正夢
何故か正夢をよく見る。
初めて見たのは中1の時。 入学式前の春休みだったはず… 内容は、 見知らぬ場所で私がこけて周りの皆に笑われる というもの。 妙にリアルだったが、期待と緊張で入学式の時にはすっかり忘れていた。 しかし学級活動の前の休み時間、廊下でこけてしまった。 皆が笑っていたことよりも、私の意識はあの夢が正夢だったことに向いていた。
その後も正夢は見た。
ある時は悲しい夢。 ある時は幸せな夢。 内容には共通点なんてなかったが、私は気づいていた。 正夢の頻度が多くなっていること、正夢は2日後に起こること。それは何故か避けられないこと。
今日は高校の卒業式。 1つ年上の3年生が卒業する。 ……このごろは正夢の回数は週に3回は越える日々だ。 最近では、時間も正確に分かる。 今日も見た。3年生にとって高校生活最後となる今日の正午頃に、好きだった先輩に笑顔で手を振られる、他愛もないけど私にとってはとても嬉しい出来事。
今は11時40分。 待ち遠しい。 早く正午にならないかな などと考えていると 「じゃあ先輩方のところに行きましょうか」と先生の言葉。 ようやく2日前から待ち焦がれていた時間がやってきた。 今日はいつも以上に身だしなみに気を付けた。 準備も完璧。
少しして、3年生がやってきた。 時計を見る。 11時55分。 あと5分だ。 部活の先輩、お世話になった先輩に挨拶をしていると遂に彼が来た。