対面
学校も終わり、ようやく学校を離れることができた。 昼のあの続きが気になったが、何らかの打ち合わせをしたのか、それ以降は露骨に私を避けていた。 よほど酷いことだったのか…? 何にしても、気にするのはそれだけ。 避けられるのは寧ろありがたい。 早く帰りたいので、人気は無いが、近道を通ることにした。
暫くして、一人の女子が歩いてきた。 身長は私より少し小さいくらい。阪神帽をかぶっていて、顔は見えない。 さっき言ったように、この辺りは普段人気は無い。 不審に思っていると、その子は私の前で立ち止まった。
「やっと見つけた~」
初対面だと思っていたが、相手は私を知っているようだ。 このままじゃ失礼だと思ったので必死に思い出そうとすると
「そっかそうだよね、これじゃ分からないよね。ごめんごめん」
そう言って阪神帽を取る女の子。顔が見えたとき、驚きで一瞬呼吸が止まった気がした。
「……私?」
現れたのは、中学の私の顔。
「覚えてたんだ。話が早くて何よりよ」
さりげなく的外れなことを言う中学の私。構いもせずに話し始めた。
彼女が言うには、タイムスリップではないらしい。 一番しっくりくる物をいきなり否定とは… しかし、じゃあ何だと言うのか。 質問すると、タイムスリップよりもぶっ飛んだ解答が来た。
「そんなのも分からな… あーそうだっけ。この能力は私が後に忘れたんだった」
「いいから何なの? 教えてよね」
「そんなに急かさないで。アンタは知らないかもだけど、正夢の能力はただ未来予知だけじゃなかったの。そしてそれがアンタの質問への解答にもなる」
「私の知らない能力って…」
「あまりにも強力過ぎて恐ろしい能力。それは…正夢に干渉する能力よ」
「そ…そんな能力…あるはずない!」
「知らないから認めないのは愚かなこと。そして…アンタにとっては嫌かもしれないけど、本当の話よ。」
…仮にもこの女の子は私なんだ。とりあえず信じてみることにしてみよう。
「分かった。続きを話して。」