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第二、五話「記憶に無い記録」

ディヴェル「おまけです。本当に。」


 ある日、エーナは自分の身に覚えの無い記録を自分の記録媒体の中に見つけた。

 あるプロテクトが掛けられ、見れなかったが、自分の中に自分で開けられないデータをそのままほっとくわけにもいかないので、書斎で本を読んでいるマナに協力を仰いでみた。

「開かないファイル……?ああ、あれかしら。」

「「あれ」、とは?」

 エーナは続けるように促した。

「あなたを感情抜きで試しに起動した時の記録よ。あなたが望むなら、プロテクトを解除しても良いわ。」

 本の最後のページを読み終えたらしい。

「その前に、言っておくことがあるわ。」

 本を閉じ、エーナの目を見据える。

「そのファイル、開くとウイルスが出てくるのよ。」

「ウイルス、ですか。」

「ええ、それもものすごく厄介なものよ。」

 思い出すように目を閉じながら続ける。

「たしか、う~ん、エーナには今、『感情』があるわね。」

「それは、勿論です。」

「その感情を「食べちゃう」の。」

「はい?」

 マナは構わず続ける。

「あなたの感情を「消去する」って言ったほうが良い?」

 目を開き、再びエーナを見据える。

「少しの間ならなんとか抑えられるわ。けど消えた感情は戻らない。」

「……」

「ふふふ……それでも見たい?」

 意地悪く笑った。

「……口頭で伝えてもらえますか?」

 それを聞いてマナはさらに意地悪な笑みを浮かべた。

「駄目よ、その程度の覚悟じゃあ教えるに値しないわ。」

「うぅ……」

(困りました……感情がなくなることは私にとって死ぬことと同じ、いや、もう死んでます。じゃなくて、私にとっては「いなくなる」でしょうか?意識も無かったですし……)



 あまりにも深刻な表情をして考えていたのでマナが、「悪いことをしたかしら」と表情を曇らせる。

 (この辺が潮時ね……ヘソまげられても困るし)

「嘘よ、嘘。」

「……はい?」

 悩んでいた顔が一変、きょとんとした顔になった。

「あはは、エーナったら、少し考えればわかることじゃないの。」

 やはり意地悪く、しかし先ほどまでとは違い大笑いである。

「既に一度エーナの感情は消えたのよ、『感情抜きで試しに起動した』ってさっき言ったじゃない。」

 エーナは怒りを覚えると同時に本気で考えてた先ほどまでの自分を思い出し、恥ずかしさを覚え、その二つの意味で顔を赤くした。

「ひ、ひどい……」

 涙目。

「ごめんごめん、もぅかわいいなぁエーナは。」

 マナはそういいながらエーナの頭を撫でたり頬ずりしたりする。

「でもやっぱり体が冷たいわね。」

 顔がにやけてる。

「そうそう、それであのファイル、見たい?」

 思い出したようにマナは言った。

 それを聞いたエーナは表情を明るくした。

「いいんですか!?」

 マナが満面の笑みで返す。

「もちろんよ!あ、でも期待はしないで、30秒くらいしかないから。」

 マナは隣りの書斎に目をやった。

「えっと、たしかパスワードは……これだったかしら?」

 本を取り出す。

「えっと、魔法で本を取り出したりはしないのですか?」

「疲れるから嫌よ。はい。」

 本の中身を確認したマナは質問に即答しながら手に持っていたその本を渡した。

「え、ええと、これ全部でパスワードですか?」

 表情がこわばる気がした。

「そうよ、書くのは面倒くさかったけどね。」

 エーナは手元の本を凝視する。

(いくらなんでもこれは多すぎです……百科事典よりも厚いんじゃ……?)

「嘘、ですよね……?」

 マナは不敵に笑う。

「ふふん、さすがに同じような手は効かないわね。」

 そこまで聞いてエーナは胸を撫で下ろした。

 マナの笑いがほくそ笑みに変わっていることに気づかずに。

「でも残念、本当よ。」

「えぇ~!?」

 不満たっぷりの声である。

「本気でこの量のパスワードを考えたんですか!?」

 動揺を隠せない。

「本気で考えたわよ。」

 平然とこう言われては何を言っても無駄な気がしたのでエーナはそれ以上何も文句を言わなかった。



「な、何ですか、この本は……」

 一ページに一文字ずつ、しかもかなり小さいサイズで各ページバラバラに配置してある。

「入力するより探すほうが時間掛かるってどういうことですか……はぁ。」

 無論、エーナに対する悪戯である。

 しばらくその悪戯に四苦八苦するエーナであった。



 天井を見ている。

「起きなさい。」

 声が聞こえ、体を起こしたのだろう。視点が動いた。

「あなた、私がわかる?」

 約10秒の間

「あ、そうだった、感情無かったんだ。」

 少し考える。

「これじゃ話し相手にならないわ。」

 思い出したように

「あぁ、あなた、もういいわ。電源切ってまたしばらく寝ていて。」

 視点が動き、再度天井を見る。

 そして、映像が終わった。



「こ、こんなものの為に、私は3時間も掛けて……」

 しばらくショックでその場にくずおれるエーナだった。関節が軋む。

 そのエーナを笑いながら見ているマナの姿がエーナの部屋の開いているドアから確認できた。

「ふふふ……だから期待しないでって言ったのにぃ。」

ディヴェル「おまけ、いかがでしたか?」

エーナ「本編よりも長いってどうい……もごもご」

マナ「余計なことは言わなくていいのよエーナ」

ディヴェル「僕の時はもっと適当でしたよね(ボソ)」

マナ「何か言った?」

ディヴェル「いえなにも?」

マナ「そう」

エーナ「次回をお楽しみに。取り敢えず感想をぼしゅ……もがが」

マナ「感想を募集してるわ」

ディヴェル「そして僕の台詞は無し、と」




----収録後

ディヴェル「地獄耳だったな~……」

マナ「呼んだ?」

ディヴェル「うわなにをするやめt」


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