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  作者: 宮樹清知
1/1

プロローグ

それは小雨の降る、クリスマスの日だった。

街は、どこもかしこもイルミネーションで彩られていて、すれ違う人はみな、どこか浮足立っている、そんな日だった。


僕たちは住宅街を歩いていた。決して、クリスマスに恋人たちが行くような場所ではなく、駅が近く、コンビニやクリニックなどが並ぶ、いたって普通の住宅街だった。

夜風が僕たちを撫でてゆく、ぱらぱらと降る雨が僕たちの体を濡らしていく。それでも、繋いだ左手はとても温かかった。


コンビニのある角を左に曲がる。クリニックの前の道を歩いていく、言葉はない。沈黙ですら、居心地が良く、一緒にいられるだけで幸せだった。

クリニックを通り越して、何も建物が立っていない空地に差し掛かる。その手前で、ふと君は立ち止った。


近くの電灯の灯りが君の顔を照らす。涙と鼻水でぐちゃぐちゃで、それなのに目が離せなくなるほど綺麗で。

そのまま君は手を繋ぎながら、ぐちゃぐちゃの顔で、かすれた鼻声で、まるで今まで言えなかったことを絞り出すように言った。

「好きじゃない」

きっとその日は、寒かった。


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