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第五話「自覚のない再会」

ディヴェル「久しぶりです」

マナ「『久しぶり』じゃない!遅い!」

ディヴェル「すみません……」

「――――それで、こっちが来客用の部屋。といっても使う事もないだろうと思ってたから、少しばかり埃かぶってるかもしれないわ」

 階段を上り終えた後、すぐ左のドアを指差しながらマナは言った。

「あっちは何の部屋だい?」

 質問をしたのは、ケイトだ。廊下の奥のほうにある部屋を指差している。

「そっちはエーナの部屋よ」

 マナは簡単に答えた。

「エーナ……エーナ……うーん?」

「ふふっ……あー、ケイト」

「何~?」

「その格好は……ふふっ、どうにかならないのかしら?」

 ケイトの考える様子を見て笑いながら、指摘した。

 ケイトは指摘されるまで自分のこめかみに右手の親指を差し、他の指をアンテナのように握ったり広げたりしていたが、途端にそれをやめた。

 そして顔を真っ赤にして訴える。

「うぇぁ!!なし、ナシ、今の無かったからねぇ!!」

「わかった、わかったから。顔が近すぎるわよ……」

 マナが数歩退く。

「おっと、ゴメンゴメン。それで、エーナってのは、あの青い人のことかい?」

「そう、意外と察しがいいわね」

 褒められて気分が良くなったのか、ケイトは胸を張った。

「ふふん、なにをかくそうあたいの洞察力はかなりの物だよ?」

「あんな事をしないと洞察力が良くならないのかしら?」

 ケイトがまた顔を赤くする。

「うぐっ」

 その様子を見てマナはにやりと笑った。

「ちょ、ちょっと人の心の傷口を広げないでよ、もう!!」

「恥ずかしかったのねぇ、私が思ってた以上に」

「んもー、あんたはいったい、なんなのさー」

 ケイトが目の前に居る十代ほどに見える少女を睨みつけて愚痴をこぼした。

「私は魔女よ、見習いだけど」

「そんな事はもう知ってるよ~。それに個人的な意見だけどあんたには魔女より悪魔の方が似合ってる」

「褒め言葉として、受け取っておくわ」

「ちぇっ、調子がいいんだから」「性格まで姉さんにそっくりですね」

 皮肉が通用しなかったので悔しがるケイトの姿が、うすぼんやりとした光に包まれ、それに伴い声の質も少女のものから少年のものに変わっていく。

「あんたの姉さんなんて知らないわよ……で、あんたが計斗ね」

 マナが警戒して、掌に檻の魔方陣を描き、ケイトだった人に向ける。

「その通り……というか戦うつもりは毛頭ありませんのでその魔方陣を僕のほうに向けないで下さい。もう足が動きませんから」

 マナに術の解除を頼んだ少年は、明るい緑色の右サイドテールをしていたが、服装にはなんら変化が見られない。

「知ってる。けど念のため」

「はぁ……解除する気はないんだね?」

 計斗が、呆れてため息を漏らす。

「当たり前じゃないの」

 マナも呆れ顔である。

「それで?」

「へ……?」

 計斗が困惑する。

「何の用があって姉さんを探してた訳かしら?」

「あ、ああ……って、マナさんに話す意味があるんですか?」

「深い意味は無いのよ、深い意味は。私が知りたいだけ」

 マナは探りを入れることにしてみた。

「はあ……まあ簡単に言えば恨み、ですかね」

 計斗は軽い調子で言う。

「何かあったの?」

 マナが続きを促す。

「何かも何も、この体質になったのは姉さんのせいなんです。魔導具の実験台にされてねぇ」

 計斗は調子を崩すことなく続ける。

「その魔導具は、死んだ人間の魂をその魔導具を使った人間に憑依させるものなんです」

 説明されてるうちにマナはその時の事を思い出そうとしていた。が、思い出せずにいた。

「私に憑依した魂は、まだ死んだ事にも気付いてない、ちょうど僕と同じぐらいの年の女の子でした」

 計斗の説明がまだ続く……

「まっ、こんな感じです。僕の体質の成り立ちは」

 と思いきやすぐに終わった。

「ふうん……(なるほど、とんだ勘違いだったわけね。ケイトのシスコン説も、私が邪魔になることも無いみたい)」

 マナは思案を巡らせた。

「あ、でもそのおかげで不老不死になれたんです。その事だけは姉に感謝してますけどね」

「なるほど……それで、人間関係のトラウマって?」

 計斗は、やれやれという風に肩をすくめた。

「それは実は嘘なんです。僕は人づきあいが苦手なので、それを理由にしてこの子に任せてるんです」

「なるほど。でも……」

 マナは納得し、続ける。

「記憶を共有してるんでしょう、どうやってごまかしたの?」

「実は魔導具の実験台にされるのは何度もあった事なんです。記憶までしか共有出来ない、つまりお互いの感情まではわからない。それを利用してごまかしているんです」

「ふむふむ、なるほど。ちゃんと聞かせてもらったよ」

「なっ!?」

 計斗の口がひとりでに、ケイトの声で喋った。

「じゃあもうあたいだけが動き回る苦労しなくてもいいよね~」

「僕は影に潜ったり泳いだり出来ないんですよ」

「影に潜るのは辛いんだよ~、そんなに長く泳げないよ~」

(水泳と同じようなものかしら……)

 マナが思案する。

「歩けばいいじゃないか」

「そっちだって~」

「体は共通なんだからどっちかだけが疲れるわけじゃないよ」

「道に迷うとすぐ愚痴るじゃん」

「……もういいや」

 一人口喧嘩に飽きてきたマナが、自分の部屋に戻ろうとする。

「「あ、ちょっと待って」」

「なによ?」

 不機嫌な顔をしたマナが振り返る。

「「夕飯は!?」」

「アホらし……材料は揃えとくから、自分で作りなさい」

 呆れてマナが階段を下りた。

 階下のドアが閉まる音がする。

 暫くしてから、ケイトが喋った。

「ね~、動かないの?」

 計斗が苦笑いを浮かべる。

「うん、まだ解除してくれないみたいだ」

「あたい料理した事無いよ」

「うん、知ってる」

 ケイトが困ったような声になる

「どうするのさ~?」

「うーん……」


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