~敵陣内部への侵入~
俺達は今、舞乃やその妹、東京理科高校の生徒たちを助け出すことを目標にして、廃工場の中を駆けていた。
中にいるUNCの構成員や、主犯格であると確信している北一輝に逃げられるようなことが無いように、事前に俺達が入って来たところを含めて、綾花と俺とで出入り口を全て塞いでしまった。
かなり強力にアビリティをかけたから、そう簡単には破る事は出来ないだろう。
こういう言い方をするのか分からないが、俺達も、そして敵の方も一人残らず袋のネズミ状態だ。
ここに俺達が侵入する前の、出入り口を塞いだ段階から侵入者が現れたことを警告する警報が鳴っていて、さっきから、UNCの構成員が数人俺達と遭遇しているが、何もさせない段階で次々に無力化していった。
お前らの相手をしてる暇は無いんだよ!
だが、気になるのは、やけに相手にしてきた人数が少ないということだ。
仮にもここが敵の本拠地だろうから、もう少しいてもいいだろうと思ったのだが…。
そう思いながらも、俺達が次の部屋に進むためのドアを開けた時、先程の疑問に対する答えが返って来ることになった。
それは…、
「うわぁ…」
「…」
「ふえ~っ…」
俺、奈桜、綾花が三者三様のリアクションを見せたのも無理も無いと思えるほどの人の数、凡そ100人が俺達を囲んでいる。そんな部屋だった。
皆さん、顔が怖いですよー…。
全力でルートを変更したいのだが、ここを抜けなければ奥に進むことは出来ないようだ。
ここに侵入する前に携帯端末からネット回線に繋ぎ、まだここが工場として稼働していた頃のマップを引っ張り出して、事前に廃工場内部の侵入ルートを確認したからこそ言えることだった。
そんな状況でUNCの構成員と睨み合いながらも、綾花が俺と奈桜に向かって小さな声で提案してきた。
「(ハヤテさん、ここは私に任せて奈桜さんと一緒に、『ハイディング』で隠れて先に言って下さい)」
「(でも、お前を残して俺らだけで行くわけには…)」
流石に行かないだろう?そう言おうとしたときに、
「(私は足がお二人ほど速く無いので足手まといになっちゃうと思います。それに、お二人がいたら私が全力を出せません!)」
だそうだ。
「(ハヤテ、ここは綾花にまかせるべき。時間を大切にして)」
と、奈桜のも念押ししてきたので、
「(すまない。じゃぁ、任せていいか?」
俺がそう聞くと、
「(任せて下さい!)」
だそうだ。
ここでこれからの動きを確認したので早速こちらから動く事にする。
「いくぞ!化学アビリティ『フラッシュグレネード』!」
本日二回目のこのアビリティでまず相手の目を潰した。
そして、その間に、
「(物理学アビリティ『ハイディング』!)」
このアビリティによって綾花を残して俺と奈桜の姿が消える。
こうして俺と奈桜はこの部屋の出口へと相手の人垣の間を避けながら進み、無事に出ることに成功した。
綾花だけ残して来てしまったが、あれはどう考えても死亡フラグだったろう?と今更になって思うが、俺は綾花の心配なんぞちっともしてなかった。
むしろ、綾花の相手をする人間が死んだりしないか、そっちの方が心配だ。
あとは…しまった!綾花にこの前みたいな建物ごとぶっ飛ばす威力のアビリティを使うなと警告するのを忘れてた!
俺は、敵の攻撃よりも、味方の攻撃の方に気を配らないといけないとは、なんたる皮肉な事だろうかと、一人考えてた。
そんな俺を見かねたのか、奈桜が、
「何を一人で百面相していの?早く先へ」
などと言った。
まぁ、廃工場がぶっ飛んだ時はどうにかしよう。
今は奈桜の言うとおり先を急ごう。
そうして更に駆けていく。
勿論このルート、と言っても俺達が入ってきた所から最奥部までは、ほとんど一本道なのだが、そこにも何人かのUNC構成員がいた、しかしやっぱり俺と奈桜はそいつ等を一瞬で蹴散らし、相手にしなかった。
大勢いるなら数の優位が働くからまだしも、数人では相手にならない。
そして、次のに目の前に現れた扉を開けると、そこには…
「やっぱりかチクショウ!予想はしてたよ!!」
「またですか…」
またもや大勢が俺達を囲んでいた。
今度はさっきよりか若干少ない気がするが、雰囲気からしてさっきよりも手練れが揃っているようだ。
「(ハヤテ、アナタは先に行って)」
「(奈桜、お前もかよ…)」
どうもさっきから二人は死亡フラグっぽいセリフが多い。
でも、確かに舞乃がどうなっているか分からない以上、急いだ方がいいのも事実だ。
なので、俺は、
「(あんまりやりすぎるなよ?)」
とだけ言っておく。
奈桜の首が小さく縦に振られ、早速戦闘を開始するべく奈桜は刀を取り出し、
「痛い思いをしたくないなら、ここから退きなさい。生物学アビリティ『ヴァイタリティ・シフト』!」
と、早速戦闘を始めた。
俺は奈桜の方に注意が集まっている間に、また『ハイディング』をかけ、出口の扉から出た。
そして、今度は俺一人で次の扉まで走り抜けるが、確認したところでは、次が最奥部に至までの道程では最後の大部屋だ。
さっきから構成員の姿も見えない所を見ると、確実に次の部屋には何かあるのだろう。
あっという間に大部屋の扉の前まで来る。
…奈桜が東京理科高校からここに来るまでに立てた予想では、最悪の場合は舞乃がこの先で敵として待ち構えているそうだ。
そうなった時、俺はアイツに能力を向けられるのか?
ここに来て真剣に考えたが、どうも答えは出なかった。
だが、ここでウダウダ考えている時間は無い。
ええいっ、どうにでもなれ!!
そう開き直って、俺はそこに舞乃がいないことを切に願いながらドアを開けたのだった…。
自分で書いておいて何ですが、この回はあまり気に入りません…。
短いですし、後で書き直すかもしれませんが、取りあえず事態の解決まで急ぐつもりです。
こうなってしまったのは、作者の力不足です。申し訳ありません。




