現在
気付いたら、既に辺りは真っ暗に。 さっき中学の私と話していたのは遅く見積もっても6時前だったのに…? なんだか身体中が痛い。意識も朦朧としている。 よほど強引に戻されたらしい。 戻すのは簡単 なんていうのはアイツにとってだけだったようだ。 アイツめ…
やがて感覚がはっきり戻ってきた。背中に伝わるコンクリートの冷たさが私を一気に現実に引き戻す。 星空を眺められるかつ屋上がコンクリートの建物はそう多くない。私の家の屋根はコンクリートじゃない。私の知っている中で条件を満たしているのは…高校だ。つまり…
「…やりすぎじゃない?さすがに」
「怒りで我を忘れちゃったみたいだな…」
「他人事みたいに…あれからアイツ動かないし…これじゃ殺人じゃない」
「さ、殺人!?」
「…まさか何も考えてなかったワケ?こんな状況でさえ」
「違…!」
「反論できてないじゃない。そのわりに」
アイツらの中では私は死んだらしい。おめでたい奴等だ。刃物とはいえ素人が文房具を振り回したぐらいじゃ死なないのに。実際に体験したから断定できる。あまつさえ話題は完全に逸れている。どう反撃しようか。アイツらとの距離はだいたい15~20mといったところか…
そこまで考えて、ようやくやたらに冷静な自分に気付いた。まあ刃物を使われたから反撃くらい許されるか。
近くに落ちていた箒をゆっくりと掴み、足音をできるだけ殺して奴等に近づく。
夜はまだ長い。私からの反撃はこれからだ。