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正夢  作者: 紫尾
15/17

乱用

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中学の私の正夢の能力は、今の私のものと違うところがあるらしい。 例えば、正夢に干渉する能力。 例えば、2日以上の未来のことを見れたり。 例えば、これは正夢に干渉する能力に関連しているが、未来を変えたり…


しかし、それらすべてを私は使えない。さすがに全部使えたら私の欲のせいで(驕りではなく)酷いことになることぐらいは分かる。しかし、それが驕りだったらしい。干渉できるのは未来の私だけらしい。 過去に中学の私をいじめていた奴を殴ろうとしたらしいが、何度試しても直前で弾かれたようだ。 つまり正夢の中では私にしか触れられない。 代わりに未来の私を夢の中から「今」に連れてきたりもできる。それを行使してこの状況に至るらしい。


話すことに区切りがついたらしく、中学の私は黙った。 しかし、どうにも納得できない、というか一番重要なことを言われていない。質問してみた。


「まって、じゃあなんで私をこっちに連れてきたの?」


「…まだ言ってなかった?」


「言ってたら質問しないわ」


「まあもっともね」


「早く教えて」


そう言うと、急に黙ってしまった。後ろめたさを感じているのだろうか…? やがて、重々しく口を開いた。


「…結局、自分の為よ。私は…表面上では耐えているフリをしていたけど、いじめが許容範囲の限界に達していた。だからリストカットも考えた時期だってあった」


「でも私にそんな傷痕はない」


「結局、そんなの口先だけで、する勇気も何もなかった… そんな時に正夢の能力を知ったわ。 その時に見ていた夢に出てきたのが高校の私。それを…高校の私を見て、少しホッとした。あぁ、私はいじめに耐えきったのか、って。でも未来は変わる。例えば、極端な話だけど、その時に包丁で心臓を刺していたらそこで終了でしょ? そう考えちゃって、さっきまでの安堵は消え失せて、恐怖しか残らなかった。 一層怖くなって…アンタを呼んだ」


「高校の私を代役として使うのに、バレては意味がないから…入院するような怪我をした」


「そうよ」


…なんだか矛盾しているところがある。指摘せずにはいられないところ。


「さっき、 口先だけで、勇気がなかった って言ったわよね。それ、嘘でしょう。だって、リストカットできないのに、入院するような怪我をすることはできるなんておかしいじゃない」


「…」


「答えられない?」


そこまで言って、ようやく中学の私の雰囲気がさっきまでと違うことに気付いた。


「…まさか楽観的なアンタに気付かれるとはね…そうよ、アンタを呼んだ理由がさっきの説明と違う。 今の自分が一番大切だからよ」


「自分で自分のこと言ってるって気付いてる?」


「五月蝿いわ。 …今痛みを感じるより、誰かに押し付けた方がいいに決まってる。ちょうど私が夢で見たアンタはいじめられていた。だったらいいじゃない。過去の私を助けるつもりでいじめを受けてくれても。…そして私には、いじめがいつ終わるか分かっている。夢で見たから。それが今日よ。担任にバレて説教喰らって監視が厳しくなっておしまい。だからアンタのここでの役目は終わり。 安心して。帰すのは簡単」


どうやら私は昔から根性が腐っていたらしい。

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