敵意
2人が廊下に来た。廊下で座り込んでいる私を見ても、2人にはなんともシュールな光景にしかうつってないことを期待した。 しかしやはりそう易々と事は運ばず、2人は驚いている。 放心といったところか。 この隙をついて逃げ出す余裕もない。2人が我に帰るまで、膠着状態が続いた。
2人が我に帰るまで、5分弱かかった。 その間は呼吸音と古い学校のラップ音しかなかった。
最初に口を開いたのは、山井だった。
「あんた…何でここに?」
愚論だ。と思った。今更聞いても意味なんてないのに。 きっと山井も分かっていることだろうに。だから質問には答えなかった。 再び沈黙。 耐えきれなくなった栗源がまだ信じられないような顔で凄んできたが、別のことを考えていたので聞こえなかった。
更に10分後、何も言わない私にだんだんイライラしてきたのか、2人の顔に驚愕の色は無くなった。かわりに何か相談でもするかのように、こちらには聞こえないような声で何か話し出した。
やがて何か決心したように頷くと、教室に戻って行った。 この間に逃げようか、とも思ったが、案外早く戻って来た。
両手にそれぞれカッター。鋏。シャーペン。ホッチキス。
幸いにも反射神経は機敏に反応した。今は20時15分。明日を迎えられるか心配だ。