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~廃工場へ~

「学校から出たら、真っ先に廃工場へ向かうぞ!」

「了解」

「分かりました」

 私達は今、舞乃さんが危険にさらされているかもしれないという結論に、奈桜さんの推理で行き着いたので、急いで校門の方へと向かっているところでした。

 でも、私は…

「まっ、待ってくださいぃ~!」

「綾花は自分のペースでいいから、とりあえず学校から出るまでは付いてきてくれ!」

「そっ、そんなこと言ったってぇ~……」

 ハヤテさんと奈桜さんの足が速すぎて付いていけませんでした。

 だって、この二人と違って、私は自己加速が出来るアビリティなんて持ち合わせてないんですよ?

 そもそも化学アビリティにはそんなアビリティは無いはずなんですけど、ハヤテさんはまさかそれ、能力無しでそのスピード何ですか!?

 もうついていけません。

 私はあっさりと置いていかれました。

 でも出きり限り頑張って走って、校門付近でハヤテさんと奈桜さんの姿を確認しました。

 私はてっきりお二人が待っててくれたものとばかり思っていたんですが、なにやら見回りをしていた2人の女子生徒、生徒会長の『萩原美菜子』さんと、副会長の『井上千里』さんともめているようでした。

 そう言えば、担任の結城先生が生徒会が校内を警備していると言う話をしていましたね。

 私はとうとう追いついたので、息を整えながら話を聞くことにしました。

「そこを退いてくれ」

 とハヤテさんが、いつもよりも低い声で訴えかけます。

 ですけど、

「何度も言っているでしょう?こんな状況なんです。ウチの生徒を外に出すわけにはいかないわ。何かあった時には責任がとれないですから」

 と萩原会長が言いますが、

「取らなくていい。私達の独断。東京理科高校の生徒を誘拐した犯人の居場所が分かったから、救出しにいくだけ」

 と、奈桜さんが言い返します。

 しかし、今度は井上副会長が、

「だったら尚更戻って、警察や学校側に報告して任せるべきだろう」

 と言いますが、

 しかし、ハヤテさんはまだ食い下がります。

「それじゃあダメなんだ!」

 ハヤテさんの言い分はなんとなく理解する事が出来ました。

 あくまでも推測にすぎないですけど、もし奈桜さんが推理した通りだったら、間違い無く警察や突入舞台に攻撃を向ける事になるとおもいます。

 もしそうなったら、理由はともあれ、舞乃さんが犯罪者として今回の事件の事で処分されるのは間違いありません。

 ハヤテさんも、そして私達もそれは避けたい。だから、こんなにも必死なんです。

 続けて、ハヤテさんは言いました。

「それに、アンタらや警察、先生より俺達の方が強いし、上手く処理出来る」

 ええっ!ハヤテさん、それは流石に言い過ぎじゃ無いでしょうか?

 警察ならまだしも、東京理科高校の生徒会はかなりの能力者の集まりですし、その上NSTの最先端を担う先生方の実力よりも私達の方が上なんて事は…それは、少しは思わないことも無いですが…でもっ、それはないと思いますよ。

 証拠に

「君は面白いことを言う」

 などと、副会長は怒りを顔に出しながら言っていますし、生徒会長の方は、困ったような顔をしています。

 でも、だからといって通してくれる気はさらさら無いみたいでした。

「どうしたら通してくれますか?」

 とハヤテさんが聞きますが、

「通せないわね。ただそれだけよ」

 と、議論が同じ所に行き着いただけでした。

 埒が明かないと思ったのか、ハヤテさんは私と奈桜さんの方を振り向き、

「(俺が背中に手を回して五秒カウントするから、0になったら固く目を閉じてくれ)」

 と、小さな声で耳打ちしました。

 生徒会のお二人には私達が諦める相談をしていると写ったみたいです。特に警戒もされませんでした。

 ハヤテさんは生徒会のお二人の方を向き言いました。

「ご迷惑おかけしてすみませんね」

 (カウント・5)

「どうしても通さないと言うことなんで、」

 (カウント・4)

「諦める事にしました」

 (カウント・3)

「ですので、生徒会のお二人には」

 (カウント・2)

「申し訳無いんですが」

 (カウント・1)

「一時大人しくしてもらいます」

 (カウント・0)

 私は言われた通り、固く目を閉じました。

 次の瞬間、目を閉じていても分かるほどの激しい光を感じました。

 マグネシウムの燃焼を利用した化学アビリティ『フラッシュグレネード』です。無詠唱どころかアビリティ名も言わずに発動したところはどうやったのか分かりません。

 そんな技術は無いですし…。

 荒れ狂う光が収まりつつある時、私は誰かに抱きかかえられた感触がありました。

 体が重力に逆らって浮き上がります。

「わわっ!?」

 私は反射的に目をあけて確認すると、…そのぅ、ハヤテさんにお姫様抱っこをされていました。

 奈桜さんは無感動そうな目で私達を見ていましたが、私達を見ているってことは羨ましいんですね?ふふっ。譲ってあげませんよ~!

 などと、子供っぽい事を思ってしまいました。

 ハヤテさんはさっきの光を直に見て目が眩み、視力が回復していない生徒会のお二人に向かって、

「すみません。どうしても行かなければいけないんで、行かせて貰います」

 と言ってました。

 萩原会長は、

「まっ、待ちなさい!」

 と、どうにかして止めようとしていましたけど、ハヤテさんも奈桜さんも聞かず、学校の外へと私を抱えて飛び出しました。

 外に出るとハヤテさんは、

「ハイディング!」

 と言って、舞乃さんの十八番のアビリティ、物理学アビリティ『ハイディング』をかけてくれました…。

 あれっ?『ハイディング』って物理学アビリティですよね?ハヤテさんって能力ジャンルは化学のはずじゃぁ…。

 でも、ハヤテさんが深刻そうな顔をしていたから、私はそんなことを聞くに聞けませんでした。

 ハヤテさんも奈桜さんも移動速度が風よりも速いので、私達はあっという間に廃工場の前に着きました。

 そっかぁ、私をお姫様抱っこしてくれたのって、時間短縮のためだったんですね。

 そんなことを今更思うと同時に、役得だったなぁ。なんて思っちゃいました。

 本当はそんな場合じゃ無いんですけどね…。


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