものには、俺は決して首を縦に振らない。


「あと二年、よろしくな。姫」

「――――っう、っ」


 背中越しだから表情は最後まで見えなかった。けれど、これでいい。

 さて。それじゃあ行こう。

 命を繋ぐために行う、最初の戦いの始まりだ。



次回は葛葉編。そして戦い、終焉へ向けて進みます。


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