~帰り道~
お久しぶりです。
前回の投稿から一週間以上間が開いてしまいました。
言い訳をいたしますと、リアル割れを少しだけ覚悟して話しますが、作者は浪人生で、結構有名な大学を志望しております。その受験勉強の息抜きも兼ねて投稿しているので、いつも投稿時刻が夜遅いのです。
ですが今週は大事めなテストだったので小説を書く時間を取れませんでした。事情くらいは伝えるべきでした。申し訳ありません。
今日からまた1日一本は投稿を目指します。
そして諸事情により投稿ペースを早めようと思います。
今後ともよろしくお願い致します。
舞乃の家から帰る途中、舞乃を除いた私達三人は今日の出来事について話しながら帰っていた。
出会ってから三日で、よくもこんなに仲良くなれたものだ。かく言う私もだが…。
「初めて行ったが、舞乃の家があんな豪邸だったとは。こんなに狭くて地価も高い日本でどうやったらあんな広い家を建てられるんだろうな?」
「私もそう思う」
「あんなに広くて綺麗な家での暮らしってどんななんでしょう。なんだか憧れちゃいます」
確かに、一般的な水準からしたらかなりの豪邸に舞乃は暮らしていた。だが、物価はNSTが世に出る前からあまり変わっていないはずだから、あのくらいの家を建てられる程の富豪だということはそれなりに名声が在ってもおかしくないのだが、舞乃の名字である『朝永』はノーベル物理学賞を受賞したことでも知られている「朝永振一郎」という量子物理学者がいるため、その子孫だとすればあの財力も解るのだが、舞乃の父親が名乗った『北一輝』という名字は知らない。母親が再婚したのだと言っていたし、何か事情があるのかもしれないが深入りは不粋であるため止めておくことにしよう。
「それにしても、私達で本戦を勝ち上がる事が出来るでしょうか?いくら私達が高位能力者の集まりだって言っても、所詮はまだ高校生ですし、普通は六人一組で組むはずのチームを四人で組んでますよね?流石に大変なんじゃ無いでしょうか?」
「それはそうだが、別に俺は負けたって構わないと思ってる。勝ち抜いて代表に選ばれるだけで授業の評価が一律最大の評価を貰えるというのは確かに魅力的ではあるが、その代わりに本気にさせられて早い段階から手の内を明かされることになったら割に合わないからな」
「なるほど…そっか、そういえばそうですよね。ハヤテさんって色々と考えてるんですね!尊敬します」
「いや、そんなんじゃ無いさ」
私は黙って聞いてはいたが、ハヤテと同意見であることは間違いなかった。
この発想が出てくること自体彼が何か隠したいことがあると言うこと、おそらくは『特殊持ち』だと公言したようなものだが、それは勿論私もであり、すぐにハヤテの言ったことの本意を理解したからこそ素早納得する事が出来たと思う綾花も同じなのだろう。
『特殊持ち』つまり『パーソナルアビリティ』持ちがこの学年に四人いることでさえ驚くべき事だが、四人でチームをくむとは、もはや反則技としか言いようがない。まだお互いが『パーソナルアビリティ』を持っていると決まったわけではないが、充分可能性はあるだろう。むしろ言動と模擬戦や訓練の様子からするに可能性は高い。
そのとき、綾花が自分の言った言い草で私やハヤテに何か感づかれたと思ったのか、急に話題を逸らした。
「あっ、あれっ?あんな所に誰かいます。ホームレスの方でしょうか」
綾花の指差した五〇〇メートルほど先には確かにホームレスのような作業着のようなものを着た中年の男性が今は潰れて廃工場となっている寂れた工場の敷地をウロウロしていた。
今更話題を逸らした所で変わらない感はあったが、私は綾花の話題転換に乗る事にした。
「確かにホームレスに見える。廃工場は屋根があるから雨風を凌ぐのには最適」
「そうですね。えっと、あの人のお洋服の肩口の所に何か付いてませんか?」
「ホントだな。なんか赤いワッペンみたいだな」
ハヤテもどういう意図があってか知らないが、話題に話題に乗っかって来たようだ。
そんなハヤテに答えるように私は能力を使った。
「確認する。『アイサイト・インプルーブメント』」
一時的に視力を向上させるアビリティ。視力がどんどんよくなっていき、ホームレスと見られる人物の肩口にあるワッペンがハッキリと見えた。
「馬、ただし角が一本だけ頭から生えているため幻獣『ユニコーン』だと思われる」
「えっ?見えるんですか?」
「そんなに驚かれても困る。生物学アビリティでは下位の、割と基本の能力を使っただけ」
「悪いな。くだらないことに能力を使わせちまって」
「構わない」
能力は何かを破壊したり危害を加えたりする能力でないならば、街中で使用することを特に禁じられてはいない。勿論街中で危害を加えるような能力を使えばすぐに感知されて警察が飛んでくる(かい潜る方法は沢山あるが…)。だから料理をするときは能力を使って火を起こしたり、選択をしたり、掃除に洗濯、日常の至る所にまで能力を使っているところを目にする事が出来る。
NSTのおかげで人々の暮らしがより安全で便利に、しかも環境に優しくなった。それだけは確かである。
そういう事情や、基本的なアビリティなので殆ど体力も使わない事もあり、私は能力で確認したことについて「構わない」と、杞憂であることを告げたのだ。
「それにしてもユニコーンですか。一体どういうわけで作業着にそんなものを付けているんでしょうか?」
「さぁな。ただの飾りだろ。会社のロゴじゃあるまいし」
「ですよね。ホームレスにはうってつけの場所ですねあの廃工場。以前は何の工場でしたっけ?」
「俺は忘れたな。奈桜分かるか?」
「確か何かの科学繊維を作っていた」
「あぁ、そりゃ潰れるのも当たり前だな」
ハヤテの言ったことは道理。なぜなら、NSTによって大概の化学繊維は原料さえあれば機会より早く、楽に作れるようになり、機械を用いた方がかえってコストが懸かり、騒音もするので今や使う必要がなくなった。このため失業者も極端に減り所得も上がった。それでも偶には今のようにホームレスを目にする事はあるのだが、最近ではNSTによって能力を誰でも使えるようになったので断然衛生的にホームレスライフを送れるようになったので、お金を貯めるためだったり、単なる趣味の一貫としてサバイバル生活のように捉えて好んでホームレス生活をするという意味合いがかなり強い。だから以前のように不衛生なイメージには縁遠くなった。
話題がそれたが、ハヤテが工場が潰れるのは当たり前だとみなした背景にはこんな背景があるから。
そうしているうちに私達は工場を遠ざかっていく。
別段工場に思い入れがあるわけではないので、必然的に話題は次のものへと移って行った。
そのまま三人が帰る方向が分かれる場所まで喋りながら歩き、別れる時には「また明日」と挨拶を交わし合った。
楽しくも充実している日常、会って三日の仲間たちとの、このなんでもない日常は、冷静沈着で感情が無いとよく揶揄される私でも楽しいものだった。
一週間以上空けてしまったのに呆れずに読んで下さった心が広く優しい方々、本当にありがとうございます。
今後とも頑張ります。




